大悪魔バールの幻影

  それはバールとルーン文字で書かれている巻物であった。いったい誰が何のために創り上げたのかは誰も知る余地は無かった。しかし少なくとも人間達が築き上げた歴史上には古くから度々登場している。おそらくこの巻物はそのバールを徹底的に調べ上げ作られたイリュージョンであろう。ブリットス教授をはじめ研究所のスタッフは皆このバールの巻物に注目している。
 レンジャーズギルドのメンバーはこの巻物を起動して中に居るバールとコンタクトをとり、いったいバールと言う悪魔が当時どう描かれていたか?それを調査すると言ったきわめて危険な任務を遂行しなければならなかった。

 ギルドのメンバーはとりあえず巻物を起動して潜入した・・・
 
 そこは暗雲垂れ込むダークな世界が広がっていた。まさしく人間が恐怖するように描かれている。

 明かりも無く、所々溶岩が燃えている明かりで地形が確認できる程度であった。

 しばらく行くとそこには黒い大きな城が表れた。そしてドラゴンの骨が、まるで門を守るかのように・・・

 しかし硬く開きそうも無い扉が4メートルほどの高さについておりメンバーは侵入できない。
 
 実はこのドラゴンの骨の頭部に乗ると2階くらいの位置にある扉まで運ぶエレベーターになっている。
 
 中に入ると玉座に魔の者が座っている。玉座は魔法陣の中にあり、その魔法陣をルーン文字が囲んでいる。

 ルーン文字は彫って書かれており、その中に溶岩が流れ込んでいる。文字は溶岩で燃えて光っている。

 この魔法陣の中に入る愚か者に何が起こるのか?それはやはり愚か者にしか解らないであろう。

 バールとコンタクトを試みると、彼は自分に関心があることにしか反応しなかった。しかしここにメンバーが来る事は予想できなかった自分に腹を立てていた。彼のは未来予知の力があるはずなのにメンバーの訪問はまったく予知出来なかったのだ。彼はそんな事はありえないと、ずっと考え込んでいた。バールは仕方なくメンバーの思考と記憶を読むことにした。バールは驚いた。まさか自分がイリュージョンで造り上げられた存在だったとは。しかしバールは自分がたとえそうだとしても実際に生きている人間となんら変わりは無い事も理解していた。メンバーの言う実際の世界は我々の言う夢の中か、あの世と同じと理解できよう。バールと言う存在がこんなに前向き、貪欲、自己中なのか・・・。自分が本物で、メンバーが幻としか思っていないようだ。しかしどうしても理解できない点がある。それは当たり前である。実際は人間に作られたイリュージョンなのだから。それを知りたくなり、久々に心が躍るという感情を感じていた。
 バールから情報を得るには慎重にコンタクトを取らねばならない。もしこじれたらメンバーはそのサイキックで簡単に殺されるであろう。また、コンタクトを取った記録を保存する必要がある。これは巻物で保存する事が出来るようになっている。(ゲームで言うセーブである。)はじめから起動すると新たな情報は入手できないのだ。ただ危険なのはバールもまたこちらを覚えているという事である。

 メンバーはあまりの危険性に深追いをせず、最小限の危険で出来る限りの情報を入手し、報告した。以下のとおりであった。

 バールと言う悪魔は伝説では何度もこのワールドに現れている。

 エルフの国ではこの悪魔を退治したと言う有名な話もある。

 人間の国でも封印した事もあり、その封印を解いた事もたびたびある。

 ダークエルフはこの悪魔を呼び出してワールドを崩壊させようと試みた事があった。それを呼び出したのは7人の大司教(ロルス教)であった。

 どれも伝説的なことばかりである。この巻物が作られたのが2000年ほど昔なので、この伝説はもっと昔であろう。エルフにとっては最近かもしれないが、人間にとってはまったく知る余地も無いつかみ所も無い遠い話である。
 その他にも細かい事柄を入手し、ブリットス教授等に報告してこの任務を終えることにした。メンバーはかなり悪魔と言う存在に恐怖したのだ。それがたとえイリュージョンだとしても・・・ 

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