セルパ、息子への手紙

この文は、4月23日にペルー軍特殊部隊に射殺されたMRTA指導者ネストル・セルパが、4月13日付けでフランスの息子に宛てた手紙である。保証人委員会のシプリアニ大司教により公邸から持ち出され、セルパ指導者の死後遺族のもとに届いた。セルパ指導者の妻は、国会襲撃計画に参加した容疑で軍事裁判にかけられ終身刑で服役中である。4月29日付け朝日新聞より転載した。

戦死したセルパ指導者

親愛なる息子ネストルよ、初めに君と君の弟に抱擁を。君がこの前の私の手紙を受け取ったと知り、とてもうれしい。お母さんとの手紙は、やりとりできたのだろうか。

シプリアニ大司教が、君が彼に送った手紙を見せてくれました。君のしっかりした言葉遣いと熱い思いに感動しました。

シプリアニ大司教と知り会ってから3ヵ月、私たちは友人になり、お互いに理解し合うことを学びました。彼が君の望んでいるような良い解決方法を探すことのできる人であると思うようになった。

手紙を書いて解決法を探そうとしたのは、素晴らしい考えです。なぜこんなことが起きたのか、君が理解することは、とても大切です。わたしもお母さんも、君が両親のためにしてくれたことを決して忘れません。いつかまたみんなが一緒になれればと思います。とりわけ、お母さん。なぜなら君たちも私も、とてもお母さんを必要としているから。

ほかのことを言う前に、ひとつ確認したい。いつも君に言うことだが、連帯は最も大切な美徳です。私は、刑務所にいる仲間と連帯しています。特に君のお母さんと。そうすることで、君たちとも団結していることになるからです。君たちにはお母さんが必要で、これ以外に刑務所から救出する方法はないのです。

確かにわれわれによって人質にされた人々の家族も悲しんでいる。でもいつの日か、君たちのような、苦しんでいる子供たちがいることを理解し、傷口はふさがるでしょう。

私を信じ続けなさい。決して失望させません。いつかこの日本の公邸から出るとすれば、それは君たちが望み、夢見ることを実現したときです。つまりお母さんを刑務所から救い、お母さんに触り、そして両腕でしっかり抱いてもらうことです。

さて、我がペルーのサッカーはあまり調子良くありません。二週間前にリマでエクアドルと引き分け、来年のフランスでのワールドカップに行ける可能性は小さくなってしまいました。もちろんチャンスはあるが、まあ無理かな。ペルーが立ち直り、出場できるよう祈ろう。だめなら、他の南米チームを応援すること。南米人としてそうすべきです。君のひいきのチームはどこかね。

写真受け取りました。かわいい女の子に囲まれて笑っている君を見ました。フランスの女の子は褐色の肌の男が好みらしいよ。だから君は合格。でも、今は勉強をし、どんなスポーツでもやってみるとき。友達(特に女の子かな?)と楽しい時を持ちなさい。

公邸では毎日が同じです。ニュースを聞き、ゲームをし、スポーツをする。小さい室内サッカー場を作りました。君とサッカーをした、幸せだった時を思い出しています。

ここにもサッカー友達ができました。君のような負けず嫌いもいます。君もいつか、この「負け知らず」チームで一緒にやるかな。

この辺で終わりにします。お母さんへの手紙には、私が彼女を今ほど愛していることはないと、そして「誰がために鐘は鳴る」(ヘミングウェーの小説)を思い出し、私は何が起きてもあのグレゴリーのようにふるまうと伝えてください。忘れないで。

家族みんなに愛を込めて。君を熱愛する君のパパより。


セルパ指導者の息子、ネストル君が大司教へ送った手紙。いつ書かれたものかは不明。4月29日付け朝日新聞より転載。

私の名前はネストル・セルパで、十歳です。ぼくの弟は三歳です。二人の名前で手紙を書きます。

日本大使公邸の問題が良い解決となりますようにご協力ください。

ぼくたちは、親と遠く離れて、毎日思い出しています。どうして、ぼくたちの親がほかの人たちと同じように、理由がなく死ぬまで刑務所に入っているのか分かりません。ぼくのお父さんは良い人です。ぼくも手伝いたいです。そして、弟と一緒に抱きつきたいです。シプリアニ様。いろいろありがとうごさいます。良い知らせを待っています。

お父さんに言ってほしいことがあります。ぼくたちはお父さんのことを尊敬しています。


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