第 2 章

どーしてアルミと   
   酸化鉄(V)なの?



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 テルミット法の意義は、金属酸化物を還元することもさることながら、やはりボー大な熱エネルギーを簡単に取り出せるところにあるといっていいだろう。

 ここでは、なぜ溶接現場でテルミットとして
AlFe2O3の混合物が良く使われている(た?)のかを考えてみよう。


 まず始めに、テルミット法に用いる物質は、金属粉末と金属酸化物であれば何でもいいというわけではない、ということを理解してもらいたい。熱力学の理論によれば、
自発的に反応が進むためには、dG<0(発熱反応)となることが必要である★筆者注1★)ので、利用できる物質はおのずから制限されてしまう。

 
第1章の熱化学方程式を例にとって考えてみよう。右向きの反応はdG<0であるので、点火してやれば反応は自発的に進む。逆に左向きの反応では、dG>0(吸熱反応)となるので、外部からエネルギーを供給してやらないと反応が進まない。よって、考えられうる金属と金属酸化物の組み合わせのうち、半分はテルミットとして利用できないことになる。

 また、反応にともなう発熱量が少ない組み合わせは、溶接や(ピー)にはほとんど利用価値がない(冶金には利用できるけどね)。

 そこで、化学定数表で金属酸化物のdGf゚(kJ/mol)を調べてみたら、
金属2mol当たりでAl2O3よりも大きい値を持つものは見つからなかった。次点はV2O5(五酸化バナジウム)の−1419.6kJ/molであり、あのMgOですら−569.44kJ/mol(金属2mol当たりで−1138.88kJ)である。

 さらに
AlFe2O3は入手も容易である上に、安定かつ比較的安価である。また金属酸化物にはFe2O3よりもdGf゚の小さいものを使えば発熱量は大きくなるのだが、入手のしやすさ、扱いやすさ、安定性、安全性、価格などの点でFe2O3の右に出るものは無い(と思う)。


 以上の理由により、テルミットとしては
AlFe2O3の混合物が広く利用されているのである。


★ 筆 者 注 1 ★

 自発的に進むといってもやはりきっかけは必要である。たとえば・・・・・・

 H2(g) + 1/2O2(g) →→→ H2O(l)

 この反応が右向きに完全に進んだとき、dG=−237.26kJ/mol<0(298Kにおける値)である。それゆえ反応は自発的に進むのであるが、反応速度は非常に遅く、約3億年かかるといわれている(誰が言ったんだ?)。ところが、この水素酸素の混合気体の中で電気火花を散らしてやると、反応は爆発的に進行したりする(実際に爆発するぞ)。




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