第三話
暴走族の集結


2004 11/14 UP

 

 天白エイジ。この地区の暴走族グループを統一した男で、腕力、魅力に長けている少年だ。

身長は186cm、体重は139kgと少しばかりデブではあるが、

彼の話術は生命保険会社のトップ営業マンに劣らないほどであった。

がゆえに、ここ10年間ばらばらに5つほどの勢力に分かれていた暴走族グループを統一できたのだろう。

 使われなくなった5階建てのビルの屋上でエイジは夕日を眺めていた。

「エイジさん。準備の方は出来てます。」

「そうか・・・」

「隣町の連中はおそらくエンパイアーの連中と合流しますぜ・・」

「あわてるなサブ。それでも我が統一メンバーの方が楽勝に兵力は上だ。」

そこへ慌てふためいた少年が入ってきた。「エイジさん!!」

「どうした!?」

「やつら、港のシーサイドのやつらも仲間にしましたぜ!!」

「そいつはやばいな・・・」 エイジは苦笑した。

どうやら今夜の戦いは部が悪そうだ。

「そういや、例の空手使いはどうした?」

「石黒ですか?」

「身元を調べたのか?」

「まーいちお・・・すんげー貧乏で、親はいないみたいで・・兄弟が二人・・・」

エイジの目が光る 「その兄弟とは?」

「へい・・なんでも、妹と弟みたいです。」

「連れて来いや。」 エイジはにんまり笑いながら言った。


------------------------------------------------------------------------------@


 使われなくなった港の倉庫に怪しげな外国人が潜んでいた。

こちらは暴走族の喧嘩より2ランクくらい上の妖しい取引が行われようとしていた。

外国人の犯罪が増える中、ヤクザがらみの事件が多かった。

暴走族で頭角を現す少年達は卒業するとヤクザに就職して行った。

これは、甲子園に行った野球少年がプロ野球にスカウトされるのと原理は一緒なのだ。

しかし、はびこる悪事を阻止せんとここに、一人の特殊刑事がいた。

名を中場ユリという。彼女は韓国の特殊部隊で格闘技と暗殺拳の全てを学び帰国。

こちらでその能力を生かす特殊部隊に所属している。

今夜、この倉庫で密売組織を一網打尽にする絶好の機会である。


------------------------------------------------------------------------------@


 そのころ(どのころや?)石黒アキラは帰宅して妹弟たちがいないのに気づく。

そして置手紙にも気づいた。アキラは激怒しながら家を飛び出した。そのしなやかな走りは

まるで獲物を追う黒豹の様である。

そこへエイジがバイクで乗りつけた。「お前が石黒アキラか!」

アキラはにらみながら言った。「そうだ!なんか用か!」

エイジはにやけながら「うちのもんにケチな言いがかりをつけてくれたらしいな?」

「悪いが、今はそれどころじゃないんや、後にしてくれへんか!?」

「シーサイドの連中か?」

アキラは立ち止まった。「何で知ってんねん!?」

「さっき、シーサイドの奴がシャコタン走らせてったからな。まるで逃げる様だったぜ。」

「なんやと!!」

「いったいどうした?」エイジは問いかけた。

「奴等、ケチな事しよってな。なんでか俺の妹達をさらいよったんや。」

「なにー!!」エイジはバイクから落ちた。「そういう事か!」

ここからエイジの口は止まらない 「いや実はな、シーサイドの連中はな卑怯で有名なんだ。」

「俺は、たまたま関係の無いお前が喧嘩売ってきたゆうから来てみたけど・・・」

「それはいかんわ!関係ないのはその、弟達だぜ!」 アキラは事の展開について行けなくなり

あんぐりとしている。

「よし、アキラ!俺たちの決着は後回しだ!」 「あ、ああ」 「後ろに乗れ!」

走って港まで行くわけにも行かないし、このデブが何かいい情報を持っていそうだと言う二つの理由が

アキラをバイクの後ろに乗せた理由だった。

------------------------------------------------------------------------------@

 そのころ二人の男もまた、その港に向かっていた。

一人はオレロフという外人で、もう一人は徳重高志であった。

つづく・・・

もどる