「渚のミラクルデビュー」(前編)

大伴家
家族4人で朝食を食べている

優二:(小声で)なー、おまえだって、もらっただろ?
真美:(小声で)い、いーでしょ、べつに・・
真美:ごちそうさまー(急いで席を立つ)
真美:パパ、まだー?(小声で)早くしないと駿が行っちゃのに・・
俊夫:わーった、わーった・・ごちそうさま・・っておい(手を引かれて席を立つ)

テーブルの下
ネガ:あいつ、なに慌ててるわけ?
ポジ:バカねー、今日でしょ駿君のー
ネガ:あはは、あーー、はいはい
ポジ:もう・・

俊夫:で?優二は、ほんとにいらないんだな?
優二:へ?あ、ああ・・い、いらなーい・・(そっぽ向く)
俊夫:ほーう、あっそう(小声で)色々知ってていらないんじゃないだろうなー・・
優:(俊夫を見て)俊夫!優二はダメに決まってるでしょ!
俊夫:はは、どっちにしろだめだってさ(優二を見て)
優二:ちぇ・・
真美:い、行ってきまーす(俊夫の手を引く)
俊夫:んじゃ(手を上げる)、さ、脱出脱出と(玄関に行く)
優:もう・・

玄関
「ピンポーン」と呼び鈴が鳴る、立ち止まる俊夫と真美

優:はーい(キッチンから声)
優:うふ(笑顔で俊夫の横を通る優)

玄関を開ける優

愛:優、お待たせー(手を上げる)
優:愛ちゃーん
優:さ、入って入って

玄関に入ってくる愛

愛:あら、俊夫さんお出かけ?
俊夫:い、いやー・・とんでもない・・
優:あはは、そう、よかった

奥に入っていく優と愛

俊夫:・・失敗・・・
真美:(小声で)えーー(俊夫を見る)
俊夫:(小声で)お、終ってからね・・
真美:はーー・・(ため息)

キッチンの入口の壁に寄りかかってる優二、通り過ぎる俊夫

真美:おにーちゃん・・(真横で止まる)
優二:ん?
真美:恨んでやる・・(ドス、ドスと歩いていく)
優二:・・はは(真美について行こうとする)

玄関の閉まる音、肩をつつかれる優二

優二:へ?(振り返る)
絵梨:優二ーー、最低!・・(ドス、ドスと歩いていく)
優二:あ、はは・・こえー・・(トボトボとついて行く)

キッチン
ネガ:だーはははは(笑い転げる)ほ、ほんとにあいつだけでやんの
ポジ:あはは、ま、真美ちゃんには悪いけど・・・ぷ、くく

森沢家玄関
駿:いってきまーす
哲夫:おう
なつめ:遅くなるなら、ちゃんと連絡するのよ
駿:わかってまーす

駿が出て行く

森沢家居間
お茶を飲んでいる、哲夫となつめ

なつめ:まさに運命の再会よねー・・
哲夫:知らなかったって方が、驚きだけどねー
なつめ:ばかねーてっちゃん、それがいいんじゃない
哲夫:あはは、まーね

パルテノン事務所
木所は机に座って書き物をしているそこへ、慎吾が入ってくる

慎吾:おー、木所ーやっとるなー、感心感心(肩をたたく)
慎吾:脚本が早ければ、スケジュールも組みやすいってもんだよー
木所:・・しゃ、社長ー!(顔を上げておどろく)
慎吾:だぁー!(こける)急に大声を出すな!・・ったくー(席につく)

書類に目を通す慎吾、そーっと、席を立って出口に向かう木所

慎吾:あー、ところでな木所(書類を見ながら)
木所:は、はいー!(ビシっとなる)
慎吾:ユミの例のやつなー・・(書類を見ながら)
木所:あ、あはは・・やっぱきいちゃいますー?(振り返る)
木所:・・じ、じつはー・・(同時1)
慎吾:よろこんでたぞー、あいつ(同時1)
木所:・・す、すみませんー!・・(同時2)
慎吾:よくやったな・・(同時2)
2人:・・はー?(目が合う)

