A vigor state of Rengers
航海日誌 03
占い
2005/10/25 UP

 
 我々は重ガレオン級の亜空間を航行する魔道船”ブラウンベース”に乗り、異次元界にある世界

ケルベン・ケイノスへ向かっていた。

目的は我々の住むアベリアン大陸の大気に充満している「スペル・ジャマー」を中和するという

アーティファクトを手に入れるためである。

スペル・ジャマーとは魔法を正常に機能させなくする粒子で、魔道師が魔法を唱えても、その効果は

ランダムで発生するという、極めて危険な状態である。

マジックミサイルを撃ったとたん、自分にフレッシュトゥーストーンがかかったりする。

効果が全く出ないのがほとんどであるが・・・。

その粒子をばら撒いたのが、ルドルフの魔道兵器”ダナス”である。

まあとにかく、我々がそのケルベン・ケイノスに到着するのはまだ先の話で、それまでは

この暗く危険な亜空間を静かに航海せねばならない。

だから、私は気晴らしによくこのバー・ラウンジに足を運ぶ。

ただ、気がかりはこのバー・ラウンジにはいつもの常連が必ずいる・・・

「はあ・・・戦闘が無いから、暇なのはわかるが・・・」

「ライアン二等兵!早く変身して見せろ!」 トラッドが叫ぶ・・・

「いやであります!」

「てめー!伍長に逆らう気か!」 この前、階級は関係ないとか言ってたくせに・・・

私は離れた所・・・そう、カウンターの角っこに、腰掛けた。(かかわりたくない・・・)

「何にしますか?」 バー・ラウンジのバーテンダー(マスター)が注文を聞いてきた・・・が

マスターが手に持っているのはメニューではなく、複数のカードであった。

そのイキな計らいに答える私はいちばん真ん中のカードを引いた。

「ほう・・・これはブルー・ブレスダンディー・エールですね」

そう言うとマスターは何かカクテルらしき物を作り始めた。

「青く澄み切った広い心をお持ちですね・・・」

「え?」

「種族がエルフの場合、冒険心に長けていると出ます・・・溢れる好奇心が原動力です」

「ブレスダンディー・・・これは非常に戦闘的な種族が好むもの・・・情熱的で・・・」

口説かれてるの?わたし・・・

「決してあきらめない、その前向きな姿勢に大勢の人を動かす力を秘めている・・・」

マスターはカクテルをそそいだ。綺麗なブルー・・・まるで小宇宙を見るかのようである・・・

私は、占いというものはエルフの割に信じない方である。でも、今夜は少しだけ・・・

信じてみようと思った・・・




「隊長に逆らう気か!」

「隊長風ふかしてんじゃねー!!」

「ナーンセンスー」

「おらおらー!!!」 

外野がうるさく、また喧嘩を始めた。

「あああ・・・せっかくのカクテルもムードもだいなしだわ・・・」

ホントにこの船、大丈夫かしら・・・



「チェイング!!」 (あっ・・・変身した・・・)


つづく・・・

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