至純の美と魂


いつの日頃からか、地唄に惹かれてていた。

繊細な彩りに富む音色感覚、上方の数寄者が愛したといわれる音曲に不思議な魅力と憧れを感じていた。谷崎潤一郎の『春琴抄』の面影を慕っていたのかもしれない。

孤高の灯をかざして毅然たる中華絃耀・川口慧耀は、古典地唄の伝承に心血を注ぐ。ここに、ともすれば消滅寸前といわれる音曲は砥ぎ澄まされ、異彩を放って真髄に迫る。その冷艶と狂熱の音色の冴えは、われわれの拠るべき心に静かに沁み入る。

座敷芸術として磨き上げられた細やかな音律、妙なる詞章の色付けが、今、こよない風雅と侠気の夢のあえかな息づかいとともに新たに甦ってくるのである。地唄の奥深い文化の息吹というものであろう。

「魂の変化(へんげ)を表現したい」と、地唄の家に生まれた栄光と悲哀を一身に負う川口慧耀はいう。邦楽の特質やその固有性を現代に生かすべく、日本の文化や伝統について、いつも熱く語りかける。正統なる地唄筝曲の至純の美を求める<芸と心>が脈動している。

春三月、弦楽ファンタジーの世界が弾む。

「心に滲み入る和の音」VOL3は、筝・三弦・歌に加えて、中国竹笛という鮮烈のクラシック、コラボレーション。地唄音曲の華やぎと哀切に、春の調べが耀訳する。

【『心に滲みる和の音』VOL:クラシックコラボレーション チラシより】


『心に滲み入る和の音』クラシックコラボレーション
出演 中華絃耀・川口慧耀・張雷(中国竹笛奏者)

公演:2007年3月30日
ザ・フェニックスホール(大坂・梅田)

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