慎吾の机の前に木所が立っている

慎吾:この、ぼけーー!(机を叩く)
木所:は、はいー!
慎吾:俺はなー、同年代の女の子と言ったんだ!
慎吾:それがなんで、そうなるんだよ、えーー!
木所:そ、それが、ちょーとした手違いがありましてー、あはは、あーおかし・・
慎吾:しかもだ!・・なんでよりによって森沢さん家の駿君なわけー・・(机にツップする)
木所:・・自分で蒔いた種でしょーに・・
慎吾:(顔を上げて)なんか言ったか?!
木所:い、いえ、べつにー・・
慎吾:とにかくだ・・木所!
木所:は、はい!
慎吾:・・俺が次になにを言いたいか・・わかるよなー・・?
木所:・・えーと・・(上を向いて考える)
慎吾:このボケーー!さっさといってこーい!!
木所:は、はいー!い、いってきますーー

木所が部屋を慌てて出て行く

慎吾:ったくもー・・次から次とー・・

大伴家居間
隣り合って椅子に座ってる、優と俊夫、愛は前の椅子に座っている
その横の床に3人が座っている

愛:それでさー、ほら今って大変じゃない、先生って
優:うんうん
愛:でも私はさー、クラスの子達みんな我が子のように可愛いわけよ
優:あはは、わかるわかる

優二:(小声で)・・あーあー・・始まっちゃった・・
絵梨:(小声で)あんたのせいでしょ!
真美:(小声で)・・はーー(ため息)
絵梨:(小声で)ったく・・これじゃ、言い出せないじゃない・・ねー真美
真美:(小声で)え?・・あ、うん、ほんとだよ
優二:(小声で)は?
絵梨:(小声で)あんたねー・・来週どーするつもりだったのよ!
優二:(小声で)あ・・
絵梨:(小声で)・・だろうと思って、せっかく、真美と作戦練ってたのに・・だいなしよ!
優二:(小声で)・・あはは・・・
真美:(小声で)・・まー、なんとか言ってみるよ・・
絵梨:(小声で)うん、問題はタイミングね・・

優と愛:そこ!(3人を指差す)
優:先生がわざわざ、来てくれてるんだからねー
愛:ちゃんと聞いてないとだめよ
優と愛:ねー(顔を合わせて)
俊夫:・・はは

ソファー下
ネガ:あいつら、この状況でダダこねる気じゃねーだろーなー
ポジ:あはは、まー見てなさいって

パルテノンビル内喫茶店
そわそわしながら、時計を見る駿
奥の席に座っている、帽子に髭にサングラスのおじさん
入口から入ってくるサングラスの少女

駿:じ、時間だー・・お、おちつけー・・(カップを取って飲む)
ユミ:・・しゅーんちゃん(背中をたたく)
駿:ぶーー!(拭く)ユ、ユミちゃん!(立ち上がって振り向く)
髭のおじさん:どぁ!(立ち上がってキョロキョロする)
ユミ:しーー!・・だめじゃない駿ちゃん・・
駿:ご、ごめん・・
髭のおじさん:ふー・・(座る)まいったなー・・
髭のおじさん:こんなことしてる場合じゃないのにー・・

席に座るユミ

ユミ:さーて、どこいこっか?
駿:そ、そーだね、どど、どこがいかなー・・・
ユミ:くす(笑う)お願いだから普通に話して、駿ちゃん
ユミ:・・ん?(サングラスをちょっと下げて奥を見る)
ユミ:ぷ・・やっぱりねー(小声で)あーあー、へったくそな変装ね・・
駿:・・ん?
ユミ:ごめん、ちょっと待ってて(席を立つ)

変装男の席前
変装男はユミが近づいて来たのに気づくとサッと雑誌で顔を隠す

ユミ:あんまりいい趣味じゃないですよ?
ユミ:き・ど・こ・ろ・さん(腰に手をあてる)
木所:(雑誌から顔を出す)・・な、なんでわかったのー?
ユミ:もう、バレバレよー・・いいからこっち来て

大伴家居間
優と愛の話は続く

愛:でも、特に絵梨には、厳しくしてるつもりだけどさー
優:そっかー、絵梨ちゃんはほんとの我が子だもんねー(笑って)
愛:そ、他の子が不公平感じてないか心配で、心配で

