日録●太田代志朗2025年 

1月31日(金) 1月尽。
晴れているが、冷たい北風が吹きまくる。
9時30分から近くの中央公民館で健康100歳体操。
家人と一緒に参加の2時間(ご婦人方20余名の内紳士1名なり)。

さて、早くも1月が終わる。
世事多難。かかる世にほたえ、よろけ、うずく、寒鴉。
なぜかしきりにまた読みたくて五木寛之・梅原猛対談『仏の発見』(平凡社 2011)
モーツァルト「交響曲 第39番」。フィナーレの輝かしい幸福感。


1月30日(水) 晴れ。
晴れ。風なく穏やかな一日。
窓辺のシンビジュームが枯れてきている。
モーツァルト「交響曲 第35番ニ長調」。
公園ウォーク50分、春の陽ざしのように明るい。
あれこれ動き夕方、左手につけたウォッチ万歩計8.200歩(メモリー機能により午前0時に1日のデータが自動的に「0」となる)


1月29日(水) 85歳誕生日。
85歳、ここまで、思えばようやってきたと思う。
戦争時の幼少期はいつもひもじく、戦火をのがれた。孤独な青少年時代は家庭の事情により、生彩のない生活に明け暮れた。大学に入り、多彩な師友との出会いがあった。
そして上京。モーレツからビューティフルの時代を駆け抜け、武州小城下の一画の侘び住い45年。家族も親族も少ないが、老夫婦の静かな暮らし。むべなるかな朦朧偏屈士に素晴らしいウオッチ万歩計、スプーンセット、レコードプレヤー&スピーカー。
モーツァルト「交響曲 第39番変ホ長調K543」。
華麗で活気にとみ、明るい生の愉悦、華やかで豪勢な色彩感にみちている。

*畏友小坂郁夫よ、周りで京都の友人たちが次々に亡くなっていく。
 雪の夜明けの遁走、北山しぐれの悲哀、転がった酒瓶の愛の欠片。
 ーーながらえて生きて世に、絶えぬるを夕映えにあゆみゆくはや。


1月27日(月) リハビリ&泌尿器科。
曇天で時々の陽ざしも鈍く気が滅入る。
Fクリニック整形外科で右腰~右膝の痛みのリハビリ。つぎに同院泌尿器科で診察を受ける。このところ頻尿で苦しんでおり、尿検査と腹部超音波検査。薬に排尿障害治療のシロドシン錠4mg 21日分。経過観察ということになる(ちなみに前立腺肥大の手術は13年前に行った)。
帰路、雛祭りの幟のひるがえる街角をまがって、気晴らしに城址公園をぶらぶらしてくる。冬ざれの風景に心寂しくなる。菖蒲池にシラサギが餌をねらってじっと動かないでいる。

吉田秀雄、高橋英郎、井上太郎らのモーツァルト論。
従順な神童から漂白へ、魔笛、鎮魂曲、フリーメイソンの影。


1月26日(日) 晴れ。一服に花びら餅。
風が少しあるが、気温は12℃と明るく穏やかな一日。
午後の家人の茶道教室にて、家の周りを掃除、座敷周辺の整理。
新年にて賑わい、一服におめでたい花びら餅をいただく。
ーーわがうちに黒き奔馬のかすみゆきあたら冬にはかなしみきたる 


1月25日(土) 冬ごもり、甘酒。
雨後の光がやわらかく気温8~9、どこか早春の匂いがする。
右膝が痛く冬ごもりーー美味しい甘酒、大納言の羊羹。

我流「練功十八法」で、ゆっくりした動きで下肢に筋力を高め全身を整える。
山荘暮らしシニア女流のあくなき自慢話に反吐&苦笑。
何が「楽しいニッポン」、糞ったれ。まだ行けないクロアチア旅行への切符。
冬の夜の朧なわがノートの行方しれず、王宮に隠した死の匂いのする白刃よ。
夜話茶事の帰りに「あきまへんえ」、その唇に燃える血痕のゆめ。
「後事を託そう」なんて居丈高にいいやがる奴に贈るカサブランカの花。
片岡仁左衛門、坂東玉三郎ーー松竹創業130周年、初春特別公演。
改革なき京都私大の高齢無能学者年俸2.000万円の天晴。
予定のS総合病院定期診察(呼吸器内科&循環器内科)をボーとして忘れ、急ぎ再予約。
ーーさても武州住いの朦朧老骨のデータとプロフィール、あけがたの寝室に啼ける蝙蝠。


