A vigor state of Rengers
航海日誌 01
プロローグ
2005/10/02 UP
私の名前は”アイラ”
バッカス王国のレンジャーズギルドの第42特殊任務部隊所属で階級は大尉である。
今回の任務はスペル・ジャマーに汚染されているアベリアン大陸を元の状態に戻す術を
求めてアウタープレーン(異次元)であるケルベン・ケイノスを調査して無事にスペル・ジャマー
キャンセラーを持ち帰ることである。
私は異次元を航行するランドシップ”ブラウンベース”に乗船し、ケイノスへと向かった。
「へえ・・・今回の航海にはエルフの女が乗ってるじゃねーか」 ラウンジで聞こえたそのセリフに
私は驚いた。それはこの船に乗る特殊工作部隊の一人が発言したセリフだった。
少なくとも、私は大尉で・・・その男達は私より階級は下である。にもかかわらず
エルフであると差別しつつ女である事によからぬ感情を抱いたような言い方・・・許せない。
確か、この船には、たちの悪い特殊工作員が複数乗船しているから気をつけるようにと
ロドギレス少佐とトライデル将軍もおっしゃって居られたが・・・
私はその青年に近付いた。
「やっぱりエルフはちいせえなー」 頭にバンダナを巻いたその青年はまたもや暴言を吐いた。
「あなた・・・それが上官に対する口の聞き方ですか?」 私は我慢の限界に達した。
「え?あんた正規の軍人なのかい?」
「あなたは見た所、伍長の様ね・・私の名はアイラ。あなたは?」
「俺の名はトラッド・ローガン。階級は伍長だがそんな物はどうでも良いのさ」
「そうさ・・・俺たちには階級なんか関係ないのさ・・・」
向こうのテーブルに付いていた数名の青年達もどうやら特殊部隊の面々らしい・・・
「あなたたち、何を言っているの?」
「なんたって、俺たちは特殊部隊でも”Zチーム”なんだから」
「Zチーム!?」
聞いた事はあったが・・・まさかこの船に乗船しているとは思ってもいなかった。
Zチームとは表向きは正規軍と称してはいるが、トリプルAクラスの任務をこなすために
結成された部隊である。
もちろん命の保障は無い。そして彼等は、かなりの危険を潜り抜けてきたと見られる傷跡が
あちらこちらに付いていた。
いつ死ぬかわからないがために階級が上がろうと、たいした意味は無いと言う事なのだ。
「なるほど・・・この船(ブラウンベース)が異次元を航海できる訳だ・・・」
「ほめているつもりなのか!?」 渋めの男が酔った勢いでからむ様に言った。
「まあ、まあ・・・ブラッド隊長、可愛いエルフが言う事じゃないですか・・・」
止めに入った男は人面の彫刻をほどこしたブレスト・プレート(胸当て)をしていた。
よく見ると、その男の顔と人面の彫刻はそっくりだった。
「同じなのか?」 私は思わず発言してしまった・・・
「同じ穴のムジナさ・・・」 隊長はオヤジ特有の駄洒落を言った・・・
一瞬全員が固まりかけたが・・・
「隊長、うまい!座布団いちまい・・・」 上の顔(本人)は隊長をほめたのだが
「ナーンセンス・・・」 下の顔(彫刻)は本音を有るがままに言ってしまった。
言葉をしゃべる、なんとも奇妙な、いや不気味なブレスト・プレートだ・・・
その後、隊長は暴れ出し、他の面々がそれを止めていたのだが、いつしか大乱闘となって行った。
「この船は大丈夫なのか?・・・」
その時、艦内にアナウンスが入った。
「上級司令官は作戦会議室に集まれ」 この声は副長の声だった。
私は大尉ではあるが特例で上級司令官の枠組みに入っていた。
そして作戦会議室では・・・
「それでは、今から向かっている”ケルベン・ケイノス”について話をしておく」
この言葉に集まった上級司令官は緊張が走った・・・