くれゆく枯野(12月12日)

静かに過ぎ行く日々。
かくてまた過ぎゆけりせつなかりしを  ああ渺茫のくれゆく枯野
ものがたりゆくべく夢もなき夜に枯野に討ちはてむあやかに
日本を愛す椿に何告げむしぐれて愛すべきもなき夜に

暁闇にめざめ老ひたる夢を負ふよるべくもなき数寄のあはれよ

糖尿病にて徹底した食事療法。
質素なる夕餉にあれば一膳の飯に思ひをこめてゐたるよ
かくてわれ二キロ減量酒も断ちしずかに今日も生きて候

暗澹、パソコンが機能せず。
わが蒼茫のウエブ・ラビリエンスよ しぐれ怒涛の夢に裂けしや

書物読めず、老眼鏡誂える。左目がかすむ。
左目がかすみゆらげるかげろうの色にじみちゆく時雨の夕べ
寒月にかへらざるべし洛北の風に嘯き欺きてゐる
何ならむよどみかすみてうごめける心もとなきわれの冬ざれ

あれから34年ーー憂国忌。
こころざし秘めたるあはれ霜月のいまひとたびの蒼き太刀なれ
床紅葉(ゆかもみじ)見し日に別れきてわがくるめきの舞踏会の手帖
わが道の非なるかしぐれこころざし愁いのかぜにうそびきてゐる

実朝を苦しく追う。
その花の行方を追ひて比良坂の岩のかなたに血しぶく夜は
鶴が岡あふぎてみれば降る雪に八大竜王さやけくうたふ


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