◆暖房器具はレンタルで◆


▲レンタルするガスファンヒーター

 いよいよ冬本番。押し入れで眠っていた暖房器具が本領を発揮するシーズンだが、「旬」は春まで。寒さがゆるむにつれて再びしまい込まれ、収納スペースをふさぐ「厄介者」に転落してしまう。しかも、引っ越しなどで不用になり、まだ使えるにもかかわらず、ゴミとして処分されるケースも後を絶たない。
 必要なときだけ借りるようにすれば、使える暖房器具を捨ててしまう無駄はなくなる――。こんな発想にたどり着いたのが富山県を地盤とするガス供給会社、日本海ガス(富山市)。暖房器具を販売するかたわら、ガスファンヒーターのレンタルをスタートさせた。
 期間は十月から来年四月までの七カ月。レンタルを申し込んだ家庭を担当者が訪問して器具を取り付け、期間中の故障などにも対応する。春になれば回収し、一つ一つ整備してから同社が保管する。利用者は収納スペースに悩むこともない。料金は一シーズン三千―四千五百円で、今年は用意した四百七十台がすべて出払うほどの人気を呼んでいる。
 ガスファンヒーターはもともと、温度センサーなど故障しやすい部品を交換してきちんと手入れすれば、長期間使用できるという。同社では、オフシーズンの保管状態に気を配るなどしてさらに寿命をのばし、レンタル料金を抑えることができた。
 こごえる冬を暖めてくれた暖房器具を、本来の寿命を迎える前に捨ててしまうのは、やはり忍びない。所有にこだわらず、モノを使い切る取り組みは、心まで暖かくしてくれるだろう。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/11/30(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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