北のりゆき

読書・ゲーム日記09

20061010日 オタク・イン・USAを読む

 あまり面白いので一気に読んでしまいました。単にアニメが好きな人というのではなく、あるものに異常な執念を持って耽溺する若干社会性が欠如した人をオレはオタクと考えています。アニメや特撮のオタクが多いですが、さまざまな特殊オタクも存在します。オレなんかは危険物オタクで、銃やら爆弾やら麻薬やら裏ビデオやらオウム真理教やらナチスやら過激派やらにはまってさまざまな危険物を収集。仕舞いにはとうとうケーサツが……ぶつぶつ。

 オタク・イン・USAの作者は、アメリカのアニメ・特撮オタクです。ここではオタクを日本のアニメや特撮、それにマンガに狂っている人としているようです。日本ではマイナスのイメージが強い「オタク」という言葉も、アメリカではけっこうポジティブに使われています。この人は黎明期からのオタクで、この本を読めば、70年代から始まるアメリカのジャパニメーションの受容の歴史を俯瞰することができます。かなり片寄ってるんだろうけど…。

 内容は、おおよそ三部に分かれています。最初にアメリカ・オタクの歴史。次にアメリカ・オタクの現在。そしてアメリカ・オタク列伝です。面白かったところをいくつか紹介しましょう。

 宇宙戦艦ヤマトのアメリカ版では、あのデスラー総統がオカマ声に吹きかえられていた。

 ウルトラセブンの吹きかえは、原版にはない駄じゃれ満載でアメリカ・オタクをうんざりさせ、アイスラッガーのちょん切りフィニッシュが残酷表現の規制でカットされているため何がなんだか分からない代物になってしまった。

 15歳でネオナチのドイツ系美少女オタク。

 ピンク・レディー・ショーがアメリカの史上最悪のテレビ番組の35位にノミネートされた。

 ちょっと真面目に書きますと、これらのエピソードを読んで感じるのは、もともとキッチュな日本アニメや特撮を、さらにキッチュに変形し、切り刻んで消費していくアメリカ文化の貪欲さと刹那性です。永遠の真理やら神性を追究するヨーロッパ文化と比較すると、日本の文化は瞬間の美を求めます。哲学書と俳句の差とでもいいましょうか。日本文化は、その瞬間が美しく楽しければいいじゃないかという快楽主義に通ずる気がします。その中でも最も快楽主義的なアニメやマンガが、巨大なアメリカ消費文明にぶつかるとどうなっていくのでしょうか。アメリカは非常に宗教的な国です。宗教の縛りから最終的には反発を受けて弾き飛ばされるのか、なにか新しいものが生まれるのか。それともグロテスクなものが生じるのか。興味深いものがあります。

 そんなに難しいことを考えなくても読み物としても非常に面白く、一晩で読んでしまいました。翻訳もとてもよい感じです。

アマゾンで買えます。

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