東京国際女子マラソンを斬る!
2000東京国際女子マラソン(11/19・東京国立競技場発着) 世界最高:テグラ・ロルーペ 2’20”43(99ベルリン) 日本最高:高橋尚子様 2’21”47(98アジア大会) 大会記録:山口衛里 2’22”12(99年) |
本紙 | BIB | 選手名 | 所属 | 自己ベスト | 直近の成績 | 寸評 | ||
○ | 1 | ジョイス・チェプチュンバ | ケニア | 2’23”22 | 00・9・24シドニー五輪 B 2’24”45 |
00・4・16ロンドン B 2’24”56 |
99・10・24シカゴ @ 2’25”59 |
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2 | デラルツ・ツル | エチオピア | 2’26”09 | 00・4・16ロンドン E 2’26”09 |
99・12・13ホノルル B 2’40”55 |
97・4・21ボストン D 2’30”28 |
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△ | 3 | マルゴルザタ・ソバンスカ | ポーランド | 2’27”30 | 00・10・1ケルン @ 2’28”42 |
00・3・12名古屋 途中棄権 |
99・12・12カンクン @ 2’43”34 |
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4 | アリナ・イワノワ | ロシア | 2’27”42 | 00・9・10ベルリン G 2’31”26 |
00・8・27北海道 途中棄権 |
00・5・21プラハ @ 2’27”42 |
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5 | マルタ・テノリオ | エクアドル | 2’27”58 | 00・9・24シドニー五輪 25 2’33”54 |
00・4・17ボストン H 2’31”49 |
99・4・17ボストン D 2’27”58 |
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6 | オルネッラ・フェラーラ | イタリア | 2’28”01 | 00・10・15カルピ A 2’28”58 |
00・9・24シドニー五輪 Q 2’31”32 |
00・4・17ボストン F 2’30”20 |
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7 | ナデジダ・ワイジェンベルグ | オランダ | 2’28”45 | 00・9・24シドニー五輪 22 2’32”29 |
00・4・29ナッシュビル A 2’37”10 |
00・4・16ロンドン 途中棄権 |
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8 | クリスティナ・ポマク | ルーマニア | 2’30”56 | 00・4・22ベルグラード @ 2’36”54 |
99・4・4パリ C 2’30”56 |
99・3・14名古屋 途中棄権 |
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◎ | 31 | 土佐礼子 | 三井海上 | 2’24”36 | 00・3・12名古屋 A 2’24”36 |
98・2・22愛媛 @ 2’54”47 |
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32 | 小川ミーナ | 日立 | 2’28”47 | 99・3・14名古屋 I 2’34”48 |
98・1・25大阪 C 2’28”47 |
97・3・9名古屋 D 2’30”20 |
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33 | 小松ゆかり | サニックス | 2’28”48 | 00・8・27北海道 F 2’40”46 |
00・3・12名古屋 E 2’29”32 |
99・3・14名古屋 J 2’35”27 |
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× | 34 | 山内美根子 | 資生堂 | 2’28”52 | 00・4・16ロッテルダム A 2’31”30 |
99・11・21東京 G 2’30”35 |
