来年は没後35年、生誕75年

 花が散り、爽やかに若葉そよぐ季節。
 巡りくる青嵐に「陰々滅々」の儀式のメロディが流れます。
 和巳忌は5月3日ーー病と闘う壮絶な<死>でした。
 褐色と怒涛のめくるめく60年代を疾走し、その燎原の火の燻りの中で絶え果てていったのです。

 来年は没後35年、生誕75年。
 あのいつも柔和だった微笑が甦ります。

 仄聞するに本年没後35年、生誕80年の三島由紀夫については、同志によりその映画化や企画展が予定され具体的に進んでいるようです。
 しかし、わが高橋和巳の風景には何もなし。
 もっとも、『高橋和巳の文学とその世界』(阿部出版、1991)で、私は私なりにそのレクイエムの総括はしているつもりなのですが....。

 反日暴動にうごめく治乱興亡の東アジア情勢ですが、若葉に薫風が静かに流れてゆきます。
 こんな時こそ、〔中国文学研究家・高橋和巳〕に拠って立つべきところのものを聞きたいと思うことしきりですが、世事浮雲、何ぞ問うに足らんや。

 高橋さん。
 またきょうも、”孤立の憂愁”に佇んでいます。

 【2005年4月23日】


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