◆小さな地球に学ぶバランス◆


▲子どもに地球のバランスを引き継ぎたい

 地球は水や二酸化炭素(C02)などの循環により、生態系の微妙なバランスを保っている。こうした自然の営みはあまりにスケールが大きく、しかもうまくいくのが当たり前なので、それと気付かされる機会はあまりない。しかし、植木鉢の中の「小さな地球」で、ちょっとしたことで崩れかねない実に繊細な均衡のありがたさを痛感した。
 観葉植物の鉢植えを球形ガラスで覆っただけ。シンプルなつくりの地球モデルでは、ガラスの内部が私たちの生活圏に例えられる。温かい場所に置けば、植物の呼吸により発生した水蒸気が、内側に水滴となって現れる。生命の息吹を目の当たりにする一瞬だ。
 光を当てれば光合成だ。内部の水分とCO2が、酸素と栄養分になる。ガラスに付いた水滴は、雨にこそならないものの、しっかりと土を潤す。植物のいきいきした様子から、小さいながら自然のサイクルが確立していることを実感、ほっとさせられる。
 回りの温度を急上昇させると、観葉植物はとたんにぐったりしてしまう。まさに温暖化が進行する地球の行く末を暗示するかのようだ。植物が弱って光合成をしなくなれば、ガラスの中は、私たちが生存できない「死の星」に近づいていく。空恐ろしくなり、すぐに涼しい場所に移して元気を取り戻してもらった。
 大きな自然が、人類の様々な活動による環境への負荷を、すべて帳消しにできたのは過去のこと。ガラスの中の閉じた地球からのメッセージに耳を傾け、地球の一員としてその均衡を大事にしたい。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2003/1/18(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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