99・4・4パリ B 2’28”52 |
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× | 35 | 片岡純子 | 富士銀行 | 2’30”10 | 99・11・21東京 E 2’30”10 |
99・3・14名古屋 Q 2’39”58 |
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36 | 永盛(熊谷)真由美 | セイコーI | 2’31”49 | 00・8・27北海道 E 2’39”38 |
00・3・12名古屋 28 2’41”11 |
99・10・9北京 E 2’32”30 |
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欠場 | 貴貫広子 | 沖電気宮崎 | 2’32”20 | 00・8・27北海道 D 2’37”54 |
00・3・12名古屋 H 2’32”20 |
99・11・21東京 L 2’36”43 |
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38 | 小出正子 | 積水化学 | 2’32”52 | 00・6・4サンディエゴ C 2’32”52 |
97・8・31北海道 C 2’36”51 |
97・3・9名古屋 30 2’42”10 |
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39 | 横山朋枝 | セイコーI | 2’34”37 | 00・5・21プラハ D 2’35”18 |
00・3・12名古屋 L 2’34”37 |
98・3・8名古屋 2’39”15 |
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× | 40 | 小尾麻美 | スターツ | 2’34”42 | 99・8・29北海道 B 2’34”42 |
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41 | 北島良子 | 富士銀行 | 2’36”56 | 99・11・21東京 N 2’39”17 |
98・9・20ベルリン 2’36”55 |
【リーフの懺悔(笑)】
(2000.11.19)
☆いやあ、まさかツルが最後まで頑張るとは思わなかったですね。 ☆それから、チェプチュンバは予想以上にパワーアップしていたというところが読みきれませんでした。 ☆土佐さんについては、結果論としては序盤上げすぎたのかもしれませんが、自分でレースを作っていったことは評価できるのかなあと。 ☆まあ、去年の東京に比べればかなりよい予想の的中度合いということで許してもらえれば…。 |
【リーフの予想】
(2000.11.19 09:00AM確定)
【総評:土佐さんの真価問われる一戦】 ☆今年は五輪開催が遅いため、メンツ集めに苦労したことがはっきりとしているのが今大会。そんな中で唯一の希望は土佐礼子さんか。やはり名古屋で好走した分ここでもう一本是非とも揃えて欲しいところです。ここで好走するとしないとでは、評価はがらりと変わってしまいますからね。東日本実業団女子駅伝の放送中に出た増田明美さんによる「(ボルダーの)マグノリアのコースで橋尚子様と遜色ないタイムで走っている」という証言の内容を実証できれば、思わぬ大収穫が得られるかもしれません。TV中継のゲストで来る橋尚子様がしびれて気合が入りまくるような、そんな姿を見せつけて欲しいところです。 【外国招待選手を斬る】 ☆とにかく外国招待選手、ポマクとツル以外は既に9月以降に1回マラソンを走っているということで、どこまで信頼していいのかわかりません。しかもポマクは1週間前に世界ハーフを走り、ツルは4日後の国際千葉駅伝にエントリーと、どうみてもまともに東京を走るという感じがしません。 ☆ということですが、外国招待選手の筆頭は何といってもJ・チェプチュンバ(ケニア)です。前回五輪後のロバさん招聘の様に顔見世興行の可能性も考えられましたが、「このために練習を積んできた」という厩舎コメントでマジ参戦が濃厚に。五輪後もハーフで69分台をマークするなど、調子は維持できているというデータがありますので海外招待選手の中では最右翼でしょう。問題は五輪のダメージがどこまで抜けてるかだけです。昨年の世界ハーフの対決も踏まえると実力的には土佐さんと互角と小生は春の段階で判断しておりましたので、Jチェプの五輪ダメージの不安要素と土佐さんの成長分を比較して、この一戦については本命・土佐、対抗・Jチェプと致したいところ。 ☆続いて1万m金のツルですが、これは9分9厘顔見世興行でしょう。「自己ベストを目指す」との厩舎コメントも本音とは取れない印象です。確かに彼女もJ・チェプチュンバと同じポルトガルのハーフマラソン(10/15)で69分台で優勝していますが、仮に本気で走ったとしても、マラソン練習が出来ていなければ後半失速は目に見えています。国際千葉駅伝のついでに東京にもエントリーという裏事情の匂いがぷんぷんしますね。これはもうずばっと無印で行きましょう。 ☆ソバンスカは、10・1にケルンでまずまずのタイムで勝っていますが、うまく調子を合わせて来れれば上位進出も可能なところでしょうか。まあ、土佐・Jチェプといったあたりには歯が立たないでしょうが、3位争いの筆頭としてはいいんじゃないでしょうか。3番手の評価ですが、印的には単穴ではなく、連穴にしておきます。 ☆イワノワは、ベルリンで松尾・下司・五十嵐といった面々に後塵を拝していますゆえ、挽回は厳しいと見るのが順当かと。 ☆その他の選手については、もういいですよね(笑)。 【国内招待選手を斬る】 ☆もうこれは土佐礼子さん(三井海上)の独壇場でしょう。日本選手トップ争いという意味では、今年の名古屋の橋尚子様に匹敵するくらい鉄板では。東日本実業団女子駅伝でもいい仕上がりを見せましたし、走るのが好きみたいですから変に固くなったりして失敗することもないのではないでしょうか。後はJ・チェプチュンバとの比較ですが、両者ともいい脚を長く使えるタイプ(言い換えれば橋尚子様やロルーペ先生のような爆発力がない)で実力もほぼ互角でしょう。そうなると最後は我慢比べになるかもしれませんが、J・チェプチュンバが五輪で走っている分土佐さんに分があると見ます。しかし土佐さん、まだ2年目ということもあり、この半年の成長分がいい意味で読めないですね。一気に記録的にも突き抜けて欲しいです。 ☆その他の日本勢ですが、駅伝の感じからいうと今年も片岡純子さん(富士銀行)が2時間30分前後で上位に食い込んで来そうな印象がありますが、他の選手についてはあまり期待をしておりません(ずばっと斬ってみよう)。例えば、小松ゆかりさんも小川ミーナさんもどうも練習が積めていないようなのでちょっと厳しいのではないかなあと、そういうことです。小尾麻美さん(スターツ)は今年の実業団ハーフで70分04秒で走っているので、大幅な自己新更新が期待できるかも。北島良子さん(富士銀行)にも大幅自己新を期待しております。 ☆一般参加では、田中(小倉)千洋さんが出るというのが嬉しいですね。ただ、あっと言わせそうな人材がいなさそうなのが残念。 【レース展開を斬る】 ☆土佐さんサイドの「外国選手が積極的に引っ張ってくれたらついていきたい」という意向を汲んで、また、視聴率効果を狙って主催者側はポマクあたりに去年の山口さんペースで序盤引っ張らせるのではないか、と睨んでおります。これについていけるのが既にJチェプ、ツル、土佐さんしかいないという展開。ツルは25〜30kあたりで国際千葉駅伝のことも考えレースを止めるかジョグペースに切り替え、後は決定的な決め手がないままJチェプと土佐さんの粘り合いかなあ、という気がしています。記録的には2時間22分台まで突入してくれると、今後のケニアvs日本の覇権争いもなんとか戦っていけるのかなあと、そういう期待をしております。 ☆逆に言うと、序盤でもたもたしていたら凡戦になる可能性が非常に高いということです。今年の名古屋のような橋尚子様ばりの爆発力が発揮できれば別ですけどね。メンバー的にそうじゃないですから。まあ、山口さんのタイムを目安に土佐さん走るみたいですから、一人旅になっても高速で押して行くとは思いますけどね。 ☆とりあえずノルマは5k、10kをそれぞれ16分台でカバーすること。それにつきます。 ☆個人的には小尾麻美さんに積極的に先頭に付いて行って欲しいと思っています、他の人にはちょっと荷が重そうなので…。 |
【過去のレース模様】
(1999年)
スタートから千葉真子(旭化成)がぶっ飛ばし、5kでは千葉が16分18秒で先頭、山口が6秒離され2番手で通過。 この後も山口、千葉の鍔競り合いは続いたが、14k手前から山口が千葉を引き離していく。25kを迎える頃には2位千葉との差を1分、3位集団との差を2分強とした。 前半のハイペースにより、後半の失速が懸念されたものの、むしろ後続との差は広がる一方。最後の坂もなんのその、結局は2時間22分12秒と世界歴代6位での快勝・圧勝劇であった。 また、37kで千葉を捕らえたロバが2位、エゴロワが堅く3位に入った。 優勝 山口衛里 2:22:12 2位 ファツマ・ロバ 2:27:05 3位 ワレンティナ・エゴロワ 2:28:08 |
