河原や公園などくつろぎの空間は、犬にとっても絶好の散歩コース。大好きなフンちゃんと過ごすのは楽しいひとときだが、ほかの犬が残したふんを踏ん付けてしまったら台無しだ。スコップと袋を携行するのは当たり前のマナーとはいえ、実際にはそれらを使わず、目立たない場所に放置する不届きな飼い主も少なくない。
温泉町で知られる群馬県水上町では、観光客にも住民にも不快な思いをさせないようにと、犬の定番散歩コースに「犬のトイレ」を設置。ふんをたい肥化して町内の緑化活動に利用している。トイレは人気コースに計十一個ある。漬物工場で使わなくなったふた付きプラスチックのバケツを流用し、外観には白地に黒い斑点という「ダルメシアン」の毛皮模様に塗装して目立たせた。
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利用法は簡単。犬のふんをすくいとり、バケツに投入するだけだ。中には発酵に不可欠な微生物を持つ枯れ葉や栄養分となる米ぬかなどが入っている。三カ月おきの中身の入れ替えで、
一日当たり二十匹のふんを処理できるという。たい肥は高温で消毒してから肥料として活用する。
同町では最近、ベットを同伴して利用できる宿泊施設が相次ぎ登場、愛犬家の人気を集めている。風光明美な観光スポットが、マナーの悪い飼い主によって損なわれぬよう、試行錯誤の末生み出したアイデアだ。雪が積もる冬季は使えないのが残念だが。
ぶんを踏んで憤慨する人を出さない街づくり――。ペット愛好家にやさしい観光地では、ワンちゃんも元気に駆け回っている。
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