MAID KNIGHT

LEVEL 04
インビジビリティ(透明化)
2005年 10/23 UP

 御主人の龍也が出かける事になった。

シルフィラは龍也のボディーガードをすべく準備をし、ローラは散らかった部屋の掃除。

「一人で大丈夫なの?」 ローラは心配そうに言う。

「任してよ。それより掃除の方は大丈夫なの?」 シルフィラこそ心配そうに言った。

「掃除くらいできるわよ!失礼ね」 ローラは赤くなって怒った。

龍也は身支度が出来た様で、玄関先で靴を履いている。

「若様、シルフィラが御供いたします」 

「ちょっと待ってくれよ・・・付いて来なくてもいいよ・・・」

「いや、万が一何かあっては・・・」

「何があるんだよ!一人で行きたいんだよ!」

そう言うと龍也はダッシュで走り出した。

「逃げたわ!」 シルフィラはローラを見て言う。

「”逃げたわ!” じゃないわよ!早く御供に行きなさいよ!」

「仕方ないわね・・・」 シルフィラはブツブツ呪文を唱え始めた。

「やっとヤル気になったのね」 ローラは魔法を唱えるシルフィラに少し尊敬の眼差し。

「太古の魔法の力・・・この手に宿れ・・・ぶつぶつ・・・」

「エルフの4000年の魔法術・・・一体なんだと思ってるの・・・ブツブツ・・・」

「だいたい私はもっとグラマーになりたいのよ・・・こんなダサい男の御供なんて・・・」

「はよしろ!」 後ろから後頭部に突っ込みを入れるローラ。

「魔法となえてるのか、ただブツブツ言ってるのかどっちなのよ!!」 

脹れツラで口をとがらせてローラをにらむシルフィラ。

 やがてシルフィラの姿が消えた。透明になったのだ。

「後をつけるわ」 声だけが聞こえる・・・

「なるほど、インビジビリティー(透明化)ね!これなら安心して付いて行けるわね!」

「頼んだわよシルフィラ・・・」 半分は心配だけど、この際、シルフィラの魔法に頼る事にするローラ。


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 「まったく・・・あんな女の子と一緒の所をクラスメイトに見られたら・・・」 龍也もぶつぶつ言う。

ふと後ろを振り返る龍也。

シルフィラは自分が見えていないと解っていてもとっさに物陰に隠れた。

「あちゃー。隠れなくてもいいんだ。どうせ私は消えてるんだった、チャハハ・・・」 

シルフィラはインビジビリティーのおかげで龍也にピッタリ張り付いて護衛が出来た。


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 一方、掃除当番となったローラは、かなりの散らかりに苦戦していた。

「こっちを魔法で何とかした方が良かったかも・・・」 

「ん?何かしらこれ・・・」 悪戦苦闘の中、ローラは掃除道具入れのなかに妙な機械を発見。

それこそ、充電式の掃除機であった。

何とかスイッチを入れる事に成功。しかしその音に驚く・・・

「何に使うのかな・・・?」 まだ解ってなかった・・・。

先端から空気が吸い込まれている事は理解できたらしい・・・

「うーん・・・こっちの世界の文明の利器なのは解るけど・・・」

吸い込む先端を見つめていたら自分の吐く息が吸い込まれる。

「こ・・・こうかしら?」 吸い込み口をローラは唇にあてて見た(おーい!ばばちい)

「うぐ!あうあう!」 吐く息は吸い込まれ、なんとも妙な感覚・・・

ローラは色々試すうちに・・・

「あっ!これは・・・」 ローラの顔が赤く染まる。

「でも、こんな使い方は・・・神の教えに反するわ・・・でも・・・あっ・・・」(セービングスローVS精神)


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 「しかし平和な世界ね・・・モンスター一匹いないじゃない・・・」 退屈になって来たシルフィラ。

龍也は公園のベンチに腰掛けた。

『何でこんな所で一休みなの?』 シルフィラは思った。

青い空と流れる雲を見つめ龍也は憧れの山下さんの事を思い出していた。

「彼氏がいたなんて・・・」 出るのはため息ばかり。

『・・・こういった陰気なのは我慢できないのよねー』 (我慢しろよ!)

シルフィラは龍也の正面に立って手を振って見せた。見えるはずも無いが・・・。

「はあ・・・」 ため息しか出てこない。

ため息にムッとしたシルフィラは目の前でふざけた踊りをし始める。

エルフのこの踊りは相手を侮辱する踊りで挑発するときによく使われる。

見えてない龍也は遠い雲を見ているのだが・・・

                   

その挑発はだんだんエスカレートして来た。着ている服を脱ぎ始め

シルフィラはお尻を丸出しにしてペンペンとたたいたりしている。

「ペンペン?」 龍也は妙な音に気が付いた。

「あっ!しまった・・・そう言やサイフ忘れた」 龍也急に思い出し、ベンチから立ち上がった。

「はっ!」 シルフィラも反射的に身を隠した。(だから見えて無いんだってば)

「ニャーッ!!!!」 昼寝をしていた猫はシルフィラにしっぽを踏まれ飛び跳ねた。

これはシルフィラの猫に対する攻撃と判定された。(インビジビリティの魔法は攻撃すると解けてしまう)

「え゛?!・・・・・・・・・」 豆鉄砲を食らった鳩のような目をしている龍也は石化した!

その目の前でエルフの舞が繰り広げれれているではないか・・・しかも真っ裸で。

『これは・・・夢か幻か?』 龍也は一瞬にして日本海溝へと沈むような感覚を味わった。

『幻さ・・・きっと・・・』 とにかく家へ戻ることにした龍也にシルフィラが絡むように踊る。

『このエルフ4000年の歴史が築き上げた挑発的な踊りを最後までフルコーラスで踊られた

者はそうそう居ないはずよ!』 汗だくで踊るシルフィラは目がだんだんとまじになって来た。

そう・・・それは最後まで踊り続ける事を決意した目であった。

早歩きになる龍也・・・ 『こんな光景を誰かに見られたらはっきり言って終わりだ!』

『にっ!逃がすかー!』 シルフィラから汗が飛び散る。


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「神様・・・どうか失禁までしてしまった私をお許しください・・・」 

ぐったりと横になっているローラ。

そこへ二人が帰ってきた。

「ローラさん!何とかしてください!このエルフ・・・」 

「はっ!!!」

「・・・・・・・・・」

龍也はまたもや固まり石化した!

「あらら・・・こんな所に何かこぼれちゃって・・・」 

真っ赤な顔で掃除機で吸い取るローラ。(おいおい)

次にシルフィラをにらんだ。

「・・・・・・・・・・・・・・」 

いつからばれてたのか知らないシルフィラは

とりあえずこの場にいるのはまずいと悟り

踊りながら部屋を出て行く・・・

「何なんですか!あなた達は!もう出て行ってください!」

龍也の怒りの声が天高く響き渡った・・・

ああ・・・ローラよ・・・シルフィラよ・・・こんなんでこの先大丈夫か?

 つづく・・・・・・・

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