「澁澤龍彦 幻想美術館」頌

展覧会「澁澤龍彦――幻想美術館」を埼玉県立美術館(平成19年4月7日〜5月20日)で見たのは若葉揺れる5月のことだった。
没後20年を記念する美術展である。

サドの研究者として過激な芸術文化の先導者、わが60年代青春を切り裂いていった澁澤龍彦(0928〜87)――ここに鮮烈な美術史にもとづく新たな幻想的な美術が展開されたのだった。

幻想美術館は編年体をとりその59年の生涯を追ってゆく。
澁澤龍彦が好み、紹介し、称賛した東西の夥しい美術家たちに焦点があてられ、その美的史の全体像が明らかにされる。

出品作品は約250点、資料は約50点。
戦後の体験、サド裁判、土方巽と暗黒舞踏、マニエリスム、黒い幻想、シュルレアリスト、血と薔薇のころなど、文学、美術、演劇など多彩なジャンルが華麗緊密に結びついた時代の饗宴をつぶさに感じさせられた。

分けても愛蔵していたサドの直筆手紙には思わず魅了された。

ちなみに「名鑑 澁澤龍彦をめぐる260人」の”高橋たか子”さんの項では、
「澁澤龍彦との出会いは1966年秋、鎌倉で。足しげく澁澤家を訪れ、マンディアルグ『大理石』を共訳」
とある。

「唐十郎の状況劇場に澁澤さんと行くので、あなたも一緒にいらっしゃい」
と高橋たか子さんからのお誘いを受けたのは、1969年、私が上京してすぐの頃のことだったか。

頃日、分厚い巌谷国士監修による『澁澤龍彦 幻想美美術館』(平凡社)を広げ、めくるめく渋澤ワールドに酔っている。

【2007年7月27日】


▲INDEX▲