トラスデン


 大きな山々に囲まれた街トラスデン。山向こうの友好的なドワーフ族との交流を深めてきた結果、街中にはドワーブン建築物であふれている。この建築物は非常に価値の高い物で、ドワーフの国以外ではまず目にする事は出来ないであろう。
 ドワーフと共にひっそりと営んできたトラスデンの人々に異変が訪れたのはマクアカイブの遺跡が発掘されてからである。バッカスの魔術師ギルド・イリュージョニストスクール名誉教授リム・ハーキンズはトラスデンに遺跡調査のための研究所をもうけるように国に申請した。マクアカイブとは伝説のイリュージョニストであり、バッカスの魔術師ギルドは今後の魔術の発展に多大なる利益になると考え、トラスデンに研究所を築くことにした。
 だが、そのマクアカイブの遺跡はたちまちトラスデンの街に人を呼ぶことになり、様々な影響を及ぼす事になった。
 当時、バッカスはアダシスコルと戦争をしていたため、砦や城壁、トーチカなどが、その優雅なドワーブン建築物の間にミスマッチにも次々と建てられて行った。和平協定が結ばれる頃にはトラスデンは要塞と化していたのだ。毎日のように攻め入るアダシスコルの軍勢に対抗すべく砦や城壁を強化した結果、軍事建築物だけは新しく補修され、ドワーブン建築物は崩壊していったのだ。両国にとって遺跡は是が非でも手に入れておかなければならない土地だったのだ。


 このトラスデンが大変動のあとどのような状況なのかを調査するのが今回の任務である。

 選抜された、つわものぞろいのレンジャーズの君達にとっては丁度腕の見せ所といった所だ。

 さて街に着いたランドシップ(魔法で地上をホバーリングして進むガレオン船)から君達はトラスデンの城門まで歩いて行くと、市長アンダーソン等、街の住人に歓迎された。食料物資と医療物資を運び込み一通りの救済処置を終えると、目に付くのはやはりマクアカイブの遺跡だった。そこにはブリットス教授と三人の老エルフ、ダバダ、ベレイラ、ロイバラが今も尚研究を続けていた。ここで残念な報告が入る。名誉教授のリム・ハーキンズ氏はこのマクアカイブの遺跡の奥、未開発地域で消息を絶ったという。未開発地域なんて言い方をしてるが、ダンジョンであった。この街はこの未開発地域に足を踏み入れるものはいなくなったと言う。
 

イリュージョンルーム

 このマクアカイブの遺跡の目玉と言えるイリュージョンルームついて案内された。その部屋では文字通りイリュージョンで作られた世界が広がっているのだ。地形、気候、物体などあらゆる物を作り出すことが出来る。しかしそれはあらかじめ巻物に収められたルーン文字が創造する仕掛けになっているようだ。その部屋の入り口には巻物を入れる穴が6っ箇所あり、水晶球と石で出来たコントロールパネルで操作するらしい。隣の部屋にはそう言ったスクロールが五万と収納されていた。はっきり言って人間の寿命ではこれら全てを起動して確かめることすらあきらめさせられるほどの物量である。(だから老エルフがいるのか・・老エルフだからもうすぐ死ぬだろう)
 トロルと言う巻物がある。この巻物を穴に入れて起動し、部屋の中に入るとトロルがいる。トロル語で話をしてみると、この巻物のトロルは足にとげが刺さっているらしい。そのとげを抜くと友好的に情報を教えるようになるように設定してあった。しかし戦闘で殺してしまうと、ただのシュミレーションになるだけである。ちなみにこのトロルはリジェネレート(再生)はしなかった。おそらく巻物を作った者がトロルが再生する事を知らなかったか、忘れて書き込まなかったかのどちらかであろう。

 と・・・大体のことは解ってきたようだが、ここの研究員ですら起動するのを拒んでいる巻物があった。それは伝説の悪魔”バール”と記されている巻物であった。この巻物については次回の講釈でお話しすることにしよう。

 

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