◆進め生ごみリサイクル◆


▲報告会で生ごみ処理機の使い方を説明

  毎日出る生ごみのリサイクルに関心を持ち、微生物の力でごみをたい肥化する処理機などを使う家庭も少なくない。しかし農林水産省の調査によると、自宅で生ごみ処理を始めた家庭の四割が、途中で挫折しているという。使用中に悪臭が出たり、たい肥が完全にできあがるまで時間がかかることなどが原因だが、ちょっとした知恵で克服できることも多そうだ。
 家庭での生ごみリサイクルを定着させるコツをまとめようと、東京都江戸川区は昨年、区民に様々な処理法を試してもらう「リサイクル実践モニター制度」をスタート。ベランダにも置ける電動処理機や発泡スチロール製の簡易処理容器などを一年間使ってみた六十人が、このほど開かれた報告会で体験談を発表した。
 「ハエが寄ってきたり悪臭がしたりするようになったら、水分をこまめに調節し、通気を保つよう心がける」「白い綿帽子状のカビは発酵が進んでいる証拠だから、あわてないで」など、経験に裏付けされた生きたノウハウが次々登場。また、「たい肥を水に溶かした液肥をかけたら、植物が育ちすぎて、ベランダがジャングル状態になってしまった」「家庭菜園のトマトや小松菜がおいしくなった」といったエピソードも披露された。
 同区清掃リサイクル課の松丸淑一主査は「貴重なノウハウを蓄積できたのは区民の熱意のたまもの。参加者には今後も生ごみリサイクルのアドバイザーとして活躍してもらいたい」と期待をかける。生ごみ処理の達人を生み出す取り組みに、循環型社会への転換を足元で支えるパワーを感じる。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/7/27(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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