日本テロゲリラ情報98年版前書き

はじめに

 この冊子は、1998年に日本で行われたテロ・ゲリラ事件の声明を収録したものである。

 現在の日本でテロ・ゲリラを行う党派は2つある。中核派(革命的共産主義者同盟全国委員会)と解放派(革命的労働者協会)だ。ここで収録させてもらった声明などは、すべてこの2党派(系)によるものだ。

 本年1998年は、10件のテロ・ゲリラ事件があり、その内訳は爆破や放火などの建造物に対するゲリラが8件(未遂1件を含む)、個人テロが1件、集団による襲撃事件が1件である。数年前と比べると年にゲリラが8件というのはかなり少なく、低調に思える。これは最大党派の中核派が以前に比べると穏健路線に転じ、ゲリラを手控えた点が大きいだろう。

 ゲリラ事件の党派別内訳は、中核派が6件、解放派が1件、党派不明の放火未遂が1件となっている。またゲリラの対象は、未遂も含めすべて成田空港関連であり、ゲリラ党派の三里塚闘争に対する関心の深さがうかがわれる。またゲリラの標的が空港関連施設だけではなく、運輸省の官僚の自宅や県議会議員の自宅兼事務所など個人テロの様相が濃くなったのもここ数年の特徴である。

 今年行われた個人テロと襲撃事件は、明治大学における解放派とヘブン研との抗争によるものだ。新左翼党派と右翼宗教の衝突が、宗教者(牧師)への個人テロ事件にまで発展した点が注目される。テロ・ゲリラと単なる衝突事件をどこで線引きするかはかなり難しい問題であるが、最初の衝突で負傷者や逮捕者が出ている点、個人テロ事件に発展した点、行動に綿密な計画性が見られる点、機関紙などで声明が発せられた点を考慮して解放派とヘブン研との抗争はテロ・ゲリラ事件に分類した。この他にも今年は富山大における中核派と革マル派の衝突などがあったのだが、にらみ合い程度の事件でテロ・ゲリラとはいえないと判断し、ここには含めなかった。

 新左翼によるテロ・ゲリラ事件では、その意義を強調する声明が発せられるのが普通である。単なる放火や暴力事件と異なり、政治性を持つ行動であるためであろう。中核派の場合はゲリラ行動の数日後、まず新聞社など報道機関に声明が郵送される。電話ボックスや大学の構内でビラのかたちでおくこともあるようだ。それから一週間か10日程度遅れて週刊機関紙に軍報速報が掲載される。さらに翌週の号に軍報詳報が掲載されるのが普通だ。解放派の場合は、機関紙の発行が不定期であるため軍報速報と軍報詳報が同時に掲載されることも多い。報道機関に郵送された声明は入手が困難であるため、本誌では機関紙に掲載された軍報速報と軍報詳報を使わせてもらった。解放派によるヘブン研へのテロ事件は、舞台となった明治大学で数多くのビラなどが配布されたため、一次資料としてそれも使わせてもらった。

 


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