ニュース・デスクへ戻る − ホームへ戻る

2007年5月20日

世界的ネットワーク化


グローバル化、自由化された郵便市場の展望






第2回UNI世界郵便部会大会
(4月26〜28日、ギリシャ・アテネ)

 


 4月26日〜28日にギリシャ・アテネで世界郵便部会委員会及び第2回UNI世界郵便部会大会が開催された。日本から全郵政・JPUから25人の代議員・オブザーバー、伊藤UNI東京事務所長が出席した。

今大会は、急速に進む自由化・規制緩和に反対し、郵便のユニバーサルサービスを守るための世界の郵便労組の連帯の場となった。大会は2009年1月に計画されているEU加盟国の郵便市場完全自由化反対のキャンペーンで始まり、大会最後の議題では、「UNI郵便部会」から「UNI郵便ロジスティクス部会」への名称変更が全会一致で承認された。

UNI郵便ロジスティクス部会は、再選されたドイツVer.di出身のロルフ・ビュットナー世界議長の下、UPUやITF(国際運輸労連)等と協力しながら、郵便のユニバーサルサービスをいかに守っていくか、そして今後のDHLなどの多国籍ロジスティクス企業の組織化に向けた活動に焦点が当て活動を強化していくことを確認した。


標記会議では、翌日開催される世界郵便大会の議事進行や討議内容について話し合った。各国委員が自国の郵便市場がEUの市場完全開放によって受ける影響について発言した。菰田世界郵便部会委員は「単に民営化=経営形態の変更ばかりではない。アジア各国では透明性の欠ける企業が郵便事業改善のために各国郵政事業体に雇われている事実がある。また世界の郵便事業の郵電分離、金融部門の分離、株式会社化、そして郵便局ネットワークの解体がパターン化されている。UNI等と連携し、各種対応がますます重要になってくる」と発言した。

各国代表が郵便局の制服で登場

 標記会議は、世界44か国、57加盟組織、271名(うち女性71名)の参加で開催された。

開会式

 開会式はUNIジェニングス書記長、ギリシャポストCEO、ギリシャ運輸通信大臣らが出席した。ジェニングス書記長は、配達員の制服を着て自転車に乗って現れた。そして「郵便局は全国に安い料金で郵便サービスを提供し続けてきた。今、このユニバーサルサービスと郵便局のブランドを守る闘いは価値がある。5〜6月の政府・人々・国際労働組織を巻き込んだ活動を行ってEUの郵便指令を変えていこう」と自由化反対キャンペーンへの支持を訴えた。開会式の最後には、ヨーロッパ各国の色鮮やかな郵便局・配達員の制服を着た代議員・オブザーバーらが「私の郵便屋さんに手出しをしないで」との横断幕を掲げ、部会全体のキャンペーン参加を呼びかけた。



日本の発言@<民営分社化>

全郵政
山口 義和 委員長

10月1日から、日本郵政は分社化をともなう民間会社としてスタートすることとなった。民営・分社化の実施・承継計画には、職員の帰属先、労働条件などが含まれ、労働組合との協議の中で進めていかなければならないものが多い。労働組合として組合員の雇用と労働条件を守ることは最大の責任だ。今後も、「郵便局ネットワークの維持と国民の利便に支障が生じないよう万全を期すこと」、「民営化委員会が行う3年ごとの総合的な見直しの中で、必要に応じて措置を講ずること」、「職員が安心して働ける環境づくり」、「良好な労使関係の維持」などについて、着実に実施させるよう交渉を強化していきたい。






日本の発言A<自由化の動向>

JPU
竹内 法心 副委員長

日本で大きな問題となっているのはリザーブドエリアの設定基準のあり方。日本ではリザーブドエリアの範囲を信書であるかどうかによって区分しており、信書でないものは自由競争となっている。欧米の多くの国ではリザーブドエリアの範囲は、書状の料金や重量で区分する分かり易い設定になっているが、日本は非常に曖昧な「信書」概念で基準設定している現状だ。そのため、『これは信書ではありません』と表示した民間宅配事業者の脱法的なメール便が大量に出回ることとなり、事実上のクリームスキミングが発生している。さらに政府は、全国規模でサービス展開する民間事業者の新規参入を促進するため、今年の2月から政府内に学識者・専門家等による「研究会」を設置し、一層の自由化策を検討している状況にある。私たちは政府内の検討動向に万全の注意を払いながら、その対応策の検討を急いでいる。


