北のりゆき

読書・ゲーム日記07

2005815
おまえのなつやすみをプレイする

 周知のことでしょうが、ワタシはエロゲーが好きです。とりわけバカバカしいエロゲーが大好きです。このゲームの登場人物は、わずか3人。しかも、キャラクターは一歩も家から外へ出ず、ずーーーーーっと同じ家の中で引きこもっているという、なんだか前衛映画のようなゲームです。

 メーカーホームページより、あらすじです。

「夏休み、ハワイに行くから」

両親の言葉を聞き、友人たち、近所の人、親戚…… あらゆる人々に「夏休みは家族でハワイ旅行に行くのさ」などと自慢げに言いふらしてしまった少年。しかし身勝手な両親は、実は自分たちだけで旅行に行く計画を立てていただけのことだった。

夏の盛り、家に取り残された少年と、その妹。

水泳部員の妹もまた、部活を休む代わりにハワイでしっかりと焼いてきて、夏休み明けの「校内日焼けコンテスト」で見事優勝して見せる、と大見得を切ってしまっていた。友人、知人に、近所にいる姿を見られるわけにはいかない。かくして、世を忍ぶひきこもり生活が始まった。

やがてそれはエスカレートしていき、様子を見に来た従姉を巻き込むあたりから、少年少女たちの暴走が始まる……。

 

 蒸し暑さが印象に残りました。主人公の名前からして『あつし』で、妹は『ころな』、従姉は『ほむら』だし。

 主人公の顔は、ほとんどデビルマンの不動明ですね〜。この顔でエロをやられるとかなり暑苦しいですよ。狙ってのことなんだろうけど、見事に成功しています。

  主人公あつし

 妹(といっても大人の都合で義妹という設定です)は、巨乳でちょっとアタマの足りない女の子です。兄に言いくるめられてバカなことにつき合わされ、親の留守をいいことに兄とセックスしちゃいます。思わず「こんなにチチがデカくて乳首がつんつんにとんがった妹なんていねぇよ」と、つっこみたくなりますが、水着の日焼けあとがいい感じです。単純おバカな女の子が好きな人におすすめです。

  義妹ころな

 このゲームの重要な要素が『ハワイ』です。ハワイに行けなくなりちょっとおかしくなった主人公は、自宅をハワイに見立て、女の子にハワイなことを強制します。自宅ハワイ化計画に引き込まれる従姉のほむらさんは、痩せ型で貧乳。ノホホンとしているけど見栄っ張りで非常に順応性が高い。何でもしてくれる1歳年上のおねいさんです。ちょっと語尾が上がる独特のしゃべり方といい、ジャスト好みでしたね。

  従姉ほむら
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 引きこもった兄妹+従姉に、さまざまな困難が襲いかかります。台風の襲来、エアコンの故障、停電、食料の欠乏、給水の停止などなど。三つ巴にバカで無意味な性行為にふけりつつ、ハワイな方向に危機を乗りこえていきます。そのセックスも情熱的というより、どう書けばいいのかなぁ…。こんな感じです。アパートに彼女が転がりこんできたけど、あいにくクーラーは壊れている。昼は暑くて二人でくたばっていて、夜になって少しすずしくなると「することないからセックスでもするか」と女の上に乗っかる。「えー、暑いよー」と、ちょっとやる気のない女の上にポタポタと自分の汗がしたたるてなイメージなんですね。なんというか、暑くてくたびれそうなエロです。

 
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 何度も書くけど、とにかく暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い暑い!。これはハワイというより、湿気の多い日本の夏の感覚ですね。登場人物はみんな汗デクデクです。もちろんエロシーンも常に汗まみれでいい感じです。暑さのあまり女の子二人は、いつも素っ裸で屋内をウロウロしています。唯一の食料であるソーメンを食べる際もヌードで、なんともシュールでした。

 食料不足ゆえ三食ソーメン

 エロ場面では、射精シーンになると画面が変わり花火が打ち上げられます。さまざまなエロゲーが射精シーンを工夫してきました。画面が白色に点滅したり、ブラックアウトしたり、画面をゆらしたり…。その中でも花火の打ち上げとは、なかなかのバカバカしさです。全体にこんな調子で、とにかくふざけています。爆笑するという感じではありませんで、バカバカしくて苦笑い。だんだんキャラのすることがヘンな方向にズレていくのがおかしくてしょうがない、という感覚のゲームでした。