(1998年)
ラビットのニコル・キャロルが17分を切るペースで引っ張ったため、早くも5k時点で先頭集団は5人。しかしキャロルが消えた後はすぐにペースダウンし、ロバのいた第2集団も先頭に合流。10k地点では先頭集団が9人という展開。 この後もサバイバルな展開は続き、先頭集団7人で迎えた28k、少し市橋とロバが交錯。やむなく市橋が前に出たところでレースは動き始める。ロバは近藤美和子とともに遅れ、30kまでにドーレ、後藤郁代も遅れてしまいついに先頭集団は市橋有里、浅利純子、宮崎安澄の3名に絞られた。 この後は浅利と市橋が交互に先頭に出る格好となり、宮崎はじっくり3番手キープ。しかし最後の上り途中の38k手前で宮崎は力尽き、とうとう浅利vs市橋のマッチレースに。 結局トラック勝負に縺れ込み、最終コーナーでの市橋の仕掛けを凌いで浅利が逆転勝利。95年の東京以来3年ぶりの勝利であった。 優勝 浅利純子 2:28:29 2位 市橋有里 2:28:29 3位 宮崎安澄 2:30:06 5位 カトリン・ドーレ2:31:44 8位 ファツマ・ロバ 2:36:22 |
(1997年)
序盤マゾフカ(ベラルーシ)がペースを作るが、他の選手がそれに応じず1人飛び出す格好となり、5kでは2位集団と20秒の差がつく。 8k手前からようやく2位集団は解体、まずはロバと市橋がマゾフカに追いつく。10kでは7人の集団。しかしここからは集団が膨れる度にロバがペースを上げて集団が解体、しかし暫くすると後続が追いつくという面白い展開になった。 32kでずっと先頭集団を追いかけていたサルマエ(エストニア)が追いつき7人の先頭集団となったところでレースは動いた。伊藤、ロバ、市橋、ジョイス・チェプチュンバ(ケニア)、エレナ・マイアー(南ア)が先頭集団、またサルマエが取り残され、マゾフカは完全に後退。 先頭集団に取りついていたマイアーも一杯一杯で集団から後退、34kでサルマエに捕らえられサルマエが5番手浮上。ロバも34kで脚が止まってずるずる後退、35k手前でサルマエにとらえられる。サルマエこれで4位浮上。 一方先頭では伊藤真貴子がペースアップ。市橋がこれについていけず遂に伊藤、チェプチュンバの一騎討ちに。終始主導権を取った伊藤は38kあたりからじわじわとチェプチュンバを引き離して追撃を許さず快勝。市橋は35kの給水地点でサルマエにかわされるとずるずる6位まで後退。サルマエはついに3位までポジションを上げたのだった。 優勝 伊藤真貴子 2:27:45 2位 ジョイス・チェプチュンバ 2:28:02 3位 ヤネ・サルマエ 2:28:23 4位 ファツマ・ロバ 2:30:39 5位 エレナ・マイアー 2:31:00 6位 市橋有里 2:31:25 |
(1996年)
ラビットとおぼしきスーザン・ホブソン(豪)が序盤を引っ張る。混沌とした集団はようやく6kで9人にまとまった。 8kあたりからロバが飛び出し、後続と少し間を空ける。それにともない集団も解体。10k手前で藤村信子、マシャド、ジリアエバがロバに付く。10k地点で6秒ほど離れている第2集団の4人の中には山口衛里、小幡佳代子、寺内多恵子といった今や一線級に名を連ねる面々がいた。 15kを過ぎてアトランタの再演とばかりにロバが独走態勢に入る。ジリアエバは2位争いからも後退し、藤村とマシャドが差をつけられつつも追走。 折り返してからマシャドが藤村を置いて単身ロバを猛追、24k手前でついにマシャドがロバに追いついた。しかしロバは25k手前でもう一度マシャドを引き離す。マシャドはこれに諦めることなく粘りつづけ、31kで再びロバを捕らえ、33kで逆にロバを突き放した。 この時点で勝負あったと思いきや、この時点で30秒離されていた藤村が粘り、幸いにもデッドヒートに精魂尽き果てたマシャドとの差をみるみる上り坂で詰め、40kの給水ポイントでとうとうマシャドを捕らえて一気に抜き去ってそのままフィニッシュ。35kから40kの5kをマシャドは19分以上費やし自滅したために転がり込んだタナボタ勝利とはいえ、なかなか見応えのあるレースには違いなかった。 優勝 藤村信子 2:28:58 2位 マヌエラ・マシャド 2:29:32 3位 リズ・マッコルガン 2:30:50 5位 寺内多恵子 2:33:33 7位 山口衛里 2:35:23 8位 ファツマ・ロバ 2:35:54 |