絵梨:(小声で)ご心配無く、おもいっきり同情されてますから・・
優二:(小声で)ぷっ(吹く)・・ほんと同情するよ・・
真美:(小声で)うん、うん

愛:ん、なんか言った?(3人を見る)

3人:い、いえ・・(手を振る)

愛:そう・・(優を向く)ところでさー

3人:はーー・・(ため息)

パルテノンビル内喫茶店
木所はユミ達の席に座ると、変装を取っていく

木所:・・えーと・・
ユミ:わかってる、どうせパパでしょ、こんなことさせるの
木所:うん・・まーね・・
ユミ:やっぱりねー(腕を組む)
木所:ぼ、僕としては、なんにも心配してないんだよー・・
木所:・・いい、カップルだと思うしー・・
駿:(お茶を飲んでて)ごほ!おほ!・・(横を向く)
ユミ:くす(笑う)でも、それにしては、なんか元気ないわね
ユミ:心配しなくても、見つけたーなんて、言わないのに
木所:・・うん・・実はー・・もう一つ問題があってねー・・
ユミ:問題?
木所:うん・・それがねー・・

マモちゃん家(回想)
テーブルに台本を置き、ソファーに座っている、木所とマモ

マモ:木所ちゃーん、本読ましてもらったけどさー
木所:なにか、問題でもー?
マモ:ここなんだけどねー(本をめくって指差す)
木所:ええ・・(見る)
マモ:(立つ)主人公達が、初めて会った場所での再会!・・(ひたる)
木所:・・・(見上げる)
マモ:おほん!・・(座る)こんな重要な場面で、思い出を語り合うだけー?
マモ:まずいよー、木所ちゃーん
木所:はー・・
マモ:じゃ、大至急書き足してくれよな、回想シーン!
木所:はい・・・えーーーー!!む、無茶ですよーーーー!
木所:むちゃーー?・・・俺のドラマで、俺が監督なんだ!(立ち上がる)わかったな!
木所:そ、そんなー・・・

木所:って、こーだもんね・・
ユミ:えー!だって撮影は来週じゃない・・
木所:・・うん・・そーなんだよねー・・はは
ユミ:・・それ、パパは知ってるの?
木所:こ、今回のこともあるし・・言えないでしょ、怖くって・・
ユミ:もー、しょうがないなー、あたしから言っといたげる
ユミ:木所さんは、がんばって台本完成させてね
木所:で、でもー・・方々聞いてみたけどー・・いまからー・・
ユミ:大丈夫・・そっちの方はあたしに、まかせといて
ユミ:ねー?駿ちゃん(駿を向く)
駿:え?え?
ユミ:じゃ、とりあえずパパの所へ、ゴー(駿を引っ張っていく)
駿:えーー!

喫茶店から出て行く、駿とユミ

木所:だ、大丈夫かなー・・

パルテノン事務所
ユミと駿が慎吾の机の前に立っている

慎吾:やぁ・・駿君、大きくなったなー・・俺のこと覚えてる?(ピクピクしながら)
駿:え、えーと・・
ユミ:パパ!(机を叩く)今はそれどころじゃないでしょ!
慎吾:あ、ああ、ったく!木所のやつ!、勝手・・
ユミ:そっちでもない!
慎吾:わ、わかった、わかった、今連絡するって・・(受話器を取る)
慎吾:(小声で)お願いだから、めぐみ化だけはしないで・・(泣く)
ユミ:じゃ、私たちは本人達に合いにいこっか(駿を見る)
駿:・・ユ、ユミちゃん・・やっぱむりだよー・・・
ユミ:いいから、いいから、いこ(手を引く)
駿:う、うーん・・

部屋から出て行くふたり

大伴家居間
優と愛の話は続く、その時俊夫の携帯が鳴る

俊夫:わり(席を離れる)

ほとんど無反応でしゃべり続ける二人

俊夫:はい、大伴です・・あー立花さん・・ええ・・えー!だって、期間はきまってるんですよ
俊夫:どーするんです!?・・・・・えーーー!・・・・そんなー・・・
俊夫:はー・・・・分りました、とりあえず今から行きます・・ええ、じゃ