日本の発言B<金融サービス>

全郵政 臼杵 博
北海道地本委員長

郵便局ネットワークについては、民営化後も現在24,000の拠点サービスをもつ郵便局の全国ネットワークは維持される。しかし、収益基盤がぜい弱な過疎地域において集約化、廃止などが行われない保証はない。地域生活に密着して130年以上も行ってきた使命や機能を確保していくために、「4会社出資の子会社の設立」、「新規商品・サービス提供による収入確保」、「全国ネットワークの販売チャネル活用」、「株式の持ち合いを可能としたグループ経営体制の強化」などを行い、グループ全体のシナジー効果が期待できる一体的な経営体制をつくることを強く求めていく。






日本の発言C<非典型労働者の組織化>

JPU 小川 英一
東京地方本部委員長


現在、人数の上から見ても非常勤職員は郵便サービスに欠かせない。この変化に対応するため、日本では、郵政の非常勤職員の全面的な組織化に向けて取り組んできた。フルタイム職員中心の労働運動から、職場で働く全ての労働者の雇用と労働条件に責任を持つ労働組合を目指すようになった。現在、日本郵政公社で働く人は38万人余り、正規職員は25万6500人、非常勤職員は12万4100人と推定。労組の努力の結果、今年4月1日現在、非常勤・短時間組合員数は37,471人、非常勤職員の約30%を組織している。正規労働者と非正規労働者の均等・均衡待遇の実現、非正規社員から正規社員への登用システムの構築に向けて、全力を挙げる。



各地域の活動報告の後、「郵便、急送便、ロジスティクス部門の多国籍企業における国際的展開とネットワーク戦略」、「グローバル化・自由化された郵便事業者の発展の方向性」と題した2つの講演を聴き、自由討論となった。

EUの郵便自由化とUNIの連帯キャンペーン

EUでは、2009年1月1日から、現在EU圏内では50g以下の書状独占の領域を廃止し、完全自由化することが計画されている。そのため郵便のユニバーサルサービス(どこに住んでいても低廉な料金でサービスを受けられる)が著しく低下すること、職の不安定化、郵便サービスの質の低下が予想されている。

スイス通信労組の代表は「リザーブドエリアの廃止はEUに加盟しない国にも影響があり、もちろん、欧州以外の国にも波及していく。リザーブドエリアなしにどうやってユニバーサルサービスを守れるのか。UNIのロビー活動を強化してほしい」と発言した。この発言のとおり、EU27か国全部が完全自由化となるインパクトは強大である。そして世界中の郵政事業体にも多大な影響を与えることは必至である。

 UNIでは郵便のユニバーサルサービスを脅かす郵便の自由化反対キャンペーンを全面的に支持する決定を行った。そして5月30日に統一行動日を設置し、ベルリンでの大規模行動を予定、この日には欧州の郵便労組が集まり、デモ行進や各種のイベントを開催する。

また、大会開催中、大会参加者は欧州委員会宛てに「Save Our Postal Services」(私たちの郵便サービスを守ろう)の抗議ハガキに署名、投函した。

今後の活動計画と部会の名称変更

 大会2日目には、2007〜2011年のアクションプランが討議され、全会一致で採択された。アクションプランの柱は、「郵便サービス市場の自由化及び商業化の潮流との闘い」(郵便のユニバーサルサービスを守る)、「郵便金融サービスや郵便局窓口ネットワークなど、郵便サービスの側面の擁護」、「郵便部門の雇用、エンプロイヤビリティ、労働条件の保護」、「組織化活動の強化」である。取り組みはUNI加盟組織による国内レベルと、UNI郵便部会による地域及び世界レベルでの実施が必要である。

最後に、ロジスティクス企業の組織化を見据え、郵便部会(UNI Postal)の名称をUNI郵便ロジスティクス部会(UNI Post and Logistics Global Union)に変更し、関係部分の部会規則の変更が承認された。そして、世界郵便議長としてドイツ・ヴェルディ出身のロルフ・ビュットナー氏が全会一致で再選された。

また、オーストラリアの反労働者的法律である「ワークチョイス」に対する決議案が採択された。

まとめ

世界の郵便事業は、国の社会構造、経済発展の進み方などに全く関係なく、自由化・規制緩和が推し進められようとしている。名称変更した郵便グローバル部会は、これまで以上にUNI本部、加盟組織がよく連携し、国内・国外を問わない活動を進めていく必要性を感じる大会となった。

(UNIジャパンポスト 大崎 佳奈子)