1月24日(金) いきいき体操。
晴れ。暖かく過ごしやすい陽気の一日。
近くの中央公民館でいきいき体操(主催:さいたま市保険福祉局)。昨年も愚妻と一緒に参加したもので、ゆるゆる体操はじめ、健康寿命についての講義。「身近な場所で、継続性のある運動」を啓発され、年おいていろいろ学ぶ。自分なりの身に沿った暮らし、”快適にアクティブ”にやってゆこうと思う。
ーー夕4時過ぎ、赤い夕陽にウォーキング60分、5.000歩。

ベートーヴェン「交響曲 第9番ニ短調作品25」。
苦悩、喜び、あこがれ、歓喜、理想ーー不滅の作品群の最後を飾る。


1月23日(木) 晴れ。小庭の侘介椿、繚乱。
朝食に白粥、めざし、納豆、梅干し。
小庵の侘介椿、落花繚乱なり。雨なく乾いた家のまわりに水を撒く。
そして小庭のちょっとしたレイアウトで気になっていた大きな石、小さな石の形や表情、その組み合わせに夢中になり泥だらけになる。

雪折れやよし野の夢のさめる時ーー蕪村
この冗漫と拡散、フェイクまぎれの令和の御世に雪は降らぬ。
花の吉野の幻野に雪が降りつもり、あらざりし暗黒の霊走りゆきぬか。
鈴木対貞美著『「死者の書」の謎ーー折口信夫とその時代』(作品社)再読。
ベートーヴェン「弦楽四重奏曲 第9番ハ長調作品59-3」。優美な情感を湛えるメヌエット。


1月22日(水) 晴れ。
早朝の目覚めよく、きょうも空が澄み、風なく暖かい。
原稿をまとめ、寒梅や山家集あり侘び住まい。
体調よく公園ウォーキング。70分、8.000歩。

ーー後悔がない一生、いや累々と悔恨の重なる生涯だったか。
まもなく85歳、一日一日を大切に生きる。
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲 第5番変ホ長調作品73」。
その激しい葛藤、深い人間精神の輝き、豪壮な曲想。


1月20日(月) 大寒。暖かく。
朝の雨がしっとりと静かに降っている。
大寒で、立春までの二週間が一年でもっとも寒い時期。
それが昼前には晴天となり、外気温13℃と暖かい。
公園ウォーク。1時間余、8.000歩。枯蔦、川風、寒椿。

好きな音楽をきき、たくさんの本を読み、過去を追想しての一日。
武州小城下小庵のうづみ火、夢の渡世のさびしくあれば。
わが死の朝に奏でらよ。モーツァルトの疾走するチェロ・ソナタ。


1月18日(土) 晴れ。
今日と明日、大学入学共通テスト。
受験生の皆さん、深呼吸し手のひらにゆっくりと「五」を書く」で「合格」よ。
晴れ。空は澄みわたり風なし。小庭の盆栽の梅が咲きはじめる。
ウォーキング90分、7.000歩。明るき冬の日にふと狂うかもしれず俯く。

モーツァルト「交響曲 第40番、41番」。
パブロ・カザルス指揮、マーボロ音楽祭管弦楽団。
モーツァルトの最後をかざる3つの交響曲。40番は死、41番は生。
ここにパブロ・カザルスが謳いあげる至高のモーツァルト。


