◆風が織るエコタオル◆


▲色などのバリエーションも拡充

 「風力が生み出した電力だけで織った安全なタオルを使ってみて」――池内タオル(愛媛県今治市)の池内計司社長は目を細める。環境に配慮したモノづくりに取り組む同社が注力しているのが、クリーンエネルギーの利用と、地球にやさしい原料の採用だ。
 同社では通常、バスタオル一枚を織るのに一 `hの電力を消費する。まずこれを風力発電に切り替えた。秋田県能代市の発電所でつくった電力を購入するシステムを利用して、地元の電力会社から風力発電分として供給を受けている。電力料金は二割増、年百六十万円のコストアップだが、環境への負荷と成らすことを優先した。
 原料の綿花へのこだわりも貫いた。綿花栽培では、収穫の効率を高めるため、継続して農地を使うことができないほどの枯れ葉剤を散布するケースが多かった。同社ではこうした綿花を避け、枯れ薬剤ゼロで栽培した南米ペルー産の綿花を、塩素漂白せずに重金属を含まない染料を使って綿糸にしたものを使っている。調達コストは割高だが、幼児も安心して使えるタオルづくりには欠かせない原料という。
 同社はこのタオルを六百―三千八百円で販売。手ふきタオルからバスタオルまでそろえた。通常品を含めた同社の総生産量では一五%を占めるに至っており、今後も色やサイズを増やして主力商品に育てる方針だ。素材と動力、ものづくりの根本から環境への配慮を怠らないこのタオルには、持続可能な社会を支えようという人々の熱い思いが織り込まれているように感じる。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/10/26(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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