◆毎日使う「うれしいトレペ」◆


▲百貨店のトイレなどで1カ月に4万個が使われている

 経済産業省などの統計を基にした試算によると、日本人が一日に使うトイレットベーバーの総延長は地球二十八周分以上、男女差はあるが一人当たり約九bに達するという。毎日使うものだからこそ、環境に配慮した商品を選びたい――。こんな消費者の思いを形にしたのが、「うれしいトレペ」だ。
 静岡市で自然食品などを共同購入している「ぐる―ぷ・みるめ」の主婦たちが、地場の製紙メーカーと協力、商品化にこぎつけた。原料はオフィスなどから出るシュレッダーくずやメモ書きなど、可燃ごみとして焼却処理されてしまいがちな雑古紙のみ。少しくすんだ白色をしており、よく見るとインクのシミもちらほら。あえて漂白剤を使わず、水だけでインクを抜いた。「白さにこだわらず、安心して使えるようにした」(馬場利子代表)という。
 トイレットベーバー売り場では、純白で肌触りが良い一〇〇%パルプの商品が目立つ。古紙原料のものも、化粧品の外箱にも再生できるほど品質が高い牛乳の紙パックを使っているので、必要以上に真っ白くてきれいだ。これ以上リサイクルできないトイレットペーパーには、見た目はちょっとさえなくても、ほかに使い道のない雑古紙を使うというスマートな発想が欠かせない。
 うれしいトレペは、メーカーから百個単位で直接発送し、価格は百bのシングル巻きで三千六百円から。地球だけでなく家計にもやさしいのが売り物という。白さへのこだわりを脱するこの取り組みは、グリーン商品全体のあり方を見直す示唆にあふれている。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/8/17(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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