日録●太田代志朗●2024年 

12月31日(火) 大晦日。
晴れ。2024年をつつがなく終わる。
年越し蕎麦を食べ、どうぞよい年をと祷る。
モーツァルト「交響曲第40番ト短調」「第41番ハ短調」。
パブロ・カザルス指揮、マールボロ音楽祭管弦楽団。


12月30日(月) 晴れ。昼前の城址公園ウォーキング50分。
風の中に白いシューズ、黒髪、自転車、バスケットボール。
ふと亡娘の「お父さま、鉄棒の逆上がりができたのよ」という幼い聲がする。
お節料理はいただきもので、恒例の三浦大根1本、鱠にすべく切りあげる。
赤切れした指先にクリームを塗り込み、転寝&読書。
ーーレコードにモーツァルト「ディヴェルティメント第17番」。
温かく豊かな情感のリズム。


12月29日(土) 「第九」で。
晴天。小家の周り、窓や廊下の拭き掃除、洗車など終える。
歳末、武州の外れの住まいに冬陽が弾んでいる。
この1年、一塵の貯えなくも、無事息災に過ごし感謝。
そして「第九」、苦悩、喜び、絶唱、あこがれ、理想。
レコードは古くロリン・マゼール指揮、クリーヴランド管弦楽団&合唱団。


12月28日(土) 楽劇「ニーベルングの指輪」。
朝食終え2階の書室に入り、ワーグナー名演集。
ワルキューレの騎行、森のささやき、ワルハラ城への神々の入場。
夜明けとジークフリートのラインの旅、ジークフリートの葬送行進曲。
レオポルド・ストコフスキー指揮ロンドン交響楽団。
ーー年末寒波で北国は大雪。
寒夜、武州4℃、夕食にとびきりのワイン。


12月27日(金) 読書&転寝。
晴れ。朝食に白粥、めざし、梅干し。血圧139-48-47。
昼前のウォーキング60分。時雨あり、すぐまた晴れる。
バッハ管弦楽組曲。読書&転寝。
ーー埋火もわが名をかくすよすがかな(蕪村)


12月26 日(木) 晴れ。
特段の人にあうこともなく出かけないのだが、所用で昼過ぎに帰宅。
チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第1番」(ウィーンフィルハーモニー管弦楽団)
疲れ切って転寝し、日が暮れ、風呂43℃に入り気分が落ち着く。


12月25日(水) レコードで音楽。
スピーカー(FOSTEX)にアナログレコードプレーヤー(AUDIOーTECNICA)を設置。
その接続にちょっと手間取ったが、ようやくつなぐことができる。
書棚に並びたてレコード群から何気なくとりだすベートーベン。
至福のひとときーー「七重奏曲変ホ長調」、「ピアノ三重奏曲」(新ウィーン八重奏団)

昼下がりの公園ウォーキング1時間5.000歩。
「滅入るような気持ち」をヘンリ・ライクロフトの私記に習い立て直す。
レンガの舗道に枯葉が朽ちて 港町に雪が降るよ
アヴェ・マリア、ああ、マリア・・・。
レコードに金子由香利の銀巴里ライブ「いつ帰ってくるの」。


12月24日(火) クリスマスイヴ。 
晴れ。朝の冷え込みが厳しく、寒風が身がしむ。
手があかぎれして痛いが、つまやかにパソコンをたたく。
あまり使わないスマホGalxyが、「すでに修理受け受け終了」の報。
お三時に叶匠寿庵の銘菓”あも”で一服。

聖夜に茫漠。夕食終え老夫婦が過ごす静かなひととき。
2025年は「戦後80年&昭和100年」、終戦から経済成長、戦後平和ニッポンの行方。
静岡生、そして大阪、京都、東京、埼玉ーーやさぐれの84年を思う。


12月22日(日) 朝の協奏曲。
強風の吹きまくる日曜日。
早々に目覚めバッハ協奏曲愛のコンチェルト。
日本ペンクラブの電子文藝館が新たに整備されている。
当方の小説・評論、「公方繚乱」「高橋和巳序説」が掲出。