俊夫は携帯を切って、優達の方を向くと、いつのまにか注目されていた

優:なーに、立花さん?
愛:俊夫さんも、大変ねー、あの慎吾相手じゃ・・って、家もだけどさ
優:あはは、で、今から来いって?
俊夫:あー・・ほら今度の磯浜撮影の件なんだけどね・・・で、でさー・・

絵梨:(小声で)ま、真美、今、今!(手で合図)
真美:(うなづく)・・い、いいなー私も見学したーい
絵梨:そうねー、私もたまにはママじゃなくて、パパのお仕事見たいなー・・
優と愛:だー・・(さえぎられる)
俊夫:そうか!そうか!、行きたいか!よーし、俺が連れてっちゃる!
真美:ほんとに!
絵梨:やったね、真美
優:と、俊夫ー・・磯浜なんて泊りがけじゃない、いいの?
俊夫:ま、任せとけって、夏休みだし、お父さんの仕事を見とくもんだよ・・うん
優:・・ふーん、じゃー私もいこーっと
愛:うーん、たまにはいいかもね
俊夫:えー!・・・2人とも、来るの?
優:なによ、私達はだめなわけ!
俊夫:い、いえ、そんなことないです・・・はー(ため息)
愛:じゃー、決まり!
絵梨:(小声で)ま、ざっとこんなもんよ(いばり)
優二:(小声で)おーー(拍手)

ソファー下
ネガ:たいして、かわんないんじゃないの?これって(横目でポジを見る)
ポジ:ば、ばかねー、(上向く)バーッチシ成功したじゃない
ネガ:っへ、成功ねー・・(腕を組む)

クリーミィー店内
駿が入ってくる

駿:た、ただいまー
なつめ:あら!?
哲夫:んー?早かったなー
駿:う、うん・・それがさー・・

駿がドアを開けるとユミが入ってきた

ユミ:おじさん、おばさん(サングラスを取る)おひさしぶりです(おじぎ)
哲夫となつめ:ユ、ユミちゃーん!
哲夫:おおきくなったなー!・・・って、テレビではみてるんだけどね、ははは
なつめ:よく、来てくれたはねー、駿、えらい!
駿:ったく・・俺が言うまで教えてくんなかったくせに・・
ユミ:くす(笑う)、でも最高な再会になったでしょ?
駿:ま、まーね・・かなりあわてたけど・・
ユミ:あはは・・あの時パパ相当ショックだったみたいで、ごぶさたしちゃったから
哲夫:ははは、それを言ったら僕達だってねー?(なつめを見る)
ねつめ:そーね(笑う)
3人:あははは
駿:ん?

パルテノンプロ会議室
慎吾が正面に座り、俊夫とみどりが隣同士で座っている

慎吾:あー・・色々とあたっては見たんだが・・ダメだった(ガクッとなる)
俊夫:えー、ほんとに、全部なんですかー?
慎吾:(立ち直る)も、もちろんだよ!・・と言うわけで、もー時間が無い・・
慎吾:・・まー、ここはひとつ・・・お願い!(手を合わす)
俊夫:んなこと言われても・・・なー、みど・・
みどり:はーーい
俊夫:(こける)って、おまえねー!
みどり:んー?(俊夫を見る)
俊夫:ほーー、おまえ愛ちゃん説得する自信あるんだ
みどり:・・そ、それはー・・
俊夫:だいたい、立花さんが悪いんですよ、優や愛ちゃんにしつこくするから・・
慎吾:い、言ってくれちゃって・・・だからつって・・
慎吾:とんーでもない!手をつかってくれちゃったのは・・だーれだったかなー・・(横向く)
みどり:・・・(顔まっかで、指つんつん)
俊夫:そ、それは!(小声で)・・しぜ・・・ゆき・・・すよ・・
慎吾:(泣きまね)あー、なんて、かわいそうな僕ちゃん
俊夫:わ、わかりました!やります、やります!
慎吾:にー(笑う)じゃ、たのんだよー
俊夫:はー(ため息)じゃ(立ち上がって出て行く)
みどり:え、えーとー・・(マネして)はー・・じゃ(立ち上がって出て行く)

2人が出て行くと、慎吾も席を立って窓際へ行く

慎吾(ひとりごと):ユミがあれほど言う子達だ・・しかも・・
慎吾:・・ぐふ、ぬはは、わはははは(大笑い)

大伴家居間
優と愛が話を続けていると電話が鳴った

愛:あ、電話
優:ん?

