今回の話題 | 更新しなかった理由と生霊と最後の力 |
タイトル | ヘビーですよ(01/06/26) |
みなさまお久しぶり。克也子です。夏の異臭のあふれ始めたこの頃、いかがお過ごしでしょうか。 アタクシ、随分ページを更新してなかったのねえ……。そう、でも元々最近更新頻度が落ちていたので、前回の更新からしばらく経った頃、下のような内容で更新しようと、書きかけていたのです。 あん、克也子ったらモ・テ・モ・テ! 週末はおにーさん(彼氏)か浮気相手のKさんと過ごしたりしてたらとてもページまで手が回らないわ〜☆ と、要約すると(←し過ぎ)こんな感じで。 そんなのんきなことを考えてパヤパヤと過ごしていたある日、アタクシ金縛りにあったのです。 金縛りなんて随分久しぶりだったわ。眠るアタクシの足元の横っちょで、頭の大きな、土偶のような体型の奇形の子供が走っているの。ちっとも進んでいないから、すごいスピードで足踏みしてると言ったらいいのかしら。そうしたら、母が部屋に入ってきたのよ。 「かっちゃん…アカツよ、アカツ、忘れないでね…」 そう言って母は去って行ったの。 金縛りが解けて、汗びっしょりだったわ。うまく言えないんだけど、とても不吉な感じの夢だったの。アカツという言葉に心当たりはなかったし、意味は全くわからなかったんだけど。 そして翌日、会社に行って隣の席の女・N子(26)に不吉な夢を見た話をして、「Nさん(アタシ)の家では何かある時は生霊を飛ばすんですね、さすがですね」なんて言われて二人で笑ってたの。 そして、その夜、友達と食事をしていた時に姉からメールが入ったの。「母が癌になった」と。 精密検査の結果が出ないと、まだなんとも言えないけど、今のところ、5年生存率が50%くらいと言われています。このショックを言葉で表すことはできないし、「親が死ぬかも」という心理は正直体験した人でないとどんなに筆を尽くしても伝わらないと思うのでよしますわね。あえて言うなら、28年生きて、一番辛かったこと、と言うだけかしら。 アタクシ子供の時以来ほとんど泣いたことがないのですけど、今回ばかりは人にそのことを話して、優しい言葉をかけられたら涙ぐんでました。古いと言われるとは思うんだけど、アタシの父は「男が泣いていいのは親が死んだ時と妻が死んだ時だけ」というしつけをアタシにしたの。教育の成果か、元々の気質か、アタクシそれをほぼ守れてたんだけど、父がそう言ったわけがわかるわ。これより辛いことってそうそうないはずよ。 今はアタシも大分気が落ち着いたの。「医療費に困るような家ではないし、医者に行ってるなら、実際アタシができることはない」ということで強引に割り切ったのよ。母はアタシが帰ると言えば止めるし……。もちろん、手術とか介護とかそんな時には帰るつもりだけど、現状では何もできることがないもの。それにアタシが帰るとなるとおおごとになって、「そんなに悪いのか」と母が思ってしまうというのもあるのよ。 そして、アタクシ、おにーさん(彼氏)との別れを考えました。この話をした時の反応があまりにも悪かったので。 いずれ言うことになるから、と思ってそのことを携帯電話でメールしたのですけど、そうしたらいきなり「民間療法は?」と言ってきたのね。それもどうかと思うけど。で、アタクシ、別に民間療法をバカにするわけではないですけど、思うところもあって、こういう命のかかった状態で民間療法をどうこうするのは嫌なの。それで、そういうのは勧めないつもりだということを伝えたのね。元は民間療法でも本当にガンに効果があるのなら、医療に組み込まれているだろう、と。そうしたら、 「ガンに効く薬だってないじゃん」 と返ってきたの。正直どうかと思ったわ。人の親が難病で死ぬかもって言ってる時に、なんでその病気には効く薬がないなんてわざわざ言えるのかしら? それにそんなことわざわざ言うまでもなく、誰だって知ってるわ。あまりにも無神経だとは思ったけど、「当事者じゃないからピンと来ないかもね、ごめん、この話やめよう」と話を切ったの。人の親が〜のくだりの文面もつけたわ。 そして、その後「ぎゅう(ハグのことね)して欲しいな」と、話をそらす意味もこめて書いたの。