◆地域通貨で環境配慮◆


▲「クリン紙幣」は3種類を用意

 国内に百四十種類以上あるとされる地域通貨。住民間の交流を広げたり、商店街の活性化を図るアイデアとして続々登場している。北海道栗山町の地域通貨「クリンには、環境配慮の取り組みを後押しする「エコマネー」としての機能にも注目が集まっている。
 クリンは、住民などが運営する「くりやまエコマネー研究会」が発行。参加を希望する七―九十歳の町民七百人強に三千クリンを無料配布する。会員が「車での送迎」「犬の散歩代行になど簡単なサービスを他の会員に頼む際、対価の支払い手段として利用できる。 一時間ぐらいかかる仕事一件につき、千クリンが目安という。
 地元商店など約七十店で買い物をする際、レジ袋を使わなかったり、エコロジー商品を選んで購入したりするとスタンプが一個つく。五個たまれば五百クリンと交換できる。平均で一人当たり月に十個のスタンプをため、千クリンを受け取っている。これを使って、また用事を依頼できる仕組みだ。
 昨年九月のスタート以降、 一カ月当たりのレジ袋使用量は四千枚減少。エコグッズの販売も増加しているという。商店側も、浮いたレジ袋の購入費用で、町内への植樹活動をサポートしている。長谷川誓一代表は「今後は環境家計簿なども利用して、環境に配慮した暮らしを広げていきたい」と意気込む。
 人と人をつなぐ地域通貨は、ちょっとした工夫と住民の協力をプラスすれば、環境にやさしい生活を普及させる「グリーンマネー」に変身する。クリンの発想が、各地に広がることを期待したい。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/9/7(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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