12月21日(土) 冬至。
晴天、冬至には栄養価の高いものを食べて寒い冬を乗り切る。
あと10日。2024年=令和6年が終わる。
是非の沙汰なく穏やかなわが歳末。手紙礼状1本、ワードでまとめあげる。
署名サインに久しく使わぬ華麗繊細のウォーターマンの万年筆。
この万年筆はちょっと手に重く、40年前、パリ遊学の折り購ったのだった。
ーー老いが身の夜寒に落ちて旅寝かな


12月20日(金) 浦和、鰻料理。
風なく晴れ、空が澄んでいる。
さて年賀状。2025年、乙巳。
余人に代えがたい多くの友人、知己がいなくなり淋しいかぎり。
午後、浦和で企画出版の打ち合わせ。鰻屋にて美味のかぎり。
町には高層タワービルが建ちならび賑わっている。さいたま文化でつきあった有志、また馴染みの飲み屋もレストランも遠い日のことになった。思えば南浦和に新世帯を持ち、長男「遥」は当用漢字になく受け付けられないとこの町の市民課戸籍係は言い放ったのだったか。
ーー老躯はよたり、よろめき、時に踏ん張り、歳末の町を闊歩逍遥なり。


12月18日(水) 晴れて、風あり。
冬型の気圧配置で日に日に寒さが厳しくなる。
ちょっと生活リズムが乱れ、寝不足の一日。
沖縄黒糖の飴を舐めながら書室整理。日が暮れ、寒気慄然。
京都の北陸新幹線延伸・小浜ルートは「千年の愚行」か。


12月15日(日) 晴天。満月。
冬日が明るく穏やかで日中は12℃、空気が澄んでいる。
茶室は賑わい、その稽古の準備の手伝いで朝からあれこれ。
床の間のお軸に「風月夢幻」。横浜・重慶飯店の中華菓子、大宰府天満宮の学業御守。
ーー夜、満月。年の瀬の静かな住宅地、ひっそり照らす月の光。


12月14日(土) 晴天、寒風。
晴れ。寒風が朝から吹きあれている。
混乱の物置小屋など整理してから、ウォーキング50分。
雑木林が烈風のもと轟々と鳴っている。
遊水地に鴨、白鷺、そして鴉の群れが騒いでいる。
さて「夢の渡世に”さらばとよ”」、多様な言の葉に迷妄・瞑目、松風の音に語らばいかでと、なればその付句に「言い送り」、「舞遊び」、「いとま乞い」は如何なりや。
ーー日の入りは16:28、日が暮れ寒夜に月煌々。


12月13日(金) いきいき百歳体操。
日が曇り、厳しい寒さに身がぶるっとふるえる。
今期最強の寒波襲来、年末、いよいよ冬の到来。

いきいき体操教室(さいたま健康福祉局)は、家の近くの公民館で行われ(9:30~11:30)、きょうが最後になった。毎週金曜日で6週通った健康づくり、楓の葉が色づき始めるころから通い始めた。
百歳体操で身体が軽く、血流がよくなり、気持ちも軽くなる。高齢者の健康や地域のにぎわいづくり。スタッフの方々の指導に襟を糺した。本日、その「終了証書」(さいたま市長)を丁重に賜る。
ーー寒気せまり午後茫漠。炬燵、読書&転寝。日没16:25。


12月10日(火) 大宮氷川神社、十日市(酉の市)。
明るく晴れた日がつづく。
盆栽村の清香園を少しのぞいてから、氷川神社に詣でる。
十日市、酉の市で神社境内や参道周辺は、縁起物の熊手や露店で賑わっている。
参道をつきぬけ大宮図書館に寄り、そこからぶらりと大宮駅前の銀座ライオン。
ビールが美味しく、同行の校友仲間のT君と歓談。
帰路、冴えた月がでている。歩数計1万1000歩なり。


