日録●太田代志朗2020年● 

5月28日(木) 晴れ。
・あはあはと流れきたるをさみなしにいかにあらむと夢に祷るも
・老残の遊び絶えぬるいやはての睡りの夕べしぐれふりける
・いづくにかかなしくあらば初夏(はつなつ)の風にまぎれて謡ひゆくはや

小庭の夏椿や山紫陽花が咲きはじめている。
甕の中ではメダカが元気に泳いでいる。
1カ月半の自粛・巣ごもりーー引き続き注意していかねばなるまい。
老残はよく眠り、よく食べ、お陰で何とも体重3Kg増えた。
車検に出したAQUAがもどってきて、家人とスーパーへ買い物。


5月27日(水) 伝馬義澄氏のご冥福をお祈りいたします。
ご自宅で4月11日急逝。79歳、国学院大学名誉教授。本日ご家族より通知受ける。
近代文学はじめ井上靖、中村真一郎、秋谷豊研究でいろいろ承った。
近松秋江の『黒髪』のことでは、「あれはいいんだ」と身を乗りだしていった。

加藤克己や金子兜太らが創設した埼玉文芸家集団では一緒になって議論もした。
愚生が同会を「どうにもならない」と脱退するとき、親身になり相談にのってくれた。
丁重な手書きの手紙までいただき、恐縮していた。合掌。


5月26日(火)  
小石原昭氏のご冥福をお祈りします。。
小石原昭氏(知性コミュニケーションズ代表)が亡くなり、後日お別れ会を開くという。
三木清の始めた河出書房の「知性」編集長として名を馳せ、元赤坂に自社ビルを持ち編集・出版や広告PR・マーケテイングで多様な戦略的コミュニケーション業務をひろげた。
大阪~京都~東京へといろいろ世話になった。
高度消費の生活文化産業がバラ色の夢のようにサイケデリックにひろがる時代だった。
発信感度はことごとく潰されたが、それも糊口をしのぐためだった。合掌。

夜、横浜のF氏より電話。
来し方を忍び銀座、赤坂時代のことで長話になる。


5月24日(日) 晴れ。夏陽になる
朝の遊水地公園をウォーキング。
親子づれが賑わい、子供たちが元気に遊んでいる。
桜の森の青葉が翻り、愛犬との思い出いっぱいの散歩道。今日は夏陽で暑くなりそう。
安保闘争60周年・記念講演会は6月10日開催決行と場所:憲政記念館。
そしてH氏より、「時々、ホームページ関係のフォルダーをまとめてバックアップ」と。

静かな日曜日、防災放送が不要不急の外出自粛をよびかける。
「人との接触8割削減」ーー町と暮らしにまだ「恐怖」が襲っている。


5月22日(金)  緊急事態宣言もそろそろ。
曇天下、小庭にでて生い繁った紅葉や侘介椿を剪定する。
ユキノシタはもう何10年も前だったか、秩父をまわっていた時にもらったひと株で、大きく育った。株分けして人にもあげた。
また由緒あるテイカカヅラは挿し木でたくさん育てた。

ガーデニングで花と緑いっぱいの暮らしでもないが、
「白く咲いている花、あれはエゴよ」と家人が教えてくれた。


5月19日(火) 井波律子さん逝去。謹んでご冥福を。
13日午後、肺炎のため逝去。葬儀・告別式は近親者で行った。
なんでもこの3月に自宅で転倒、入院していたらしい。
昨年末、「高橋和巳電子全集」(小学館)の中国文学関連の解説のことで相談。
元気なお声だった。それに関する書面も頂戴していた。

武州小城下の田舎住まいに、悲しくつらい。
訊きたいこと、確認したいことが多だあった。
碩学におよばぬ身だが、律ちゃん、おれは東京へ行くんだ。
世に星影のワルツが流行っていた。百鬼夜行の京を離れることで、それをしも、「雉も鳴かずば撃たれまい」と彼女は言った。
京都時代からのことがいろいろ思い出される。合掌。


5月18(月) 小雨。埼玉・首都圏は外出自粛中。
早朝に起き、ひと仕事。PCに向かいやっと拙論に一連の流れがでてくる。
ツイッターもどきの言語表現ーーそのしゃらくさい尖り、器の貧しさに呵々とよ。
午後から霧雨になる。S院で予約マッサージ1時間。

スマホはdocomo Galaxyで、前のガラケー程度の使用度である。
マイナンバーカードは持っているが、これまで遣ったことがない。
ICカードリーダーやらなにやら手続きが困難。10万円給付のオンライン申請は諦めた。


