霜月の夕べのナジャ
風よ美しく病みて果てよかなしみの目つむりし一日を欺き
霜月の夕べナジャとう女(ひと)に会ひ肩ふれてなほわれの禁欲
忍ぶ恋はるけき謀反 チェロ弾きて許さざる暁(あけ)の黒きさざなみ 
わかものの蒼き棺にためらはず歌へ明日国ほろびたるのち 
過ぎゆく日々にまた相会はばなにゆえにかなしきわれら雨夜に眠る
わがカオス キーボード叩く暁闇にその美しくかすみゆく詩歌 
古語辞典に恋とはかなしくありぬ小夜ふけて死すべき荒野に立ちぬ
カエサルの眉暗き日に国亡ぶことありぬ物語に泣くか
元老院にもの申すなにゆえか少年たちが夢捨ててゆく
王は夢殿に倒れ夕映えのかなしき日暮れよとジャリの詩集は
刎頚の友去りゆく霜月に聞くショパンの夜の泥酔
見ざれども花も紅葉もなかりける風の刺客の夢の綺羅かな
財務省官僚児童買春、外務省痴漢公金横領 
月下美人狂い咲きし霜月四日 鏡花忌の夜に飲む赤きワインよ
死出の山河みなぎりて西行のすみやかに歌捨てよあけぼの
遊女三千村雨むかへ行きなずみほほゑみゐたる明日の宴に
けはやかに過ぐる壮年こころせよ色絵薄墨しぐれたばしる
幼帝を弑し時雨に血のにじむ晩秋のわがガリア遠征
やみがたき日々にてあらばここ過ぎてしぐれ冷たき母十三回忌
花伝書の花など焼き捨てよさらば命絶ちけむわれの紺青

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