雷鳥といえば、山登りをしなくても日本人ならば大抵は知っている有名な鳥。岳人ならば憧れの対象でしょう。
ライチョウは日本では本州・中部山岳地帯の北、中央、南アルプスと頚城山塊に棲んでいます。石川県白山にも昔は棲んでいたそうですが、既に絶滅したそうです。昔、富士山にも移植する計画があり、何羽か放鳥されたそうですが、ここには居着かず、絶滅したそうです。北海道には分布しておらず、代りに近縁種のエゾライチョウがいます。
ライチョウ(学名:Lagopus mutus)は世界的には広く分布しており、シベリア、アラスカ、カネディアンロッキー、カナダ北部、グリーンランド、アイスランド、スコットランド、ノルウェイ、スウェーデン・フィンランド北部(ラップランド)ピレネー(フランス・スペイン国境)、ヨーロッパアルプス(フランス・スイス・イタリア・オーストリア)と、北極圏ほぼ全域と標高の高い地域に棲んでいます。
筆者は南アルプスと北アルプス、頚城山地で良くライチョウに会いました。
また、、1990年ごろ、ヨーロッパ在住時にスコットランドとスイスアルプスで会いました。さらに、近縁のヌマライチョウにラップランドで会いました。
日本で会うライチョウは普通、人を恐れませんが、スイスやラップランドのライチョウは日本のキジのように必死で逃げていってしまいました。
一昨日の新聞に「海外のライチョウは人を恐れて逃げる。海外では狩猟の対象になっているからだ。それに対し、日本のライチョウは人を恐れない。日本人は古来から里山の動物は狩猟の対象にしたが、より奥の高山は神聖化し、ライチョウに対しても畏敬の念を持っていて狩猟の対象にはしなかったからだ。」との意味の信州大学の中村さんの記事が載っていました。そういった意味で人を恐れない日本のライチョウは非常に貴重な存在と言えるでしょう。(2000年8月26日記)