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2007年5月20日


背景文書


          



第2回UNI世界テレコム部会大会

(2007年4月20〜21日、ギリシャ・アテネ)


 

4月20〜21日、ギリシャ・アテネにおいて、世界48ヶ国68組織から217名(代議員171名、オブザーバー42名、ゲスト4名)が結集し、第2回UNI世界テレコム部会大会が開催され、日本からは、NTT労組12名、KDDI労組3名、情報労連7名が参加した。今次大会のテーマは「UNIテレコムの長期的発展、仕事への投資」であり、@規制と競争、融合等の技術革新とそれらが労働者に与える影響、A多国籍企業とグローバルな組織化、Bプライベートエクイティファンド(PEF)の台頭と労働組合の対応等、テレコム労働者が抱える各課題について、熱心に議論した。

 世界テレコム部会大会は4年に1度、各国のテレコム事業の動向や労働組合の取り組みを共有し、UNIテレコム部会の今後の行動計画を策定するために開催されるものであり、第1回大会は2003年6月にクロアチア・ザグレブで行なわれた。今次大会では、この間の取り組みの総括と課題の洗い出しを行なうとともに、向こう4年間の行動計画と、それらを実現するためのUNIと加盟組織のコミットメントを確認した。


投資と雇用につながる規制

 各国テレコム産業では、市場経済主義という名の下に無秩序な規制緩和やテレコム企業の分離が行なわれている。その結果、技術革新の遅れや雇用への悪影響が世界各国で目立っている。こうした状況を打破するために、UNIはウェブ上に「規制フォーラム」を立ち上げて各国の状況をデータベース化し、規制電話会議を定期的に開催するなどの取り組みを進めてきた。

 大会に先立ち、ギリシャのマスコミを招いて記者会見が行なわれた。その場で、UNIテレコムは、現在の競争促進のための規制緩和への懸念を表明した。「各国の通信規制は、実効的なネットワークへの投資に結びついていない。今後、NGN(次世 代通信ネットワーク)が本格化する中で、スキルの高い技術者の不足が予想される。ネットワークへの投資と人材への投資が必要である」と訴えた。

大会では、投資と雇用につながる規制のあり方について議論した。その結果、労働組合自身が規制問題に関わっていくことの必要性を認識。UNIと加盟組織は、各国の規制機関や政府に対するアプローチを強めるとともに、産業発展と雇用確保に向けて規制問題に真摯に取り組んでいくことを確認しあった。

プライベートエクイティファンド(PEF)

 PEFとは、未公開株式を取得し、株式公開や第三者への売却でキャピタルゲインを得ることを目的としたファンドのこと。大会ではPEFが投資目的で各国の通信会社を食い物にしている事例が数多く報告された。実際、アイルランドやデンマークの旧国営通信会社は民営化以降にPEFのターゲットとなり、大規模な人員削減を余儀なくされ、結果的に国の通信技術・サービスが諸外国より遅れを取ったという苦い経験を持つ。

 ダンスクメタル(テレデンマークが加盟する産別労組)の代議員は自らの経験から、「新しいオーナーとの対話は事実上不可能であり、組合はこのような動きを事前に察知しなければいけない」と訴えた。ジェニングスUNI書記長は最近のPEFの無謀なふるまいを指して、「PEFがCSRを無視していることに怒りを覚える、UNIは他の国際労働組合とも連携してPEFを追及していく」と述べた。同時に、大会参加者に対して情報提供が呼びかけられた。

組織化の取り組み

 UNIテレコムの加盟組織の多くは、既存の固定部門従業員を中心とした組織機構で、携帯電話会社の従業員や、パート・非典型労働者などの新しい部門に働く従業員の組織化が総じて遅れている。UNIテレコム部会として、今後、どのような組織化アプローチを取れるのかについて、大会で議論した。

 情報労連代議員を代表して発言した三木組織拡大部長は、主に「情報サービス業界の仲間づくり」に関する情報労連の取り組みを紹介するとともに、「すべての労働者の均衡待遇の実現と労働組合への結集に向け、引き続き全力で取り組んでいく」と力強く決意を述べた。

 また、NTT労組ドコモ本部・佐野委員長は、「契約社員の組織化の現状と課題」として、@契約社員に対する組織化のアプローチ、A契約社員の労働条件改善の取り組み、B労使間による契約社員の位置づけの共有について説明し、最後に「組織化に粘り強く取り組み、着実に実績を重ねる」と報告した。

 さらに、従前からの課題である多国籍企業の組織化にもこれまで以上に力を入れ、グローバル協定の締結と実施に向けた取り組みを継続していくことを確認した。

 

UNI世界テレコム部会議長選出

 最後に、議長選挙が行なわれ、NTT労組・森嶋委員長が満場一致で新議長に選出された。今大会で勇退となるラリー・コーエン議長(全米通信労組)からバトンを引き継いだ森嶋新議長は、UNIテレコムの長期的発展に向け、@組織化・組織拡大、A交渉権の確保と交渉力の強化、Bスキルアップと雇用、の各課題についてテレコム部会が一丸となって取り組みを進めていこうと訴えた。

 前議長のラリー・コーエン氏は、「テレコム労働者のディーセントな雇用と長期的発展のため、森嶋新議長が率いる新UNIテレコム部会の活動を支援していく」とエールを送った。

UNIテレコムの課題

4年前に開催された第1回世界テレコム部会では、「民営化と企業再編」、「規制と競争」といったテーマについて議論が行なわれた。議題は現在とさほど変らないが、取り巻く状況は大きく変化した。

4年前の大会では、どちらかと言えば「既存事業者に働く従業員の雇用確保ありき」のスタンスでの議論であった。しかし現在は、非典型労働者や携帯電話会社の従業員といった新しい形態の労働者をいかに組合に結集させるかという点に主眼が置かれている。

前回大会では、日本からは新しい通信サービスとして次世代携帯電話(3G)の報告が行なわれたが、欧米の参加者からは「コストがかかりすぎる」として、遠い未来の話として受け止められていた感がある。だが、この4年間で通信産業が予想以上のスピードで変化したため、世界の労働組合の意識も一変した。今では日本の通信産業の状況や労働組合の対応への注目は高まり、加えて、日本に対するリーダーシップや期待感はこれまで以上に高まっている。

今、国境を超えたアウトソーシングやオフショアリング、PEFの台頭などの新しい事象も生じ、今や一カ国内での課題解決は不可能に等しい。その意味でも、グローバルな視野に立ったUNIテレコムの戦略づくりへの参加や、世界の加盟組織が一丸となった行動への参画は、日本のテレコム労働者のためにも不可欠である。今、諸外国の状況や経験から学ぶところは大きく、情報を共有するという観点からもUNIテレコムの枠組みを活用することのメリットは大きい。テレコム産業に働く者にとってUNIに結集し連帯を強めることは、もはや選択の問題ではなく、必然であろう。

(NTT 労組国際担当 木村富美子)