◆リフォーム自在の住宅◆


▲階段の位置も変えられる
(東京・新宿の展示会)

住宅の寿命の通説は、木造なら四十年、鉄筋コンクリートでは七十年。しかし現実には、二十―二十五年で建て替えられる木造住宅が後を絶たない。住宅などの取り壊し時に出る建築廃棄物は全国で年間千八百万dに及び、最終処分場の確保は難しくなっている。
 この廃棄物問題の一つの解決策として注目されているのが、壁面で重みを支える薄肉ラーメン構造の鉄筋コンクリート住宅。住宅販売会社、エス・アイ・リンク(東京・台東)の「ロングユース住宅」は、ラーメン構造を採用してリフォームしやすいのが特徴だ。
 これまで住宅の建て替えは、建物自体の老朽化ではなく、希望通りリフォームできないため全面建て替えを選択せざるを得ないケースが目立った。部屋を広くしたり、台所の位置を変えたりしようとしても、構造上の制約があった。ロングユース住宅は柱の役割を壁面が務め、上下水道やガスの配管も簡単に変更できるので、間取りや内装が自由に見直せる。
 しかも、建物自体の強度はアップ。実績はないものの、設計上は百年以上住んでも大丈夫だという。構造上問題のない部位には鉄筋コンクリートを使わないなどコスト削減に知恵を絞り、平均の建築費は一坪当たり六十五万円に設定した。「環境負荷を減らし愛着を持って長く住める住宅を提供したい」と勝矢健マーケティング企画室長は意欲をみせる。
 家づくりは一生に何度もない大仕事。次世代、次々世代に引き継ぐロングユースの視点は、快適な住まいづくりに不可欠な柱でもあるはずだ。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/6/29(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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