◆「100人村」で学ぶ環境問題◆


▲車座で和気あいあいと議論する

 「生徒一人当たり、一カ月に百八十枚の紙を使っています」「昼食に出された牛乳の約六%が、手を付けずに捨てられています」−−。千葉大学教育学部付属中学校の生徒十二人は、自分の学校のこんな実態にびっくりしている。
 この十二人は、総合学習の一環として毎週二時間、自分たちの身の回りの環境負荷を調査。学校の電力使用量や蛇口の数、敷地内の木の本数など校内だけでなく、家でテレビを見る時間や使っている洗剤の種類、ごみをポイ捨てした経験があるかどうかまで、二十項目以上のデータを集め、日常生活が環境に与えている影響を明らかにしている。
 こうした調査のサポーターを務めるのが、千葉大学の「環境シンポジウム実行委員会」の学生たち。約一万五千人が利用するキャンパスを人口百人の村に見立て、学内の環境負荷の状況をわかりやすく数値化した冊子「千葉大がもし100人の村だったら」を発表した。これに着目したのが付属中の教員で、四月から中学生と大学生の共同作業が始まった。
 生徒からは「環境について深く考えるようになった」「身の回りのことが次々わかって楽しい」と好評。実行委員会の学生のアドバイスを受けて原稿を執筆、十月には付属中版の「100人の村だったら」をまとめて全校生徒に配布する予定という。
 小さなカをいくつも積み重ねることでしか解決できない環境問題は多い。中学生と大学生の意欲的な取り組みが、家庭や地域を巻き込み、大きな流れを起こすきっかけにもなりそうだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/8/3
(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載

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