MAID KNIGHT

LEVEL 01
憧れと現実
2005年 7/3 UP

 僕の名前は佐藤龍也(さとうたつや)。この春、高校一年になったばかりだ。

家族は僕と母との二人暮らしで、母は女だてらに仕事をしているため、いつも僕は一人ぼっち。

家事はお手伝いさんが来てくれて不自由はしてなかったんだけど

先日、お手伝いさんは病気で倒れて退職してしまったので、色々と自分でやら無いと

いけないので、少し大変・・・
新生活はいくつもの不安ばかりで、重たい気分だ。

学校生活で唯一の楽しみは・・・

同じクラスの山下さんの笑顔にありつけると言う事なんだ。

でも、まだ会話を交わした事は無い・・・
 クラスの男子生徒は皆ピリピリしている。

なぜって、いつもよそのクラスと喧嘩ばかりしてるからさ。

僕は体が弱いから、巻き込まれようものなら、いちころさ

でも、喧嘩なんか強くなくたって・・・勉強が・・・

僕は勉強もあまり得意ではない。

じゃあ何かとりえが有るのか?

・・・今それを探してるんだ・・・

高校1年の春。

探し物をするには絶好の機会だ。

 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 ある日の事、学校帰りに山下さんを見つけた。

『山下さーん。いっしょに帰ろうよ!』 と心の中で叫ぶけど

実際に声をかける勇気なんか無い。

今は絶好のチャンスで山下さんは一人。いつもなら、取り巻きの女子がいて

とても声かける雰囲気じゃない・・・

『いましかない!』

今しか無いんだけどなー・・・勇気も無いんだよなー・・・

『あああ・・・どんどん離れていく・・・』

僕の心には二人の性格の僕が潜んでいる。

『このまま後をつけようぜ!』 悪い方の僕がそう呼びかける。

『そんな事をしたらストーカーだぜ!ばれたらどうすんの!』 良い方の僕が言う。

僕は・・・しばしば悪い方の誘惑に負ける。

山下さんは川原の道なりを歩いていく。

『家まで付いて行こうぜ』 

『それはいくらなんでもやばいだろ!』

『じゃあ何のためにわざわざここまで来たんだ?』

堤防の草道からばれない様に付いて行く。

と、山下さんは堤防を川の方へかけ下り始めた。

その先に誰かいる・・・男子生徒だ。

「な、なんだ・・・そう言う事だったのか・・・」

世の中の男女は早いな・・・もう出来てるカップルもいるのか・・・

遅いのは僕だけなのか・・・

僕の恋は・・・実るどころか花もつかない・・・

いや・・・めも出さなかった・・・

その後、今日発売で買って来た恋愛シュミレーションも

なんだか始める気にはなれなかった・・・

「おい!佐藤じゃないか?」 同じクラスの早川と前田だ。

「お前またHなゲーム買ってるのか?」 大きなお世話だ。

「べつに・・・」

「たまには勉強した方がいいんじゃないのか?」 うるさい連中だ。

「何もとりえが無いからなー。わはははは!」

すっごくへビーな気分だ・・・。

僕は心の扉を閉鎖する事でこの苦痛を乗り越える・・・

 普通はこう言ったもやもやはスポーツとかで発散するんだろうな・・・

もしくは不良みたいに喧嘩するんだろうな・・・

悪い事出来る人はまだましだよ。

僕はただ苦しいだけ・・・この苦しみを癒してくれるのは時間だけさ・・・

何のために生まれてきたんだろう・・・

これじゃあ、明日からの連休も苦しみをどう乗り越えるかが勝負みたいだよ・・・

自分がいやになっちゃうな・・・

 ★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 その夜。

街のビルの影に何やらゲートが開いた。(ゲートとは扉で、外見はゴシック建築のつくりで内容はどこでもドア)

黒い肌の女が現れた。

「ふう・・・初めて体験したわ。空間をねじ曲げるゲートとはこんなに苦痛を伴うものなのか・・・」

「あまり行き来したくない物だな・・・」

よく見ると、濃い紫と茶色を混ぜたような肌をした銀髪のロングヘアーで黒豹みたいな、すごく美しい女性である。

非常に露出度の高いコスチュームに身を包み、それをカバーするようにトレンチコートを羽織っている。

彼女の目つきは鋭く、凍りつくような感じを覚える。しかしその反面、非常に澄んだ瞳をしている。

「残念なのは居場所が断定できないと言う事だな・・・」 そう言うと美女は懐からタバコを出して

「ちっ!火が無い・・・」 いらだちながら、くわえタバコで街の中へ溶け込んでいった。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
 
 龍也は自分の部屋で・・・

「まあでもやっぱり、いつまでも落ち込んではいられないし」

パソコンの電源を入れて、せっかく買って来た事だし、ゲームでもする事にした。

その時、押入れの所に光るゲートが浮び上がった。

「え?」

そしてその中から二人の少女が・・・

「え?」

「おじゃましまーす!」 ハモル二人。

「え?」

『この新作のゲームは・・・バーチャなのか?』 (なわけねーだろ!)

                         ← シルフィラ(エルフ)

「やっぱりドンピシャでしょ?」 一人の女の子が言った。

その女の子は身長が140cm無いか位の小学5年生くらい(なんじゃその5年ってのは)

髪の毛は金髪?妖精の顔つきのエルフである。
「貴方は・・・えーと・・・」

「さとう・・・た・・・つや・・・佐藤龍也様ですか?」

もう一人は身長が170cm(龍也より大きい)

で、すごく色っぽい、お姉さんだ。

二人ともメイド服を着している。(ヤル気満々)
 ←ローラ(人間)
『や、やはりこれは何かのイベントだ』 きっとカメラが回ってる・・・

恥ずかしい行動は全部カメラに収められて放映されるんだ。

「きゃは!良かったわね!」 二人の少女は抱き合って喜びをかみしめている。

「何がなんだか・・・」

 つづく・・・・・・・

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