便利な車社会にはなくてはならないガソリンスタンドだが、地球環境にとっては敵役のイメージでみられがちな気がする。大気汚染の原因にもなる石油燃料を扱っていることや、洗車で大量の水を使うことが影響しているようだ。こんな役回りから脱却して、地域のエコロジー拠点にする取り組みを進めているのが、滋賀県内でスタンドを展開する油藤商事(豊郷町)だ。
古くなったバッテリーやタイヤ、エンジンオイルなど自動車関連のごみは、専門業者できちんと処理するよう管理。さらに牛乳パックや乾電池といった家庭から出る資源ごみの回収もスタートさせた。スタンド内に十種類に分けた資源ごみ容器を設置、周辺の住民はスタンドに立ち寄った際に投入する。自治体による回収日は月一、二日に限られ不便なため、日常的に回収する窓口として利用してもらう。
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揚げ物に使った廃食油も回収し、燃料とせっけんに再利用する。廃食油を精製してディーゼル車用の燃料に再生したバイオディーゼル燃料二割と、通常の軽油八割を混合、福祉施設の車両用燃料などに加工し販売している。廃食油の一部は地元生協を通じて液体せっけんに加工し、洗車サービスに使う。最近では近隣のガソリンスタンドとも協力し、リサイクルの輪を広げる試みも行っている。
全国に約五万三千店あるというガソリンスタンドは、燃料安売りで顧客の争奪戦を演じている。しかし、環境に配慮した地域密着型のスタンドには、エコドライバーの支持が集まるはずだ。 |