5月14日(木) 満開のシラン、ユキノシタ。
朝の小庭に水道ホースでたっぷりと水をやる。
シランやユキノシタが咲き乱れている。
ことしは熊笹もいきいきと生え繁っている。

このところ、夜の睡りの夢で、幼い頃のことばかりがでてくる。海辺、白いパラソル、詩集、薔薇、暗い廊下、蛍狩、夕陽、帽子。ーーなぜか、それが悲しい気持ちに沈む。
晴天の元荒川沿いを10Km、歩いてこよう。


5月13(水) 初夏。午後のひと雨。
晴れ。爽やかな初夏だと思っていたが、また暑くなる。
歯科院の定期健診で歯周病チェック&スケーリング。
午後、急に曇り大雨が降り、すぐ止み、晴れ上がる。

図書館の『富士正晴作品集』全5巻がコロナ閉館で取り寄せられぬ。
その杉本秀太郎、山田稔の解説を閲したく、ネット古書注文になる。


5月12日(火) 大安。コロナ死者29万人。
朝はヒンヤリしたが、また27℃と蒸し暑くなる。
自粛で運動不足ながらよく眠り、よく食べている。
世界のコロナ死者29万人。今回の危機はまさに近代資本主義のグローバル化がもたらしたもの。科学、産業、商品、流通、フアッションもこの感染免疫系の前には嘘っぱちであったか。

愛用のPHYZで素振り&スクワット。
S院で予約マッサージ1時間。気持ちよく少し眠ってしまう。
書庫の本を整理、処分のものを階段に積み上げる。
資料としてまだ使うべきものもあるが、断捨離とする。


5月10日(日) 母の日。
昨夜の雨が上がり、晴れたり曇ったり。
60年代生産性、有用性の否定にもとづくシュールリアリズム論にツイート。

高齢喘息もちなので、きょうも静かにしていよう。
コロナ対策より五輪、改憲を先行する暗愚政権に殺されてたまるか。
政治CMの空疎な標語と忖度ジャーナリズムの漂流。


5月8日(金) 晴天。自粛に「緩み」と。
青空が澄み夏日、そよ風に木々の葉が揺れている。
防災スピーカーが不急の外出自粛をよびかけている。
夕べは満月で、その月の光を深夜の窓辺で浴びていた。

推敲を重ね重ねた原稿(書評)を収める。
ことしも富士霊園詣でが流れたが、何かと縁のある1本となった。
若い学究の思想、哲学、宗教、人類学、そして「共苦の文学」の読み説きに苦心惨憺。


5月5日(火) 子供の日。午後になり曇り、ひと雨。
早朝に目覚め、青葉が揺れる陽ざしが眩しい。
HPの全面デザインを変えたいが何もすすまず。
PCセキュリティ・レポートは「過去1カ月990件のファイルをスキャン、デバイスは安全」と。
さて、半年前に纏めた作品集原稿は、至急返却してもらい再考せねばならぬ。

混雑を避けての昼過ぎにと、家人のお伴でスーパーにいく。
1週間分の買い物がずっしり重い。特売の越中富山の鯖寿司。
武州古城下に40年余、きょうも生涯の一日なりや。


5月4日(月) 朝の雨が上り晴れ。緊急事態宣言が延長。
快調に目覚める。朝飯がうまい。
書き仕事を終え、公園を少し歩いてくる。
夏の陽ざしが眩しく、青葉がそよいでいる。

昨日は倅一家がきて、真理子がお琴を弾いてくれる。
夕食は皆の手伝いでヒレカツをつくり、楽しく食べる。
学校は休みで、塾はオンランになっているようだ。
今年は淋しい子どもの日ーー近づく八十八夜。


5月2日(土) 静かなGW。
晴れ。夏日で25℃の暑さになる。
家人が水撒きをし、小庭の花や緑がいきいきとする。
メダカが甕の中で元気に泳いでいる。

列島は閑散とし、喘息持ちは何より家内安全だと自粛している。
新聞の「運勢」覧が面白く必ず読むようになった。
TVにT・ウッドのビッグショット。KHKの土曜時代劇「雲霧仁左衛門」、「JFK暗殺」。


5月1日(金) 晴天。外出自粛。
朝早く目覚める。
ひと呼吸し、きょうも快調。朝粥に梅干し、鯵のひらき。
小庭にでると5月、初夏の陽ざしが眩しい。
ヤマモミジやフウチソウが風に揺れている。
侘介椿の下のエビネが、ことしはまだ芽がでてこない。
PCに向かったり、寝転んだり、書庫に入り,資料を繰ったりのリモートワーク。3万冊の書籍もいづれ整理処断せねばならぬ。

春過ぎてなつかぬ鳥や杜鵑ーー蕪村



日録:2003年~2020年4月


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