演劇雑誌『現代劇場』について
京都1963〜1971年


●激情と錯乱の日々に
演劇雑誌『現代劇場』は小松辰男の宰領によって発刊された。
一劇団が雑誌を持つということは、財政的にどれだけたいへんなことだったか。
舞台公演とともに、この雑誌発行は、われわれの熱い砦であった。

ーー70年大阪万博に向けて、演劇のみならず、映画、音楽、舞踏、ハプニング、美術など、あらゆる芸術が小松の周辺で熱く萌えようとしていた。
疼き、たゆたい、爆発しようとしていた。
それが全共闘運動をひかえた激情と錯乱の日々への挑発的プロセスであったにせよ、われわれは静かに発信していったのだ、といえる。
 
同人雑誌が、劇団が、舞踏が、音楽が、美術が、劇団雑誌が燃えようとしていた。
幻想のバリケードという祝祭空間。
すなわち自由にかがやく裂帛の劇場に向けて華麗な火花を打ち上げようとしていたのだった。
『現代劇場』は、そうした京洛の冴えを背景に発刊された、といえよう。


   第1号
  
第2号
  
第3号
  
第4号


第1号1964年2月発行
作品 執筆者
戯曲『小喝食』  太田代志朗
「小喝食」論 増田靖弘
小喝食の面 中村保雄
小喝食を見て 秋山和生
創作ノート テオ・レゾワルシュ
演劇時評 小松辰男
運動・空間・舞踏 神沢和夫
お話(詩) 青山孝志

第2号1964年10月発行
コーラと十七錠の下剤による断章 小松辰男               
詩劇の発想 増田靖弘
現代アメリカ前衛音楽演奏会
シンポジジウム記録
虚構の春(詩) 林川賢太郎
戯曲「孤独がぼくたちの瞼を閉じる 太田代志朗

第3号1965年10月発行
ブルターニュの漁夫 マルセル・マルソー
現代演劇への提言 テオ・レゾワルシェ
戯曲「無益な会話」 テオ・レゾワルシェ
山崎正和論 増田靖弘
戯曲「大人のための五つの童話集 小松辰男
戯曲「失楽園」 太田代志朗

第4号1966年6月発行
戯曲「トランスラシオン」 テオ・レゾワルシャ
林川賢太郎
舞台台本 竹邑 類
戯曲「夜想曲」 岡田良一
大人のための五つの童話集 小松辰男



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