そうしたら「ぎゅうしたらまぎれるの?」と返ってきたのね。 アタシの神経がたってたのはあるわ。でもこれでかなりカチンときたのよ。弱ってて抱きしめて欲しいって言ってる恋人に、「それでまぎれるか?」って質問をするのも無意味だし、なんていうかこう、なんていうかこう、この腹立ちがわかるかしら!? 余計なこと聞いてる場合じゃないだろ! ってアタシの怒りが。実際に抱かれたいわけではなかったし、「まぎれる」って言葉の汚らしさが嫌だったのもあったんだけど。 でもまあ、気はたってたけどアタシは冷静だったのよ。やっぱり当人でないとこういうのってわかんないんだなあ、と思ったし。おにーさんも「悪かったよ」とは言ったし。 それが、次の日、その次の日、とメールしても返事が来なかったの。1日に数十通はメールしてきた人がよ! そして、アタシが「返事来ないけどどうかしたの?」と聞いたら、予想通り「別に」という返事。こんなに普段と違う行動とっといて、「別に」じゃねーだろ! と更にブチ切れるアタクシよ。 今は普通にやりとりが続いてるし、何事もなかったように「つきあっている」状態なんだけど、アタクシ、なんとなくおにーさんの行動の理由がわかるのよ。 おにーさんってちょっと異常なほど負けず嫌いなの。民間療法を信じてるわけじゃないと思うけど、アタクシに言い負けたのが多分相当悔しかったのよ。でもアタクシには、客観的に見て「親が死にそうなかわいそうな子」っていう最強の切り札があったからそれ以上言い募れなかったんだと思うのね。普段は言い争うようなことがあったらアタシがさりげなく引いたりかわしたりしてたんだけど、今回はアタシの札が強すぎて負けようがなかったのよ。 と、そこまでは推測がついたんだけど、そこからがアタシの怒りの真骨頂よ。別に負けず嫌いだろうがなんだろうがかまわないけど、折れることが必要な場合だってあるでしょ! 別に優しい言葉をかけろとか、難しいことを要求してるわけじゃないわ。どうして普段通りにするくらいのことができないのよ! 「考えたら『悪かったね』は謝罪の言葉じゃないわ!」とか、「何人かにこのこと話したけど、『大丈夫?』とか心配してくれなかったのっておにーさんだけだわ!」とか、考え出したらもうキリがなくなっちゃってダメね。 失言はアタシもするし、鈍いのだってまあいいわ。そんなのお互い様よ。「ああ、こんな状況でも、アタシの方がしっかりしてるのね、頼りない人ね」と思っただけよ。でもね……「ごめん」が言えない、折れられない譲れないっていうのは致命的な欠点だと思うの。負けず嫌いだって普段は受け止められるだけの余裕があるの。でも、こんな状況でもアタシが気を使わなきゃいけないなんてね……。 楽しい時に楽しいことをしてるだけのつきあいならいいけど、これから先の人生、一緒に歩いていくならこの人じゃ不安だなあ……と思ったの。バカ、意固地、こんな時くらいねえ……。人としてすっかり信用できなくなってしまったわ。今まだつきあってるのは情けと惰性よ。 母のことで気を取られて投げやりな気分もあるんだけど、もう別に別れたってどうでもいいわ。 さて、これがだいたいの近況でございます。更新しなかった間、ご心配くださった方々、ありがとうございました。アタクシ、ホームページをやめるつもりはありませんので、万が一のことがない限り、しばらく更新が止まることはあっても大丈夫です。また、アタクシ母から母以上の才能を引き継いでいますので、ご愛読くださっている方のところへはもれなく死に際に生霊として訪ねて参る所存です。何十年先になるかわかりませんが、菫の香りと共にアナタの元に伺います。その時は線香の1本も手向けてくださいませ。 ところで全然関係ない話なのですが、数ヶ月前、夜中に目が覚めたのです。そして、「ああ、私が死んでも人類はずーーっと進歩していくんだなあ」という思いにふと囚われて、不愉快になったのですわ。なんというか、自分がどうしても行けないのに楽しいパーティーがあると思うとちょっと嫌でしょう? そんな感じ。 いっそ、アタシが死ぬのと同時に、人類なんて滅ぼしてしまおうかしら。 |