第21話
マハマンのお守り


2005  5/8 UP

 そのつのがえる(スラード)は綺麗な真紅の肌をしている。

手には大きなハンマーを握っていて、それを両手で振り回す。

「きわめて危険じゃねーか!?」 エイジは止めているんだが・・・

「おらーー!」 アキラは懐にもぐりこんで蹴りをかました。

かえるの面にOoOOOである。

「なんや!きかへんで!」 アキラは何度も蹴りを食らわしたがまったく効かない。

「おおおりゃあああ!」 続いて高志も攻撃したがこれまた効いていない様だ。

しかしスラードもぶんぶんハンマーを振り回してくる。

「だめだ・・相打ちにでもなったら、こっちがやばい」 確かにあのハンマーは痛そうである。

「あほ!死ぬって」 エイジはぼやく・・・

「高志君たちよくあの間合いに入れたわね」 ユリは間合い入れてもらえず攻撃すら出来ない。

ユリは二人の格闘能力が実はすごいんだとこの時確信した。(ちょっと悔しかった)

スラードは動きを止め精神集中し始めた。

「なんや?」

「うわーー!」 アキラは跪(ひざまつき)きガクっと倒れた。

「また何かやりやがったのか!?」 高志はあせった表情で言った。

「サイキックを使うの?このかえるさん達・・・」 ユリはぞっとした。(かてるか!)

スラードは勝ち誇った表情(表情無いやろ)でゆっくりと、反転して朝倉朋子のほうへ歩み寄る。

「い・・・いや・・・」 朋子は目をまん丸にして、迫り来る恐怖に失神しそうになっていた。



「やばい!あのお姉さん巻き込まれてしまう!」 高志は場が悪いと判断した。

「俺たちに戦いに罪も無いお姉さんまで巻き込みわけには行かない!」 高志はエイジに合図した。

「やっと正気に戻ったか?!最初から撤退だろこれは・・・どう見ても」 エイジはよっこらせと言う感じだった。

ゆっくりと歩み寄るスラード。

その時!

地面から半透明の亡霊が現れた。

朋子の守護神である。

スラードは足を止めた。

守護神は3体現れた。囲まれるスラード。

スラードは念じてサイキックで攻撃したが守護神は精神(心)が無いためターゲットをロックできないのだ。

ケロッっとした顔つきになったスラード。

守護神の二人はガーディアンで守りに徹している。そして一人は鋭い刃物を武器に攻撃する。

「今だ!撤退するぞ!」 高志は撤退の合図を出した。

アキラはエイジにかつがれた。

ユリは朋子を連れて行く。朋子は意識を失っていた。


マイグレーターは既に何匹かのスラードを飲み込んでいる。

スラードもこれ以上は戦闘を続行できなかった。次々と姿を消していく。

守護神たちとにらみ合いを続けていたスラードも仲間達が撤退するので仕方なく撤退した。

瞬間移動で姿を消していくスラード達・・・

「やはり、レッドスラードごときでは手に負えんか・・・」 

吉野は苦い顔をした。

「そうらしいわね・・・でもどうして?」

「マイグレーターがここら辺をうろついているの?」

 リリスは聞いた。

「それを調べてはいるんだが・・・」

「私も少し情報収集をこの人間界でする必要がありそうね」 

リリスは可愛い笑みを浮かべる。

「これをもっていけ」 吉野は携帯電話を渡した。

「使い方は・・・」 吉野は思念をリリスに送り込んだ。

「へえ・・・この世界にもこんな便利な物があるのね」

「クワジットにメッセージを運ばせなくてもいいじゃん」

そして二人はマイグレーターの索敵範囲から離脱した。


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マンションに何とか逃げ延びた高志たち・・・

その後をリリスがつけていた・・・

「なんか訳がわかんねーんだけど」 エイジは言う。

「とにかくさ、あいつらはバイオハザードかなんかで敵なんだよ」 高志もよく解ってない。

「もう後には引かれへんで・・・」

その時朝倉朋子が意識を取り戻した。

「巻き込んでしまってごめんなさい・・・」

「何を言ってるんですか。巻き込んだのは俺たちのほうですよ。謝らなくてはならないのも・・・」

「あのナメクジのような物はマイグレーターという異次元の物体なんです」

「パソコンありますか?」 朋子は聞いた。

「ありますよ」 エイジは答える。(何でお前が答えるんだ!)

朋子はデータディスクを起動しパスワードを入力した。

母親の生年月日・・・朋子は複雑な心境で目頭が熱くなった。

(こんな所でくじけちゃいけない・・・負けるもんか・・・)

「マイグレーターと接触した人間は潜在能力が引き出されてしまい・・・」

「超能力を使えるようになる・・・」

「そしてそれは個人差がある・・・」

「でも、何でそいつはうろついてるんだろーな?」 高志は不思議そうに聞いた。

「それは・・・えーと・・・あった」

「一説によるとアミュレット(お守り)を探していると言う・・・」 画像が添付されていた。

「こ、これは」 クルミのような形をした丸いお守りだった。

「以前教授にプレゼントだってもらった・・・」

リリスは(情報収集って簡単だわ・・・)ニヤけた。

「私の部屋のジュエリーボックスに入れてあるわ・・・」

「それが奴らの手に渡ったら・・・」 エイジはつぶやく。

「なんかえらい事になりそうだぜ」 高志もつぶやいた。

「そう言う事だったんだ・・・」 リリスもつぶやいた。

リリスはスッと外へでた。壁は素通りできる超能力があるようだ。

「吉野?私だけど・・・」

吉野達は連絡を受けて先ほど連行しにいった朝倉亭へUターンした。

「なるほど・・・マイグレーターは召還の守り”アミュレットオブマハマン”を探していたのか・・・」

吉野は自分の中で一つの謎が解けた喜びをかみしめていた。

つづく・・・



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