◆食卓にリサイクル食器を◆


▲積み重ねてもかさばらない

 味覚の秋が到来、食欲をそそる自然の恵みが食卓をにぎわせている。食材は余すところなく使い切ろうと心がけても、意外と見落とされがちなのが料理の引き立て役となる食器の存在。不注意で割ってしまったり、まだ使えるのに引っ越し時にごみとして捨てられるケースが後を絶たない。
 ごみとして出される陶器のリサイクルに取り組んでいるのが、「美濃焼」の産地として名高い岐阜県多治見市周辺の業者らでつくる「グリーンライフ21プロジェク卜」。同団体の推計によると、全国で一年間に捨てられる陶器は約十万dに上り、ごみの埋め立て処分場不足などからも無視できない問題になっている。
 そこで、県の研究機関などと協力、不要になった陶器を粉砕して細かい粒子にして陶土に混ぜリサイクルする技術を開発。 一九九九年から「Rel食器・土色彩生」シリーズとして販売している。小皿からきゅうすまでさまざまな食器がそろう。価格は三百―二千八百円で、従来の美濃焼と同水準に抑えた。
 デザイン面での工夫も怠りない。必要な食器の数を減らせるように和洋兼用にしたほか、洗いやすい丸みを持たせた形状を採用し、水道水の節約にも配慮した。
 実は、美濃焼で使う陶土の六割は他県や中国など地元以外でとれたものが占めるなど、原料調達自体も難しくなっていたが、昨年は全国から約百dの不要な陶器が集まり貴重な原料になった。自然が生み出した資源を何度も使う取り組みは、社会全体を維持するのに不可欠な教訓にも富んでいる。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/10/19(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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