◆環境負荷減らしたホテル◆


▲洗面具はせっけんと歯ブラシだけ

 春の行楽シーズンたけなわ。最近は環境への負荷を減らす工夫を凝らした「エコホテル」が増えてきた。不要なタオル交換を省いたり、ごみになりやすいカードキーを廃止するなど取り組みは様々。こんな中、長野県軽井沢町の別荘地の一角にある「星野リゾート」は、自然に恵まれた立地を生かすため、究極のエコホテルを目指している。
 客室の洗面台に置く歯ブラシなどのアメニティーグッズは、種類を絞って足りない場合はスタッフに申し出てもらう仕組みにした。料理はグレードを維持しながら、伊勢エビやメロンなどごみが出やすい食材を使わないようにして生ごみを削減。分別も徹底しており、間違えやすいごみをカードにして社員研修で教え、二十八種類の分別を浸透させた。こうした努力が奏功し、昨年一年間でごみを約二〇%減らしている。
 省エネルギー対策にも余念がない。温泉の廃湯熱を床暖房に利用。敷地内の小川で水力発電装置を動かし、電力需要の約二六%をまかなう。冷房不要の涼しい客室にするため、コテージの風通しをよくする窓の付け方などを模索している。
 宿泊料金は、平日一泊二食付きで一人一万四千円から。ゼロエミッション担当の塩手勝久さんは「数年後には、軽井沢の自然と調和した世界に通用するエコホテルにしたい」と目標は高い。開発重視のリゾートの豪華さではなく、地球にも人にもやさしいサービスが心地よい。ホテルの格付けに環境への視点が取り込まれる日も、そう遠くはないだろう。


(グローカルネイバーフッド代表 後藤浩成)
2002/4/27(土)日本経済新聞(夕刊)「グリーン通信」掲載
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