 原画は長岡建蔵氏。非常に達者な絵を描く人で、以前から注目している作り手さんです。変わり種ゲームの原画を多く手がけています。地獄におちてきた女の子を鬼になって拷問するというSM?ゲーム『地獄SEEK』。最強の鬱ゲームとして有名な『さよならを教えて』。ねじ式+銀河鉄道999+美少女というシュール怪作『ふしぎ電車』など。この人の関わったゲームは、記憶喪失の男が環状線を意味もなくグルグル回ったり、アタマのおかしい教師が夕暮れの校舎をうろつきまわったり、なぜか閉塞感の漂う作品が多いんですよね。

 価格は三千いくらか円で、音声入りエロゲーとしてはかなり安いと思います。名作とはいえませんが、廉価なのにていねいに作られた良作だと思います。バカバカしくて楽しめるゲームをなーんも考えないでプレイしたい、という人にうってつけです。

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 アマゾンで買えます↓

  おまえのなつやすみ
 メーカーHP(flyingshine)体験版があります。

  PIL collection SM3800シリーズ 地獄SEEK
 メーカーHPより。究極の鬼畜タイトルが地獄の底から蘇った。地獄の鬼となって、可憐な美少女達を責め苛む拷問シミュレーション。八つ裂き、餓餌食、断頭台をはじめ、筆舌に尽くしがたい責め苦が展開する。長岡健蔵が渾筆をふるった、美しくも残酷な絵物語!! たしかに作画が非常に綺麗です。ちょっと古いゲームなので廉価版が二千円台で買えます。音声無しなのが惜しい。

  さよならを教えて ~comment te dire adieu~
 ちょっとアタマがおかしい教生の先生が、夕暮れの校舎をさまよい妄想し女の子と出会うというゲーム。あまりに鬱なため気分が悪くなり40分でプレイを断念。なんだかなー。

  ふしぎ電車
 ねじ式+銀河鉄道999+美少女という怪作。不条理エロゲという新境地を開拓? とりとめのない夢のような話です。ふしぎ電車がループして女の子との出会いをくり返す。オープニングにかかるチンドン屋風音楽が秀逸。キワモノが好きな人におすすめです。新品は売り切れ。アマゾンで中古が二千円台で買えます。定価で買うのはちょっとアレだと思いますが、二千円台だったら買ってもいいかと。

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2005827
Quartett!(カルテット!)をプレイする

  2005225日の日経新聞に、『ルパン三世』のモンキー・パンチ氏が大学院で修士論文に取り組んでいるという記事が載っていました。研究内容は、「漫画とデジタル技術を融合し「デジタル漫画」という新しいカテゴリーを生み出すにはどうすればいいか。」というものだそうです。いいお年の漫画家が大学院で2年も研究するというバイタリティーはすごいですし、なにより漫画とデジタル技術の融合という研究内容は、興味深いものです。ゲームやアニメもあわせれば数千億円という経済規模を持つにいたったマンガは、とうとう東京工科大なんていうところで研究される対象になったんですね。

 モンキー・パンチ氏の結論は「漫画とデジタル技術の融合について二年かけて研究したが、果たして融合が可能なのかどうか。正直に言えば、いまだに分からない。融合させた作品を世に送り出していないからだ。」としています。しかしゲームの分野では、すでにマンガとデジタル技術の融合といってよい作品が生みだされています。それがこの『Quartett!(カルテット!)』です。

 このゲームでは「フローティング・フレーム・ディレクター(略称FFD)」というシステムを採用しています。具体的に文章で説明するのは難しいのですが、ゲーム画面をマンガのようにコマで区切り、まるで原稿を動かすように強調するコマを動かしたり、色を変えたりします。さらに声優がしゃべるとフキダシが現れ、中にセリフが提示されます。マンガでは不可能なコマ絵とフキダシを動かすという技法が使われているわけです。今までのゲームは、一枚絵と叙述的な文章で情景を描写しなければなりませんでした。ところがこのゲームでは、動きのあるフレーム(コマ絵)による流動的な演出に成功しています。ひとことでいえば動くマンガのような演出です。セリフにあわせてフキダシが動いたりするのが、なんとも面白いのです。まったく新しい表現技法が生み出されたのではないかと、プレイして驚嘆しました。

  

 上の例では、まず屋内の様子を表す背景画が描かれ、その上に左のお辞儀をしている女の子が時間差をもって乗ります。次に画面中央上の主人公の顔の付いたフキダシ、右の金髪少女の絵が時系列にしたがって出現し、挨拶を返す金髪少女の声優の演技に応じて2番目と3番目のフキダシが現れます。この例だけでも、今までにないタイプの作品であることが理解できるでしょう。