優は立ち上がって子機を取りに行く

優:(子機を取る)はい・・なんだ俊夫・・うん・・(ソファーに戻る)うん、わかった
愛:ん?
優:今から戻るって、なんかみどり君も一緒らしいよ
愛:ふーん・・・あ!もうお昼じゃない
優:ほんとだー
愛:じゃー、2人でなんか作っちゃおうか
優:うん!
愛:(3人を見て)じゃーあなたたち、一旦解放したげる
優:あはは、じゃー・・お店に行ってて、出来たら呼ぶね
愛:いっとくけど
愛と優:逃げちゃだめよ、(顔を合わせて)あはは

優二:はは・・・(小声で)うそだろー・・・
絵梨:・・あちゃー・・
真美:・・記録更新の予感・・

ソファーの下
ネガ:お、めしだ、めしだ(出てくる)
ポジ:がっつくんじゃないの(出てくる)
ポジとネガ:わぁ(抱き上げられる)

愛:あなた達は、なにがいかしら(なでる)
愛:・・絵梨も嘘ついたバツなんだから、戻ってくるのよ
絵梨:はーい・・
優二:へ?・・なんだよ、俺のせいじゃないじゃん
絵梨:う、うっさいわね!、いいから、行くわよ
真美:うん
優二:へーへー

ネガ:ぷ・・

絵梨:ん!(ネガを睨む)(ひとりごと)ほんとは誰のせいだとおもってんのよー

ネガ:や、やばい、なんか目が燃えてる・・(そらす)

ポジ:はは・・

3人が出て行く

愛:優、この子達公園で拾ったって、言ったわよね?
優:うん
愛:・・たぶん、あの子達こっそり飼ってたのね(ポジとネガを降ろす)
優:えー!・・あ、でもそーいえば・・あの時・・(6話参照)
愛:まったく、ちゃんと言えばいいのに(腕を組む)
優:(しゃがむ)(小声で)ねー、そうなの?
ポジ:え!・・う、うん・・私たちもビックリしたわ・・
優:(小声で)くす(笑う)そーだったんだ
愛:さー優!始めよっか(キッチンへ向かう)
優:うん(立ち上がる)おっと
優:(しゃがむ)(小声で)じゃーさ、あの子達見張っててくれる?
ネガ:お、おう!
ポジ:わ、わかったわ

クリーミィー店内
ユミ:・・・と言うわけなんです・・
哲夫:へー、あの子達をねー
なつめ:でも、ちゃんとできるかしら
ユミ:大丈夫!・・このあいだ、優二君と絵梨ちゃんには会ったんですけど
ユミ:ピンとくるものが、あって
駿:うーん・・まーあの2人は度胸あるかもなー・・

ドアの近くまで来た真美に駿の声が聞こえる

真美:え、駿!(うれしそうに)

駿:でも・・真美はさーー・・・

ドアが開く

真美:(急に入ってくる)こら!駿、なに私の・・あ!
優二:(入ってくる)どした?(ポケットにネガ)
絵梨:(入ってくる)ん?なに?(ポケットにポジ)
絵梨:えー!な、なんで・・
優二:おー?!

ネガ:ほえー・・あいつ、じぶんちに連れてきてやんの
ポジ:か、感心してる場合じゃないでしょ!

