第八話
バーサーク(発狂)


2004 12/26 UP

 
  

  暴走族同士の喧嘩の中で高志はぶちきれた。それは超人かと思わせるような暴れようだった。

次から次へとシーサイド、バシリスク問わず殴り倒していく。

「なんやあいつ!めちゃくちゃやないか!」 石黒晶は徳重高志を見て言った。

「アキラもういいから逃げるぞ!察が来る!」 天白エイジは弟達を連れながらその場を撤退したがっている。

「高志にはこれ以上関わらん方がいい。切れた時は俺でもおさえられねー。」

 高志は真っ白な空間に入り込んだかのような感覚で戦っている。

「ああ・・またこの感覚か・・・何がなにやら訳わかんねー・・・」 意識は飛んでいる。

「あ・・・あそこに石黒の奴と天白エイジ・・・逃げる気か?」 もうろうとした意識の中でなんとか識別した。

「うぅ!やべ!!気づかれたか!?」 天白エイジはこっちに向かっている高志に気づいた。

「にげろ!!!!」


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 一方、オレロフたちはお互い硬直状態が続いていた。

「くそう・・・この女のPKバリアはしぶといのか!?」 自分の物理的攻撃を全て弾き飛ばされたオレロフは

この戦い方ではラチがあかないのに気づいた。

だが、中場ユリもまったく平気ではなかった。 「弱い所を見せてはダメ・・・でも・・・もう限界・・・」

PKバリアーを張り続けると言う事はとてつもない体力と精神力を消耗するのだ。

下手をするとオーバードライブ状態となり意識を失ってしまう。その瞬間、バリアは解除されてオレロフの

鉄片が彼女の体に突き刺さりズタズタにされるであろう。すなわち、即死である。

こちらは暴走族の喧嘩とは訳が違う。

「こいつら化けモンだ!!」 密売組織の1人がどうやら縄を切ったらしい。 オレロフは気まずい顔をした。

「見られたからには死んでもらうぜ」 オレロフは犯罪者4人に鉄片を強襲させた。

「あぎゃーー!!!!」 一瞬だった。無残にも彼らはミンチ状態となり、どれが誰の体か判別できない。

中場ユリもこうなるのだ・・・と振り返るとユリは走り出していた。 「くそ!!逃げるのか!」

「ここは何とか逃げ延びるしかない・・・」 ユリは一心不乱で走った。

 すると前方から太った男がこっちに向かってくる。

天白エイジであった。その後に石黒兄弟、そして徳重高志と続いてくる。

「どけーーーー!!」 エイジはでかい声で叫びながら近づいてくる。

オレロフはこの自己中心的なエイジというキャラにムカツキを覚えた。

「なんじゃこの外人は!どけって言ってるだろー!」 太った体で体当たりを食らわした。

「こ、殺す!!!」 オレロフは天白エイジにサイキックを使った。

「え!?」 エイジは体が動かなくなった。「なんだこれは?金縛りに・・・」

オレロフはゆっくり近づいて顔面にパンチを繰り出した。

状況判断に一瞬遅れた石黒は 「なんやこのおっちゃん!!」

追いついた徳重高志も何がなんだか理解できていない。まだぶちきれている。

石黒晶が攻撃を開始したのだが・・・ 「なんや!目が見えへんようになった!」

はっきり言ってこのサイキックの前では一般の人間は無力であった。

「なんと言う事!一般の人に・・・やめなさい!」 ユリは声を大にして言った。

「お前が巻き込んだようなものではないか!?違うとは言わせねーぞ!」

「おにいちゃーーーん!」

「くそ!せめてこの弟達でも逃がさないと・・・」 エイジは動かなくなった体で弟達に合図を必死でしていた。

「あの穴から逃げろ!」 とても弟達には伝わらない。

オレロフは 「もう一人威勢が良いのがいたのか」 高志に向かって指をさした。

高志は勢いに乗ってオレロフに襲い掛かる。

「何!!」 オレロフは豆鉄砲を食らった鳩のように目をパチクリしながら言った。

「キャンセラーだと!?」 独り言を言っている暇はなく高志の拳が顔面にめり込んだ。

ユリもこの状況をはっきり理解していた。 「この子がキャンセラー?」

オレロフは地面に倒れた。次の瞬間、エイジと晶は解放された。

「みんな逃げるぞ!!」 エイジは先導した。

いつしか、エイジ、石黒兄弟、高志、ユリはパーティーを組んで逃走していたのだ。

「逃げられると思っているのか!小僧ドモ!!」 オレロフは意識を取り戻し立ち上がった。

ここでフェードアウトしつつ エンディングテーマが流れる・・・

つづく


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