マサカーアンデッド(Massacre Undead)
世界の果てに生の力と死の力があると言われている。この均衡の継続こそ今まさに我々が存在している理由であると旧約聖書にあるが、その均衡にもかなりの波があった。死の力が強くなりすぎて世界の人口がいっきに減少したときの話である。生の力を司る者達(いわゆる神である)はマテリアルプレーン(地上)に降臨して戦う余裕もなく天界の攻防で必死であった。そこで神の一部をアーティファクトと言う形にして地上に遣わしたのだ。その一つがそれがマサカーアンデッドという聖剣であった。この剣には死の力を読み取る能力があり、存在自体ないアンデッドの位置を知らせることが出来る。(例えば幽霊がそこにいることがわかるのだ。)これは剣のえとつばの間に大きな丸い青いルビーがはまっていてその中の光が指す方向にその存在が感知されると言う。またこの剣の使い手に神懸かりな恩恵(祝福、神の魔に対する結界など)が授かるとも言われている。
マサカーアンデッドは使い手に恵まれた剣の一つとも言われている。降臨して以来この剣を使った者の中に英雄として歴史に刻まれた者が7人も居たのだ。だが残念なことに死の力が衰えると共にこの剣も姿を消した。ようは死の力を駆逐すべき存在は死の力の無い所では無用なものと言うことだ。
破壊することが出来ないと知った地上の死の力の者はそれを使わせないようによく隠したものであった。(いわゆる封印である)しかしその度に英雄伝説として語り続かれていた内容を元に探し当てる者が居て復活してきた。今回も同じである。例外ではない。
プラディエントリ王子の代にその事件は勃発した。先代の血のにじむような努力と苦しみを知らない王子は終戦後すぐに堕落していった。平和。その二文字に誰もがあこがれていた時代であったが、王子は違った。戦争好きの彼は隣国に攻めることが不可能な時代と知り、やる事がなくなり毎日遊びほうける様であった。それは王子一人ですむはずは無く回りの有能な大臣も巻き込み行政は完全に麻痺していた。やがて街では当然のごとく犯罪が多発し隣街からも、ならく者たちが引っ越す始末であった。ここまではどこの王国にも必ずついて回る話だがプラディエントリ王子はしてはならない事をしてしまったのだ。
マサカーアンデッドであった。この剣をもとに国をおこした4代前の初代国王プラダデスは最後の英雄と称されこの地にはびこる死の力と激戦を繰り返した後勝利をおさめたのだ。死の力は去ったが今度は人間同士、豊かな土地とそうでない土地のもの同士の戦いが始まった。しかし初代国王プラダデスの築いた王国はたいしたもので(剣を使った英雄だけのことはある)隣国の軍事力では対抗できなかった。人間同士の戦いでは出番のなかったマサカーアンデッドはプラダ王家の家宝とされたのだ。だが、ここ百数十年使われていなかったその剣を何と人間に使ってしまったのだ。それも生の力の強い赤子を自分の快楽、道楽のために、、。
現在、数多くの英雄達が使用してきたマサカーアンデッドはクラード家の跡取りが保持しているとのうわさである。
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