−過去ハンティング @ A B Cはぐきちゃんにメール


 皆さん、こんにちは。あたしはぐき。IQが130あるすごく賢い馬よ。人間ってホントアタマの悪い生き物よね。あたしがドレイにしてあげた方がずっと幸せになるんじゃないかしら。ククク。今は先生のところでペットのフリなんかしてるけど、いずれ頃合を見計らってあいつもパルスショックで洗脳しちゃおうと思ってるの。ここは人間の皆さんが普段作ってるくだらないものの観察記録デス。


2001.8.16

千の仮面を持つはぐき

 「今日も暑いなあ。そういえばはぐきちゃんはどうしてるだろう。しばらくエサをやっていないぞ……(風呂場を覗く)はぐきちゃん? 生きてる?」
 「(異常に歪んだ顔を作っている)なーに、先生」
 「ギャッ ! どうしたんだいその顔は!」
 「これは表情訓練よ先生。女優なんだから当たり前じゃない」
 「ハ、女優? ひもじくてどうかしちゃったのかい。ご飯はちゃんと食べてる?」
 「『ちゃんと食べてる?』じゃないわよ! ま、先生なんか別にアテにしてないけどね。大丈夫。ちゃんと近所の無人野菜販売所を襲ってるから」
 「うわあ。文字通りの馬賊だねはぐきちゃん……ま、元気で何よりだ。ところで、さっきから何やってるんだい? ものすごいしかめっ面だよ」
 「先生、あたしはもうはぐきじゃないの。今日から千の仮面を持つメス馬よ!」
 「何言ってるんだいはぐきちゃん。脳ミソを寄生虫に食われたのかい?」
 「紫のニンジンの人、あたし頑張るわ!」
 「……ハハア。読めたぞ、『ガラスの仮面』にでもかぶれたんだね」
 「ハ、違うわよ! あたしが読んだのはコレよ!」











内容はちゃんとした演劇理論書。

 「実験演劇っていうと、山海塾の親戚かい?」
 「ぷっ。これだから人間は困っちゃうわ。アングラって言えば山海塾だと思ってんのね。そんなことじゃ紅天女は演じられなくてよ、亜弓さん」
 「はぐきちゃん、ボケが分かりづらいよ……」
 「この本を読んであたしは演劇に目覚めたの! 見てこの芝居を!」















イェジュイ・グロトフスキ演出「アクロポリス」より

 「……面白いツラがいっぱい並んでるのは気のせいかい?」
 「もう、本当にバカねえこの二本足は! 『アクロポリス』は『皆殺しの収容所』という意味で、彼らは仮面をかぶった囚人の演技をしているのよ! 素晴らしい演技力だわ!」
 「へ、へえ……」









同上。「滅びゆく部族の長ヤコブ」を演じる俳優

 「この人はゲロを吐いてるのかい?」
 竪琴を弾いてるのよ。見れば分かるじゃない!」
 「そうなんだ……先生、根本敬のマンガのキャラかと思ったよ。これだけ変……いや、大変な演技をするんだから、きっと普段の訓練もすごいんだろうね……」
 「ようやくまともな反応をしたわね先生。もちろん訓練もすごいわよ! ココ見て!」
 「……コレはコントのリハーサルか何か?」
 「いい加減にしないと髪の毛むしるわよ!」