第29話
サモナー


2005  7/10 UP


 とどめの一撃を狙うマンティス・・・絶体絶命である。

高志の格闘術はこの戦いにおいては何の意味も成さなかった。

空手家と熊の戦いよりも悲惨なものである。 { かーらーていちだーーいい }

 「人間がたとえ人生をかけて鋼のような肉体を造り上げても

筋肉トレーニング等で鍛えた事も無いトラには勝てない・・・。

それは何故か?

それは、何世代もかけて鍛えられた肉体だからだ。

トラは子孫を残すために強くなくてはならない。トラの人生そのものがサバイバルレースである。

弱い者は死に行き、強いものが後継者を生み出していく。

しなやかなハンターの肉体はDNA(遺伝子)を通して次世代へ受け継がれていく。

たかが10年や20年鍛えた人間が勝てるはずは無いのだ!」 と吉野はニヤケながら語る。

ましてや相手はトラより恐ろしいマンティスである。(しかも異次元の生命体)

マンティスは攻撃できる範囲まで近寄った。

「くそ!ここまでか!」 高志は突っ込む覚悟をしていた。

その時!

床より半透明な亡霊。守護神が現れた。

「高志君!にげるのよ!」 朝倉朋子が叫んだ。

「朋子さん!?」 高志は戦闘で頭の中がいっぱいで朋子の存在すら忘れていた。

久しぶりに会った知り合いを見るような目で朋子を見ている。

マンティスは守護神たちとにらみ合いをしている。

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 美男子の警察官”リー”は隣のベランダより高志の部屋に入り込もうと、つたって来るが・・・

赤い蛙のような爬虫類系の化け物が行く手を阻んだ。

レッドスラードが見張りをしていたのだ。

これにはさすがのリーも驚いた。

「なんだ!これは?」

レッドスラードは大きなハンマーを両手で握り締めて、振り回してくる。

リーはすぐさま、ベランダの柵に足をかけ上へ逃げる事にした。

特別な訓練を受けているリーの身のこなしはしなやかであった。

「いったい・・・何が起ころうとしていると言うのだ・・・」

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「みんなとにかく外へ出よう!」 高志は部屋を後にした。

ドアから外に出て、みんなを引率し非常階段から屋上に出る。

「もうこうなったら・・・これしかない」 高志はマハマンのお守りを取り出した。

マンティスは守護神の三人のうちの一人に攻撃を開始した。

「サモン同士の戦いか・・・見ものだな・・・」 吉野は嬉しそうである。

マンティスのカマは鋭い音と共に守護神の腕を切断した。

「ははは、素晴らしいボーパルショットだ!」 吉野はマンティスの能力に満足げな笑みを浮かべる。

守護神はお互い目で何か合図をして陣形を組んだ。

二人の守護神はマンティスに飛び掛った。

「挟み撃ちか!?」

そしてもう一人の守護神は、何と、藤堂麗子を強襲する。

「なるほど、なかなか良い連携だな。サモナーをヤル気か?」 吉野は驚いた。

藤堂麗子はコントロール中で無防備である。

マンティスの守りさえ飛び越えてしまえば、そのコントローラーを攻撃できる。

サモナーとはそのコントローラーの事である。

異次元等よりクリエーチャーを召還しそれをコントロールして敵と戦う。

サモナーさえ倒してしまえばマンティスは無用の長物となる。

「だが、そうはさせん!」 吉野が藤堂麗子のガードについた。

守護神は吉野に攻撃を開始した。がしかし、吉野のPKバリアーで弾き飛ばされる。

マンティスも徐々に二人の守護神を押し始めた。

この戦力ではジリ貧で吉野たちに軍配が上がるであろう。

吉野さえいなければ何とか藤堂麗子を倒して勝利を収める事が出来たものを・・・

残念であった。

守護神たちは撤退を余儀なくされた。

「はははは!!!我々を止める事は出来ないのだよ!」 吉野達はバリケードをはらうがごとく

障害を排除して突き進んでくる。

「小僧を追い詰めろ!」

屋上・・・見事な夜景の中、決戦の火蓋は開かれようとしていた。

つづく・・・

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