寒月の街(2004/12・24)

長禄元年(1457)、太田資清が岩槻城(別名白鶴城)を築く。
天正18年(1590)、豊臣秀吉軍に攻められて落城。

その歴史文化に思い徹す好士なく、城址も終に顧られることなく、
100万人・政令指定都市・さいたま市に2005月4合併。

縁あって城址・本丸4丁目に在住25年ーー今夜も、月、煌々と照る。


冬ざれの野面をくれば鴨啼きて元荒川の流れかなしも

極月の武州白鶴城址とよ日昏れて月の淡き影かな

冬の夜ふけてさみしく静かなる吉野の葛湯飲みて候

人形の町よ師走の風流れわが亭に咲く侘介椿

ひむがしの朝日に向かひ愛犬と歌うたひつつ歩む小道を

落城のしぐれあはれに横ぎりゆく暮れていのりの町に鐘鳴る

なにゆえに寂しき町に相よりて老いざらめやも雪降るらむか

平城(ひらしろ)の土塁に遊ぶ子らのゐてなにごともなき年の暮れかな

冬ざれの野に吹く風に伝へたる城落ちゆきてあはれ里はも

そのかみに栄えし城下町(まち)も合併でいかにありける風の流るる

寒月の大路小路に小雪舞ひゆくべくもなき夢の跡かや

昏れ落ちて酒断ちし身のさみしくも本丸跡のわが庵かな

年のはに心しづかにゐたりけり梅のにほひのやさしきものを

祈りゆくことなく堕ちてせつなきをふぶけ問ひにし蒼きイブなる

煌々と照りてこととひ瞑(しづ)かなれ ああ渺茫の城下(まち)の寒月


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