 小手先細工の技術だと思われるかもしれませんが、表現のための手段は重要です。たとえば同じシナリオでも、音声のみのラジオドラマとテレビドラマでは、視聴者の受けるの印象はまったく異なってきます。もちろんどちらが上というわけではありません。小説・絵本・マンガの関係でも同様です。ゲームは、マンガと比較すると色がついていて、音声があり、効果音や音楽がある。いうなればマンガとアニメの中間のような位置づけで捉えていました。電話と手紙の中間にEメールがあるというような感覚です。そして、このままゲームが進化すると、アニメのほうに寄っていくのではないかとも感じていました。『Quartett!』のように、ゲームでマンガ特有のコマ割りやフキダシといった技法を効果的に使うということは、まったく思いつきませんでした。まさに目からうろこ、コロンブスの卵です。

 キャラクターデザインは、『北へ。』の原画をされた大槍葦人氏。ゲーム界で最も個性的で美しい絵を描く人だと思います。『Quartett!』を出したメーカー、LittleW itchの社長もなさっているそうで、FFDシステムを考案したのも大槍葦人氏だそうです。これほど素晴らしい絵を描くのに仕事もできるんだなぁと、感服してしまいました。絵を描き、システムを考案し、人を集め、金を集め、リスクを負って会社を設立し、人を指揮して、革新的な作品を作り上げる…。すごい才能です。

 ロリだけど…

 『Quartett!』のストーリーは、攻略対象の三人の女の子ごとに分岐します。おおむね三つの話が収録されています。ひとつの話をクリアするのに45時間といったところでしょうか。最近のゲームとしては、若干ですが短いと感じられました。でも、たいした問題とも思いません。長いだけで中味のない退屈なゲーム多いなかで、『Quartett!』は、演出面で非常に密度の濃い作品でした。ゲーム中に登場するコマ絵の枚数は数千枚だとのことで、通常のゲームの数倍の量です。演出などにも膨大な手間がかかっています。この密度でこれ以上の長さを求めるのは酷というものでしょう。

 システムは革命的に斬新。作画は最高水準。音楽は本物の弦楽演奏を使って美しく。声優は上手という、完璧と思えるゲームですが、欠点もあります。シナリオが面白くないのです。オーストリア(だと思う。たぶん)の音楽院を舞台に、主人公が女の子ばかりのカルテット(四重奏)に加わり音楽コンクール出場を目指すという、よくあるタイプの恋愛アドベンチャーゲームです。システムに目を奪われ退屈するということはないのですが、ストーリーがどうもつまんないんですよね。つたないというわけではありません。なんというか、「どうすればキャラクターを印象的に登場させることができるか」とか「どうやって読み手にキャラクターを感情移入させるか」とか「どのようなパターンを使って読み手に面白いと感じさせるか」ということを、ほぼ考えていません。つまり、どうしたら面白く読ませられるかということに、知恵をしぼっていないのです。シナリオは、よくあるゲームの水準で、これならオレでも書けるのではといった程度のものです。システムや作画に費やした労力の半分でもシナリオに使ってもらいたかった。これでシナリオが水準以上だったら神作品になっただろうと思えるだけに、惜しくてなりません。

 この作品は、マンガやゲームなど表現に関わる仕事を志す人にぜひプレイしてほしいと思います。必ず得るところがあると思います。

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 Quartett! 初回版
 近々エロを抜いたPS2版が出るそうです。初回版にはフルカラーブックレットとサウンドトラックがついています。

 白詰草話 ~Episode of The Clovers~
 FFDシステム採用の第1作。SFです。サウンドトラックがついています。

 少女魔法学リトルウィッチロマネスク 初回限定版
 Little Witchの最新作です。まだ未プレイなんだけど、残念ながらFFDシステムをあんまり使ってないとのこと。

 北へ。 DiamondDust ハドソン・ザ・ベスト
 大槍葦人原画のドリキャスゲームのPS2版。北海道を旅行中の主役が、5人のヒロインと出会うゲーム。300ヶ所以上の実在の場所が写真で収録され背景として使用されています。価格が3千円ちょっとで安い。

 北へ。 DiamondDust+Kiss is Beginning
 大槍葦人原画のPS2ソフト。『北へ。DiamondDust』の続編。後日談など。

 Littlewitchホームページ Quartett!のメーカー。体験版などがあります。

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