駿:おう!
なつめ:まー、ちょうどいい時に来てくれたわねー
哲夫:ははは
ユミ:こんにちは(笑顔)
優二と絵梨:こ、こんにちは・・
ユミ:(かがむ)あなたが、真美ちゃんね(目を合わす)
ユミ:すごい!(駿を向く)イメージピッタリよ、駿ちゃん(肩をたたく)
真美:む!(駿の腕をつかむ)
駿:そ、そーぉ?・・(真美を見る)
優二と絵梨:ん?(顔を合わす)

大伴家玄関
俊夫:ただいまー・・
みどり:おじゃましまーーす

優:おかえりー
愛:早かったのねー

俊夫とみどりが居間に入ってくる

俊夫:あ、あのさー・・
みどり:え、えーと、そのー・・

優が食器を持って入ってくる

優:ん?なに?あらたまちゃって・・もうすぐできるよ?(食器を置く)
俊夫:あ、はは・・(小声で)み、みどり、早く言えよ
みどり:えーー!なんで僕なのー(小声で)と、としおちゃん、言ってよ
俊夫:ば、ばか(小声で)声がでかいって!
優:ん?

キッチンから声

愛:よーし、こっちは完成!

優:あー、愛ちゃん、ずるいぞー(キッチンに戻る)

俊夫とみどり:はーーー(ため息)

駿の部屋(元、優の部屋)
駿とユミがベットに座り、優二、絵梨、真美が床に座っている

優二:えーーー!・・俺がレイの役で・・・
絵梨:わ、わたしが・・リエ・・
ユミ:うん!で、私の子供時代の役を真美ちゃんにお願いしたいの
ユミ:ね?夏休みのちょっとした思い出に、どうかな?

3人:・・・(顔を見合わせる)

ベットの下
ネガ:あははは、どーりでうまくいくわけだ
ポジ:わ、笑い事じゃないでしょ!

駿:でもいいかー、よーく考えろよー・・あがっちゃって出来ません
駿:じゃ、許されないんだからな?
ユミ:駿ちゃん、そんなにおどかさないの!(コツンと叩く)
駿:おっと、ごめん、ごめん(口をふさぐ)
真美:(小声で)む・・
優二:(小声で)ど、どーすんだよ(絵梨を向く)・・・
絵梨:(小声で)まいったなー・・
駿:でも、真美がユミちゃんの役ってのがなー・・大丈夫かなー・・
真美:む!
駿:俺には、イメージ全然違うんだけど・・
真美:うーーー・・・・私やる!
絵梨:(小声で)ちょ、ちょっと真美・・
優二:(小声で)おい、おい・・
ユミ:ありがとう!真美ちゃん
駿:ほほうーー・・で、真美はこー言ってるけど、おまえらはどーすんだ?
優二と絵梨:・・・

ネガ:あははは、あの顔(指差す)困ってる困ってる
ポジ:バカ!(蹴り)・・・うーん(考える)

大伴家居間
ソファーに座り耳をふさぐ俊夫とみどり

優:ちょっと、それどーゆうこと?!
愛:ちゃんと、説明しなさい!
みどり:あ、あ、あの、えーとー・・
俊夫:なんていうか、その・・急な話でさー・・どーしても子役が必要なんだよ
みどり:う、うん、そーなんだー・・
優:もー!まったくー!
愛:・・そーゆうことだったのね・・(うでを組む)
優:ほーんと、どーりで、あっさりOKするわけだ・・
俊夫:だってさー、知らない子ってわけにはいかないし・・・ほんと困ってるんだよ
愛:うーん、なんとか、してあげたいけど・・
優:でもー・・
愛と優:ダメ!ぜーったいダメ
俊夫:そこをなんとか!・・夏休みのいい思い出になると思うしさ
みどり:おねがーい
優:うーん、でも立花さんの話ってのが
愛:ひっかかるのよねー・・
俊夫:だいじょぶ!(小声で)・・たぶん
俊夫:今回だけ!
優:ほんとかなー・・
愛:まー・・本人達がやるって・・
優:・・言ったらだね
俊夫:ほんと!よかったー・・で、あいつらは?
優:お店に行ってるよ
俊夫:ふーん・・

パルテノン事務所
電話ではなしをしている慎吾

慎吾:おーそうか、OKしてくれたかー
慎吾:あー心配ない、監督も俊夫君もOKだそうだ、じゃー、すぐ帰・・・
慎吾:わ、わかった、わかった・・・(切れる)ま、まあいい・・(電話を切る)

窓まで歩く

慎吾:くく・・ぬははは・・・いざ!磯浜(指差す)