A vigor state of Rengers
航海日誌 07
インタラクティバー02
2006/3/19 UP
「トラッド!マティス!ライアン!ただちに現場に直行せよ!」 艦長の野太い声が響く。
クルーの死体は焼きごてで切られたような傷跡が残っている。
「この傷は・・・フレイムタンでやられたみたいですね」 幼顔の少年マティスは言った。
「それにしても見事すぎるぜ・・・」 トラッドはあせった表情を隠せなかった。
「ちくしょう!どこえ行きやがった!」 ライアンは激怒した。
「艦長、侵入者はインビジが使えるようです」 マティスだけが冷静である。
「インビジだと?姿を消す事ができると言うのか?」 艦長は冷や汗をたらしながら言った。
「艦内をくまなく探せ!A地区とB地区のゲートを閉じろ各個撃破と行くぞ!」 副長は全館にアナウンスした。
艦内のクルー達はしばらく探査したが何の手がかりも無い。時間だけが過ぎていく。
★★★★★★★★★★★★★★★★ ★★★★★★★★★★★★★★★★ ★★★★★★★★★★★★★★★★
石版を調べていたゴーレムのピノに動きがあった。
「少しだけですが彼等のメッセージを解読しました」 ピノは冷凍冬眠している彼等の情報をつかんだ。
「こいつ等の正体がつかめたのか?」 隊長のブラッドは少しテンションが上がった。
「彼等の住んでいた故郷は敵対していた生命体に占領されてしまい、国を負われ放浪しているようです」
「この球体は脱出カプセルです」
「なんだと?たったこれだけでか?」
「ほとんど壊滅したようですね」
「問題は彼らに協力するか否かと言う事です」 ピノは重大な発言をするときも表情を変えない。
「艦長!と言う事らしいです」 マクビティーが艦長に問いかける。
「え?何だって?」 艦長は聞いていなかったらしい。
「聞こえてたでしょう!艦長!」 マクビティーはプリプリしながら言った。
「艦長、このあとも我々の航海は長引くでしょう。300人もの難民を抱え込む余裕などありません」
副長は隣で助言した。
「ブラッド隊長、今現在我々は何者かに侵入されている。悪いが至急引き上げてくれ」
「艦長、彼等のメッセージに、協力していただいた場合に限り我々は技術提供を惜しまないと」
「よし、引き続き調査を継続してくれたまえ」 艦長の目の色が変わった。(何が ”よし” だー)
「艦長、責任者らしきカプセルが解りました。起こして直接コンタクトしてみましょう」 ピノは言う。
「ほんまかいな?こいつらデーモンやったらどうすんねん!」 ジェルドの言い分にも一理ある。
ジェルドは出口まで非難する。続いてマクビティーも。
ひとつのカプセルが開かれる・・・
「お前ら護衛の任務は!」 隊長が怒鳴りつけた。
「あほか!自殺行為や!封印といてんねんぞ!」
「目覚めましたね」 ピノは無表情に代表者を起こした。
「ここは・・・」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「そうだ、いい考えがある」 マティスは何かひらめいたらしい。
「小麦粉をまいて、足跡を追うんですよ」
「コック長の肉焼きオヤジに小麦粉をもらってこよう!」 ライアンはヤル気満々である。
厨房で・・・
「アホかお前ら!大事な食料をなんだと思ってるんだ!」 肉焼きオヤジはカンカンになって怒った。
あまりの勢いに3人は負けて飛び出してきた。
「話の解らない奴だなー」 トラッドは頭に来て艦長の許可を取る事にした。
「何?小麦粉を撒く?!ばかもの、大切な食料だ。粗末にするでないぞ」
「そんなー・・・」 3人は艦長にも却下された。
そこへ副長が戻って来て
「艦長!艦長室の小麦粉、撒き終わりました」
「おいおい!」
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「助けて頂けるのでしょうか?」
「ああ、状況次第ではな」 ブラッドは答えた。
「しかしどうしてこんなカプセルで?」 マクビティーとしてもそこが知りたかった。
「実は我々エギラン族は元々豊かな国で暮らしていました」
「文明はここ50年で飛躍的に進化して貧富の差も無くなりつつあったのです」
「ところが、どこからか現れたインタラクティバーと呼ばれる種族が我々の国に侵入して来たのです」
「圧倒的でした。我々の抵抗もむなしく、1年足らずで・・・。しかし奴等は残忍で・・・」
「エギラン族を根絶やしにするつもりで大量虐殺をし始めました」
「エギラン族の最後の技術である次元移動装置による脱出で多少の仲間たちは散らばりました」
「しかし今どうなっているかは解りません」
「お願いします!我々以外に異次元世界が存在することは解りました。貴方達がそうでしょう」
「どうか私たちを・・・お救いください・・・」 その目には涙が溢れている。
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
「どうだ?この地区は異常ないか?」 トラッドは一般クルーに聞いた。
「特に異常ありません」
「くそー。どこに隠れたんだ?姿を消しても存在するなら見つけられるはずだ」
「もう逃げたのでは?・・・・・・」 マティスは言った。
「・・・そうだ、ライアン。君、確かディテクとマジック(魔法探知)の杖を持ってたよね?」
「あるけど・・・」
「それで艦内を見回るんだよ」
「なるほどーそういう手もあったか」
さっそく3人はもう一度、魔法探査の杖を使って調査しなおした。
すると!
「あそこのクルーが光ってますよ」 ライアンはそっと告げる。
「あやしいな」
「おいお前!」 トラッドは呼び止めた。
「貴様名前は?」
そのクルーは言葉がしゃべれない様子で答えようとはしなかった。
「あやしいな・・・喋れないクルーは居ないはずだ。しかもお前見たこと無いし」
そのクルーはニヤっと笑みを浮かべると腰から光る剣を二本抜きトラッドに攻撃を仕掛けて来た!
不意を付かれたトラッドは、未だ抜刀すらしていなかった。
トラッドは吹っ飛ばされた
「ちくしょう!やってくれるじゃないか!」 トラッドは頭から血を流しながら起き上がる。
だが、この一撃がこの戦いであだとなるとは、誰一人想像もつかなかったのだ。
つづく・・・