せっかくの休日・・・
今日は買って来たゲームを堪能するつもりだったのに・・・
あいつらのおかげで・・・
「召使といえば、やっぱりお掃除ね!」 ローラは、ほうきやらモップやらを出し始めた。
「でもさ・・・あたしたちはボディーガードは解るんだけど・・・なんで召使なのか・・・」
シルフィラはヤル気が今一である。
「何を言ってるのよ!これもみな若様を無事に帰還させるためなのよ!」
「それに・・・このコスチュームも・・・」 文句をたれまくるシルフィラ。
「こっちの世界では女性の召使はこれって決まってるみたいなのよ!」 (そうなのか!?)
ローラは龍也の部屋から拝借したゲームをシルフィラに見せる。
シルフィラは手にとって 「なんて書いてあるのかしら」 まず、世界が違うので文字が読めない。
しかしイラストとかを見ると可愛い女の子がメイドの格好をしているのだ。
「それに若様はきっとこういうのが好みなのよ」 まったくハズレでは無いかもしれない・・・
その頃、龍也の部屋では・・・
「おかしいなー・・・ゲームが見当たらないし・・・」
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黒い肌の少女はとても美しく、そのスレンダーなボディーに銀色の長髪。
彼女は書物になにやら書き込んでいる。
「こっちの世界には驚かされっぱなしだ・・・ライトニングボルトを制御して資源にしている。そして
それを原動力としていろいろな物が開発されている。扉は自動で開き、階段も自動で上がっていく・・・
夜は、コンテニュアルライトの代わりに街灯が点燈、これもまた電力という物による・・・
また、馬車の変わりに自動で走る・・・自動車?個人、個人で1台所有しているという裕福さ。
我々の国なら王族のみが1台所有するのが精一杯という所か?・・・
さらに、空中を飛ぶ物体・・・
いまだ未確認ではあるが生命体ではなく
人がコントロールしている乗り物であるようだ。
我々の国にも飛行船があったが・・・
スピードが全然ちがう。
文明的には驚くほど治安がよい。
組織は確立しているらしいが、
個人個人が尊重されている。
また、犯罪が圧倒的に少ない。
夜、女子供が平気で外出する。
皆が豊かが故の事なのか?・・・
こんなに平和で・・・
いいのだろうか?・・・・・・・・・・・」
彼女は遠くに飛ぶ飛行機を
見つめながらつぶやいた。 |
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龍也の家では・・・
「若様。本日のスケジュールは?」 ローラが龍也に問いかけている。
「べ、べつに・・・昼から出かけるけど・・・」 龍也はそっけなく答える。
「では今、シルフィラが昼食の準備をしておりますので・・・」
「分かったよー。食べてから出かければいいんでしょ」
「まったく・・・母さんと同じような事を・・・」
そこへ、昼食の用意が出来た合図がなった。
「ささ、食堂へまいりましょう」 ローラは案内する。
「食堂って・・・お勝手だろ」
部屋に入るやいなや、龍也は嗅いだ事の無い匂いに圧倒された。
しかも見たことの無い料理が並んでいる。
恐る恐る席に着く龍也。
「こ、これは?」 目の前の料理にひとつ質問をする龍也。
「それは、エルフの国では有名な野菜スープです」 シルフィラ自慢の笑顔。
見た目は普通だが・・・
「うっ!」 龍也は顔が青ざめる。
『なんちゅう味なんだ・・・』 我慢する龍也。
「じゃあこっちは?」 龍也は何か食べれそうなものは無いかと・・・
「これは、アベリアン風ステーキよ」 またもや笑顔で答えるシルフィラ。
「はぐ!・・・堅くて食えないんだけど・・・」
見た目とはまったく関係なく、どれも食するには抵抗があった。
ローラも少し味見をした。
「このスープ、味がまったく変じゃない?」 ローラも少し激怒。
「このステーキは焼き過ぎだし、味が濃い!どこがアベリアン風よ!こんなの出したら勘違いされるじゃない!」
「仕方ないじゃない!こっちの調味料で味付けしたから苦労したのよ!」 シルフィラ逆切れ。
「エルフの味覚がおかしいんじゃなくて?」 ローラも怒りを抑えられない。
「エルフ族に対する侮辱!4000ねんを否定する気ね!」
「こんな料理!若様に何かあったら・・・。それこそ!セブンヘブンの女神に対する侮辱よ!」
「ヤル気!」 ローラは剣を抜き、シルフィラは杖を構えた!
そこへ龍也がわって入った。
「一生懸命作ったその気持ちはいただくよ。ありがとう・・・」
シルフィラはキョトンとする。
「二人ともお腹がすいてて、気が立ってるんだよ」
「グルグルー」 ローラとシルフィラのお腹が同時に鳴る。
その時お湯が沸いたヤカンが 「ぴーーーーーーー」 音を立てた。
「さあ・・・お湯が沸いたよ」 そう言うと龍也はカップめんを3個取り出した。
「こ、これは・・・?」 ローラは不思議そうにたずねた。
「カップめんだよ。知らないの?」
「保存食か・・・何か?・・・」 お湯で作る保存食に二人は驚いた。
「な・・・なるほど・・・画期的だよね、これは・・・」 シルフィラも感動している。
「さあ、出来た・・・食べなよ」 龍也はどうせ、はしを使えそうに無い二人にフォークを出した。
「いただきまーす!」 二人は喜んで食べた。
「これは・・・レンバスより美味しいわ!」 シルフィラは気に入ったみたい。
例えるならば、外国の大使館をもてなすのにカップめんを出したくらいの無礼な行為だが
お腹がすいていた事もあって、両文明の親睦はとりあえず成功(?)となった。