12月9日(月) 今季最大の冷え込み。
朝の冷え込みが厳しく、身が引きままる。
風なく空が澄み切って、眩しい陽が降りそそぐ。
ゆっくり快調に城址公園ウォーク60分(9:30~10:30)
銀杏の落葉が黄金の絨毯となってひろがっている。
古い石碑に「長録元年(1457)、白鶴城と名ずけ太田道灌築城なり」。
長録元年は自天皇(後南朝最期の皇胤)18歳、奥吉野で弑された年なりてよ。


12月8日(日) 晴れ、13℃。
朝食に夕べの鍋のスープでおじやをつくる。
散歩に小公園から遊水地、田圃、枯れ木、雑木林。
一画に幹線に通じる新たな道路がつくられている。
血圧145-77-75。書架の間に炬燵、読書&転寝。

『灰とダイヤモンド』『地下水道』『大理石の男』など、映画監督アンジェイ・ワイダ特集、公開中。しきりに見たいと思う。


12月7日(土) 大雪。
二十四節気「大雪」(だいせつ) 、いよいよ本格的な冬の到来。
朝から青空がひろがり、川辺の住宅地に穏やかな光いっぱい。
世事にうとい次第ながら、あれこれ動きまわった週末だった。
それがちょっとしたことで気おくれし、老体にてヘマばかりやっている。
ーー「戦後短編小説」講談社文芸文庫10巻を読みついでいる。


12月4日(水) 賀状仕舞い。
・初雪や夢の渡世にさらばとよ
さて賀状仕舞いで昨年は半分整理。ぷっつりご免で洒落にもならぬ。
多くの友人が黄泉にゆき、ちらであれかしさくら花、与太を話すこともなくなり寂しいかぎりだ。寝よぞ寝よ夢のゆえの年をまた(鬼貫)
現実の交友関係も少なく、狂詩狂歌も年々すたれ、さあれ浮世烏の小夜嵐。

小中陽太郎さん(90歳)逝去。
日本ペンクラブの活動、演劇や映画会や講演、また梅原猛先生の最終講義「人類哲学序説」も共に受講し、常に軽妙にして学識豊かな御説賜る。衷心よりご冥福を祈り上げます。


12月3日(火) 椎間狭窄症。
朝から青空が広がり、穏やかな一日。
こんな日はもう何もしたくなくなって、ぼんやり過ごす。
幾時代かがありまして、ゆあーん、ゆよゆあーん、ゆやゆおん。

2週間前MRIの結果、H院整形外科で「椎間狭窄症」と診断された。
ふつうに歩くには問題ないが、姿勢をかえ俯くと右腰部から膝にかけ激痛あり。よって内服剤、リハビリに通院。また背筋を反り返すことを避け随意腰を内にむけた体操実施中。
日課の公園ウォーキング約60分、5、6000歩が負担にならなければいいのだが。


12月2日(月) 晴れ。
早朝に目覚め、デスクに向かう。
きょうも晴れ、陽ざしいっぱいで気分上々。
布団を干し、月下美人、君子蘭を家の中に取り込む。
新規開院のMクリニックで過日うけた市民検診の検査結果はあらましいいよう。M先生は代々京都に住まわれ、岩槻在住10年余ということで、「ご縁ですね」と気軽にいってくださる。


12月1日(日)  師走。
今年も大詰めになった。
高気圧におおわれ晴天、明るい陽ざしにあと30日。
昨年の編纂の仕事を終えてからというもの、緊張感なく過ごした。

老残をいいことに、気ままにやっている。
日々ウォーキング、月1のゴルフも快走。
またいきいき100歳体操や、麻雀も頭脳スポーツ全開で面白い。
茶道に精進の家人は新しく巳年のお軸に「春入千林処々鶯」。
この武州古城下の棲み処で、有難くもつつがなくやっている。
ーー愚老無為に馬齢重ね、年末うづくまりくらし居候(蕪村書簡安永七年付)
 

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