1月17日(金) 阪神淡路大震災から30年。
追悼の祈り、犠牲になられた方々のご冥福を祈ります。
大震災から4カ月後、焼け跡の町を歩いた。
長田町の焼け跡にはまだ火がくすぶっていた。
そしてその年の6月、元赤坂の編集PR社を辞め自由の身になった。
モーレツからビューティフルへの失われたわが30年。
その”編集PR”はバブルに躍る虚業のワンマン組織下のフェイク産物であった。

晴れ。空は澄んでいるが、強風が吹き荒れる。
瞑想はエロスの分身なりや。風の中、ウォーキング60分。
モーツァルトの「交響曲第40版ト短調」、存在の深淵と生の愉しみあふれる世界。


1月16日(木) 曇りのち晴れ。
朝の寒気凛々。小庭の侘界椿が咲きほこっている。
底冷えで3℃、重たい鉛色の空、風が冷たい。
家人は迎えの車で運動センター(木曜日定例)に元気にでかける。
当方もそれではと、スポーツセンターで自由トレーニング90分。
腰部を守りムリせず身体をほぐし、筋力つけの慎重自主プログラム。

昼過ぎになり気温も上がり、明るく穏やかな武州風情。
冬のかすみの奥に消ゆわが夢の浮橋、災えてかなしき旅衣。
なぜか、しきりにチャイコフスキーがききたくなる。
「交響曲 第6番 ロ短調”悲愴”」。カラヤン指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団。


1月15日(水) 晴れ。風なく穏やかな日和。
松の明けで、さて、心をさらに引き締める?
この2、3日、冬の鉛色の重い空、冷たい風に逼塞していた。
窓辺の陽ざしを浴びたクンシランに水をいっぱいやる。
インフルエンザ猛威。当方は腰の痛みで、昨日Fクリニック整形外科の診察。タリージェ錠(神経障害性疼痛治療剤)5mgが2錠になる。
そのリハビリでは「身体が固まっていますね」といわれる。
来客あり、日常、シニア、食事、生きがい、健康、約1時間半の談笑。
いまうつくしく老い夢あらざるもーーわが武州円舞曲。こころのうちの狂詩曲。


1月13日(月) 二十歳の集い。
関東は雲なく晴れ。ウォーキングにでると寒風が吹きあれている。
「Galaxyスマホ」を手にして4、5年。十分にその使い方もわからず、ならば高齢者向きの「らくらくスマホ」に機種変更しようと思い、いやそれも面倒で放置。
ーーきょうはヨハン・シュトラウスのポルカ、ワルツ。
読書&転寝。ーー鬼ゆり、花転び、大川端の夜雨、珊瑚の神輿、佛葛。


1月11日(土) 晴天。
晴れ。朝の小庭の蹲の水が薄く氷っている。
北風が吹き荒れ、つきさすように冷たい。
「希望の春」、毎年、正月にはかざる。亡娘の小学校4年の書。しっかりした書の流れ。同書は佳作で、湯島天神に掲げられ家族で見にいったのだったか。

「すごい雪・・・」、某のXで京の雪模様。
夜、寒月煌々。ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲ニ短調作品61」。


1月10日(金) 晴れて、風あり冷え込む。
北国は大型寒波で各地大雪。雪かき、交通渋滞。
十日戎、京都も昼前からの雪が降り積もったとのこと。
夜、深々と冷える。諸事ご免給わるべく。
モーツァルト「交響曲40番 ト短調K五五〇」。
ブルーノ・ワルター指揮 コロンビア交響楽団。


1月9日(木) 晴れて暖なり。
晴れ。初釜にでかける家人を見送り、ウォーキング60分。
「新春之嘉瑞、愚老無為に馬齢重ね候」と蕪村書簡集。
松の時雨に夢打ち覚めて、ショパンのマズルカ、エチュード。


1月8日(水) 「運転免許証」の更新手続き。
晴れ。関東の空は碧く澄み、穏やかな1日。
岩槻警察署にて、「運転免許証」の更新手続き。
緊張したが、受付のデジタル化で迅速に行われてほっとする。
新たな「運転免許証」に気をひきしめ安全運転第一、3年後は返納のこと。

