A vigor state of Rengers
航海日誌 04
新造艦
2005/11/27 UP

 
 それは偶然の出来事であった。

その時私は副長に自分の武器は自分で選べと言われ、武器庫へ行き”ロング・ソード”を

持ち帰るところだった。

「こっ、これは・・・?」

ブラウンベースの格納庫に、何と戦艦が眠っているではないか!?

一瞬目を疑ったがまさしくそれは船だ・・・

確かにブラウンベースは言わば超ド級の戦艦でもあるが、その腹の中に

もう一隻の船を隠し持っているとは・・・これは一体どう言う事なのか?

しかも、完成したばかりなのか?傷ひとつ付いていない・・・

 「そこに居るのは誰だ!」 厳しい女性の声が私をつらぬいた。

「ここは立ち入り禁止だ!扉に記されていた文字が読めぬのか?!」

正規の軍服を着し軍帽までしっかり身に着けているその女性は

髪はショートで耳元で手前にはねている。厳しく見つめる瞳と唇は紫色であった。

「ご、ごめんなさい・・・扉は開いていたので、立ち入り禁止の文字は目に入らなくて・・・」

彼女は私の身なりを見て 「貴方はもしかして、アイラ・バスターレイン大尉では?」

「え、ええ・・私をご存知なの?」

「失礼しました!自分は現在この区域の警備を委任されているナタル・バシルーラ中尉であります!」

バシルーラ家といえば代々軍人の家計で有名であった。

「ところで、この船は一体・・・?」 私は何よりもこの船についての情報が欲しかった。

「申し訳ございません。このたびの事は無かったことに致しますゆえ、早々にこの場からお引取りください」

バシルーラ中尉は冷たく追い払う口調でそう言った。

「そ、そうね・・・ここ立ち入り禁止区域だしね・・・」 私は仕方なくこの場から引き下がる事にした。

「それと大尉・・・」

「はい?」

「仕官であれば、立ち入り禁止区域を把握しておく事をお忘れなく」

「そ、そうね・・・ご忠告ありがとう・・・」

さすがにローフルというか・・・軍人家計の家柄というか・・・でも言い返す事が出来なかった・・・(涙)

その夜、私はバーラウンジでまたもや淋しく独りで席に着いた(オヤジっぽい)

「マスター、ブレスダンディーちょうだい」 私は前回作ってもらった奴が気に入ってしまった。

「マスター、私の名前はこの艦内で有名なのかしら?」

マスターはカクテルを作りながら穏やかな表情でこちらを見た。

「私がエルフだからかなー・・・でも、よくエルフッぽくないと言われるんだけどね」

「大尉は人間の世界に慣れていらっしゃる」 マスターはつぶやいた。

「そうなのよ、苦労したところもあったけどね・・・ああ、今も苦労してるけどね・・・」

「大尉と会う人たちはエルフに慣れている人ばかりじゃないですから・・・」

マスターはカクテルを出しながら

「バスターレイン大尉・・・」 マスターは名前で呼んだ。

「え?なに?」

「そのなの由来をご存知ですか?」

マスターは淡々と語り始めた。

「昔、エルフの知合いから聞いたことがありますよ。雨を討つ・・・雨を破壊するという意味を持つエルフ族」

「度重なる戦の中、そのエルフ族は勝利する時も敗北する時も雨が降る・・・」

「エルフの戦士は仲間を大勢失いつつも次の戦いに備えなければならない」

「泣き叫ぶ事無く、その雨に涙を流すという・・・」

「貴方の先祖様はそのエルフ族の長だったのでしょう・・・」

この話は故郷を出た私には少しばかり心が痛む話でもあった。

バスターレインの名は確かに誇り高い物である事は理解している。

がしかし、私はそれを捨てて人間との共存を選んだのだ・・・。

「おーし今日はのもーぜ!」 Zチームの連中が店にやって来た。

「今日もだろ?」 私は思わず口走った。

「隊長のおごりですか?」

「トラッドよ、今日はおごってやるぜ!」

「しかしあの女もうるせーのな!」 隊長はトラッドを慰めているのか・・・

「そうっすよ隊長、ちょっと部屋間違えただけなのにさーむかつくー!なあ、マクビティー」

「まあまあ、バシルーラ中尉はああ言った人だから」 (マクビティーは自分と同じ顔の胸当てをしているね)

「女に怒られたからって、しょげるなトラッド」 隊長はそこを強調したいのか・・・男女差別すなって!

「中尉だけに注意が好きなんだ、あれは」 で、出た!隊長の寒い駄洒落・・・

「うははは!さすが隊長!座布団一枚!」 太鼓持ちのマクビティー・・・

「ナーンセンス・・・」 胸当ては真顔で言う。

「おいちょっと待て、何やそのナンセンスって・・・」

「まあまあ、ささ、飲みましょー」 

「くそー!くやしーーあの女に言いくるめられたー!!!」


「これがローフル(バシルーラ中尉)とカオス(こいつら)の戦いなのだろうか・・・」

私はこの先が不安でしょうがない・・・


つづく・・・

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