第23話
少女とペンダント
2005 5/21 UP
高志は休息を取る。
ここ最近で疲れが出たのか?ぐっすり休んだ。
そして脳みそは休まり、次は体の番である。
人間は睡眠で脳を休めた次は肉体を休める。
この両方を休めないと次の日、仕事に行くのがつらい。
脳が休まり、肉体が休んでいる時、脳は既に活動している。
この時夢を見る。
高志は夢を見ていた。
幼い頃、近くの公園で遊んでいる光景だった。
一人の少女が砂場で何かを探しているようだった。
「何を探しているの?」 高志は問いかけた。
「ママにもらったペンダントが埋まっちゃったの・・・」 少女は涙を浮かべながら、こっちを見ないで言う。
掘っている手にはプラスチック製のスコップを持っているが壊れている。
「そんなのじゃ掘れないよ」 高志は自分のスコップで手伝ったやった。
しばらく二人は砂場を掘りまくった。
「あった!これ?」 高志は鎖が絡まって玉になった金属製のものを掘り当てた。
「あー!ありがとう!」 少女は嬉しそうに受け取り玉を解いた。
ペンダントは二つが絡まっていた。
その少女とはそれがきっかけでちょくちょく遊ぶようになった。
ある日、少女は引っ越すことになったらしく、お別れに来た。
「遠くにね、引越しする事になっちゃった・・・」 少女は嬉しそうな笑みを浮かべている。
「そうか・・・」 高志は残念だった。
引越しってのは残される者はとても淋しく悲しい。
しかし、引っ越す方はこの時点ではすでに覚悟が出来ている。
子供同士のお別れは誰もがこんな感じある。しっくりこない、ぎこちの無いお別れ・・・
「これあげる」 少女はいつかのペンダントを片方、差し出した。
これ以上の記憶は高志にはなかった。
お互い名前も知らない、公園の砂場でしか会うことの無かったその少女がくれたペンダント・・・
子供が身に着けるには妙なデザインであった。
二つの頭を持つ鷲のデザイン・・・
高志はただ、大切な思い出としてそのペンダントを保管してきた。
遠い記憶で何故保管してきたのかを忘れていた。
夢の中で高志は一つの謎を解いた。
あの時の少女は中場ユリだと。
「はっ!!」 高志はふと目を覚ました。
暗い部屋の天井付近に誰かがいる。
「体が・・・」 高志は金縛りに会った。
「ふふふ・・・」 リリスであった。
「汗をいっぱいかいちゃってるのね・・・」 舞い降りたリリスは高志の服をめくり上げ始めた。
「わーおー。すごい体してるのね!」 高志の鍛えられた肉体を見て、リリスはドキッとした。
超能力!この女もまたそれを使う最近のはやりの奴か?高志は思った。
だとすれば、このまま行くと最後には殺される可能性が高い・・・まずい・・・
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高志は両腕を頭の上に持っていかれ、寝たまま 「ホールドアップ」の状態にされた。 脇の辺りから耳元にかけてリリスは息を吹きかける。 リリスはエンパシー(感情)を感じ取る力があった。 息を吹きかけた時に高志が感じる気持ちをそのまま感じ取るのだ。 他人より感じ取る気持ち良さはリリスを狂わせるほどの物である。 絡み合った場合、自分も気持ちいいが、 相手の気持ちがいいと言う感情も感じるので、 2倍に膨れ上がる。(この超能力ほしい!) アホ・・・ ただ、リリスの場合は恐怖や悲しみにもエクスタシーを感じる、 むしろそっちの方が本命なのだ。 |
彼女の場合、考えられないが”H”と言う物は食事に過ぎない。行為をすると言う事は
相手を食する事になる。当然食し方によっては命までも吸収してしまう事もある。
感情と生命力を食する。それがリリスの正体であった。(人間ちゃう・・・)
「凄い肉体・・・感度もずば抜けてるわ・・・」 リリスは嬉しくてしょうがない。
高志は意識が薄れていく・・・
「てめぇ・・・ゆるさねえ・・・」 高志はブチ切れた。
「はっ!!この子はいったい?」 金縛りがとけて高志が動き始めた。
リリスは瞬間的に一歩うしろに移動した。(近距離瞬間移動 ディメンジョン・ドアー)
「おらーー!」 高志はパンチと蹴りを繰り出した。
何発かはリリスに直撃した・・・がリリスは痛がることも無い。
「おやめなさい坊や・・・貴方がいくら強くても私には傷ひとつ負わせられないわよ」
高志はすでにぶちきれ状態(バーサーク)なので聞こえておらず、突進してくる。
リリスは両手の手のひらを高志に向けて気功を放った。
高志は何か目視できない力にはね付けられて弾き飛ばされた。壁にたたきつけられた。
ドカ!!
この音で隣の部屋で寝ていた中場ユリが目を覚ました。
「へえぇぇ・・・マインドブランク?」 リリスは自分のサイキックが効かない事に驚いた。
マインドブランクとは心が無い状態のことである。
超能力で自ら精神をブランクにすることで相手の精神攻撃を受けないようにする。
(このサイキックを使えば上司からの説教にも精神的ストレスを感じなくなる)
確かに高志は今バーサーク状態で心ここにあらずと言うところである。
精神に働くサイキックは受け付けない状態である。
金縛りは精神に働きかけてその動きを封じるのだ。
マインドブランクしている者には、こう言ったサイキックを使っても効かないのである。
ただ、相手が悪かった。リリスは異次元の生命体のため、我々の次元の物質では傷つく事が無いのだ。
拳をブチ当てても、物理的に衝撃が伝わるだけでダメージを負わせる事が出来ない。
すなわち、リリスを殺す事は出来ないと言う事である。
「高志君!!」 ユリが助けに来た。
「ふふふ・・・ショウタイムよ」 リリスは二人まとめていただく事に決めた。
「おりゃあああー!」 ユリは拳に気をためて攻撃した。
「あうぅぅ!!」 リリスにクリンヒットしてリリスは方膝をついた。
「この女・・・サイキッカーだったとは・・・」 リリスは少し驚いたが、楽しむには丁度良いと思った。
高志はかすかな意識の中で、気づいた。ユリの拳がオーラに包まれている事を・・・
そして、自分の拳は相手にダメージを負わせられないが、ユリの拳はダメージを負わせられると言う事を・・・
「坊やは少しそこでおとなしくしてもらって・・・フォースフィールド!!」 リリスは半透明の壁を作り出し
高志がこちらに来れない様にした。
「ふふふ・・・この少女から始末するかな?」 笑みを浮かべるリリス。
つづく・・・
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