さて日常に、小庵に、しぐれ風雅の条、思わぬS氏からの年賀状。
ーーバッハの「管弦楽組曲 第2番、第3番」。
カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団


1月7日(火) 時雨、七草粥。
七草粥ならざる白粥、めざし、納豆、梅干し。
時雨が断続手に降り、寒気ひとしおだったが、昼過ぎに晴れあがる。
椎間狭窄症にて足腰をかばいウォーキング60分、約6.000。
遊水地にいつも6羽で群れていた鴨が5羽になっている。
1羽は災禍あり、年をこせなかったのだろう。南無。


1月6日(月) もの忘れ検診。
冷たい朝の時雨、家の近くの久伊豆神社に詣でる。
新年の無事と平安を祈願、戦後80年。世は仕事始め。

Mハートクリニックでもの忘れ検診。
もの忘れスクリーニングではサクラ、ネコ、デンシャの記憶。また図形を書かされ、「明らかな認知機能低下」なしの診断となる。昨年末に財布、車のキー紛失、度々のもの忘れなど、身心のゆらぎ。
夜に冷たい雨。バッハのカンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」。


1月5日(日) 晴れて風もなし。
晴れ。朝は寒かったが気温もあがる。
年末からの「戦後短編小説」(講談社文芸文庫)12冊読みあげる。
夜、NHK大河ドラマ「べらぼう」見る。


1月4日(土) 晴天。第7、9番。
空が澄み、関東は温かい陽ざしにつつまれる。
三が日が終わり、Uターンラッシュが始まる。
ーー雄大な序奏、暗く抒情的な楽章。ベートーベン「交響曲第7番、第9番」。


1月3日(金) 晴れ。
寒い朝。小庭の侘介椿が咲き始めている。
詠唱ーーまたうたはんと。
・この朝も生きてあるなり髯剃りぬこころの奥のよしの山かな
・わがうちに和歌集紐解きカフェオレを飲みて雪降れ人死にたまふ
・美しき故郷(くに)に逐はれて冬の夜は男といへどしづかにねむれ
・蒼白のクロニクルなれこの遊星(ほし)にやがてさみしく消へゆくからに
・ゆきふればせつなきゆゑにうたびとをあやめひそかなわがレクイエム

ブルックナー「交響曲第8番 ハ短調」。
サー・ゲオルグ・ショルティ指揮、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


1月2日(木) 晴れ。初夢。
家でゆっくり。昼にきな粉餅2コ。TVに箱根駅伝、ラグビー大学決戦。
元日の年賀状嬉しく拝見。だが、いよいよ賀状しまいか。
子どもの世話にならずに二人で何とか暮らしているが、終活、断捨離なりや。
ーーバッハの「管弦楽組曲 第1番、第2番」。



1月1日元旦
あけましておめでとうございます。
どうぞ、本年もよろしくおねがいいたします。

ーーことしも埒もないたわわな極私的日乗をつづる。
家族は元気で、倅一家と新年を迎えることができた。
お屠蘇 お節料理、お雑煮2コ。団らん。
茶室のお軸に亡娘の「希望の春」。
昭和100年、ゆえなくも武州古城下に侘び住い45年。
 *写真は岩槻城ーー1457年(長録元年)築城, 1590年(天正18年)落城。

残余の人生を楽しもうと思う
日々洒落高邁なる「文学的老残ノート」の顛末。
腹中文雅の趣きもはてゆくに、さてさて埒の明かぬことよ。
・小庵に雪降るらむや朝寝かな           
   
ベートーヴェン「ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品61」。
ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
                        



日録サイト:2002年7月~2025年1月
WEBサイト「花月流伝」は2002年7月より開信。
掌篇、短歌、高橋和巳研究、書評、エッセイ、著書目録など
接続・更新の問題により、多くのサイトが消失され、鋭意検討・補完中。



▲TOP▲