黒い悲しみのロマンセ

こんな夜更けに誰を探して お前は独りで駆けてゆく
水平線の向こうに見えている めくるめく輝きを
あるいは私自身を
何もかもが吹き荒れる風に 波にのまれてしまわぬうちに
夜風よ波よ すすり泣き お前の海を待っている 
ーー水谷孝『黒い悲しみのロマンセ』


■4月18日、亡娘・明日香の命日。
花時雨 黄泉比良坂駆けゆきぬ若髪なびく夕べの頬よ
また今日も暮れて祈りの漆黒の夢にまぎれて君を探しぬ
わが明日香その日に飾ることあらば持ちてゆくはや花簪を
お父さま、かがよふ天雲(くも)に歌ひてよおもひ恋ふらむ人ぞ言ひつる
さすらへば春の日暮れとなりにけり光と影の夢の羞しも

■小さな城下の町に暮れゆく。
盃の重くせつなき夕べなれ城下(まち)駆けゆきぬ黒き軍馬(うま)かな
山吹を摘みて微笑
(わら)へるもののふに哀傷(いた)みの風の静かに吹きぬ

■4月20日、"愛国無罪"中国の反日デモーー官製暴動と。

愛犬と遊ぶひととき風立ちて若葉萌へたる今朝の城址は
炎へ上がる紅蓮の京洛(まち)に流れたるかなしき歌をうたひ発ちゆく
敷島の国愛したる朝(あした)なれ過ぎゆく晩春(はる)をしずかに抱きて

■謎のロックバンド、水谷孝率いる裸のラリーズよ。
 その『黒い悲しみのロマンセ』、わが怒涛のムーブメント。

黒い悲しみのロマンセ吹き荒れる風の彼方にすすりなく君
めくるめく夜風よ波よ頬燃へて時の流れにしばし佇み
漆黒の闇をくぐりてこととひぬ誰を追ひかけ夜更けに駆ける
お前は海を待ってゐる 流離ひてまた歌うかな京都(きょう)の怒涛に
行方なき朝(あした)にあらば長き旅いでて泪を拭きてゆきしか

■4月22日、八重桜や花水木が風に揺れ、若葉の緑が美しい。
花散りて愁ひの風の夕べなるいまひとたびの詩歌(うた)にあはざる
ゆきゆきてあはれかなしきわがゆめを湖(うみ)に沈めぬ淡く目を閉じ

■4月25日、身体だるく喉痛し。風邪気味の1日。JR福知山線脱線事故、死者50名。
くれなゐいの雨降るこころいなせめて赦せ祈りの春の夕暮れ
もはや行くことなきか京洛(まち)なればまた昏れおちてわれはかくある
よしやまたかのロマンセの永遠(とこしへ)に君還りくる黒い悲しみ


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